せたがやたまき

ここで拾った四角くて平べったい石に字が書けることを見つけた。平べったい小さな石の上に知…

せたがやたまき

ここで拾った四角くて平べったい石に字が書けることを見つけた。平べったい小さな石の上に知らん世界が入っている。多分、数日前の太陽が隠れた時に神様が間違えて落としちゃった道具だろう。使うとバチが当たるかもしれないけれど、見つけちゃったものは見つけた人のものだ。

最近の記事

20%伝達 市

今日は市が立った。 俺とツチとカワは、しゃべりまくりながらいろんなものを交換する。海の民の日焼けしたやつらは、海の魚を捕る話をしてくれた。揺れる波の中で銛を投げる話は、何回聞いても度肝を抜かれる。俺たちが作った釣り針と、魚をとる銛を交換しながら、やつらは、「どうして銛が欲しいんだ?」と本気で聞いてきた。「多分、今度新しい銛を作って持っていくから使ってみてくれ」と言いながら、奴らの銛を手に持って回してみる。俺たちが使う槍よりもだいぶ前に重心があって、とにかく細い。でも、柄と銛先

    • 20%伝達 気になったのでメモ

      これから宴だ。 多分大騒ぎになるから気になったことを一つだけメモしておく。カワが、「狩りの最中、海近くの忌み地になっている方向に煙を見た」と言っていた。遠すぎるから見間違いかもしれない、とも言っていたけれどメモっておこう。 ま、今夜は秋の宴だ。大騒ぎして、女の子と楽しいことして、とにかく遊ぼう。

      • 20%伝達 猪を追って尾根を走る 秋の始まり

        走った。 俺はとにかく走るのが早い。短い距離でも早いし、何よりも、一日中走れるのが自慢だ。夜明け前から音を顰めて走った。まずは場所を決めなきゃいけないからだ。 手前の谷近くのヌタ場に足跡3頭、尾根につながる道に小さい足跡、沢を渡ったあとが3頭。ヌタ場はがけの下からおだやかな斜面が続く中にある。ここから動くとしたら崖を避けて隣の沢から南の尾根へ逃げる道筋が読みやすい。多分、足跡の新しさから言って、今はまだ南の斜面には届いていないはず。「この3頭を狙おう!」と、ツチに話した。ツチ

        • 20%伝達 穴掘りまくり 01秋のはじめ

          穴を掘った。それも普通じゃないほどにほった。谷に抜ける岩の横のけものみちに3つ、沢に降りるけもの道に2つ、いのししが泥あびをする場所に入るところに2つだ。どれも深さは俺の背丈の半分くらい。かたい地面にはほれなかったからけもの道の真ん中からずれちゃったけれど、間抜けなイノシシだったら落ちるかもしれない。掘った穴の上はうすく枝を置いて上にたっぷり落ち葉を敷いておいた。見た感じぜんぜん穴には見えない。でも、人がおちたら困るから、ちょうど人の目の高さくらいに目印の枝を折っておいた。仲

          20%伝達 イノシシの続き 01夏の終わり

          昨日、ごろごろしていて思いついた。深い穴を掘ったらどうだろう。って言っている間にも、じじいが着々と槍の準備をしているから、今度の満月程度にはイノシシ狩りがはじる。 試しに穴を掘ってみようと思う。イノシシ狩りの時に、イノシシを追い込むあたりのけもの道に穴をほっておいて、いのししが落っこちて捕まったらとても楽しい。

          20%伝達 イノシシの続き 01夏の終わり

          20%伝達 いのしし 01夏の終わり

          家の近くのおいしい根っこの草の場所にいのししがあつまりはじめた。あいつらにえさ場を見つかると、ばっちり全部食われてしまう。んんん。かんがえなきゃ。ツチもいろいろ考え始めたみたいだ。 まえのとしのこのころ、上からおもたい木を落っことすことをツチが考えて、俺と一緒に試したけど、木をツタで持ち上げるときに落っことして、しかもやっと持ち上げて仕掛けをつくった木はイノシシの上には落っこちなかった。ジジイは大笑いするし、ババアは俺とツチがばかだっていうし、さんざんだった。今度こそ、だ。

          20%伝達 いのしし 01夏の終わり

          20%伝達 カワと星の見える丘 01夏

          きのうの夜はカワを星の見える丘にさそった。星の見える丘は、家から息が切れない程度歩いた先にある。林が途絶えたところに草原と岩があって、ぬけるように空が見える。夕方から夜の景色が最高なんだ。今までそこに俺と一緒に行ったのは、一番気があう男のツチだけだ。ようするに、おれの一番のお気に入りの場所でひみつのばしょだ。 カワはおれよりずっと頭がいい、めちゃめちゃすてきなおんなのこだ。この前も、日が沈む山にくもがたくさんでてきたら雨が降る、っておれに教えてくれた。だから、お礼に星の見える

          20%伝達 カワと星の見える丘 01夏

          20%伝達 どんぐり 初めの年 夏

          じじいが教えてくれたことをメモっておこう。 じじいの、祖父の祖父程度(だいぶ昔だけどよくわからんらしい)頃からの決まりがある。 どんぐりがたくさんとれた時に、神様ありがとう、って言いながら家の近くのやわらかい土にドングリを埋める。そこから芽が出て小さいドングリの期になったら、ドングリ林の10歩外に、小さいドングリを植えることになっている。 去年はいっぱいドングリが取れたから、今年はその時に作ったちいさいどんぐりを、ドングリ林の10歩外に5本も植えた。一生懸命お礼を言って、

          20%伝達 どんぐり 初めの年 夏

          20%伝達 つかいかたがわかった

          まんげつのときに、これをみつけた。 まんげつのまえのひは、ひるなのにとつぜん くらくなっちゃって おおさわぎだった。 じじいは たたりだ ってさけぶし、ばばあは ひるねができていいさ ってつよがるし、 つち は あたまがいいくせに ぜんぜんわからない っていうし かわ は いつもどおり つち をじっとみているし ふち はおれにいきなりだきついた で、おれは これをひろった。 たいらな石なのに かたがわだけ光って、しらんものがいっぱい見える もじを押したら もじがかけたから 

          20%伝達 つかいかたがわかった