20%伝達 市

今日は市が立った。
俺とツチとカワは、しゃべりまくりながらいろんなものを交換する。海の民の日焼けしたやつらは、海の魚を捕る話をしてくれた。揺れる波の中で銛を投げる話は、何回聞いても度肝を抜かれる。俺たちが作った釣り針と、魚をとる銛を交換しながら、やつらは、「どうして銛が欲しいんだ?」と本気で聞いてきた。「多分、今度新しい銛を作って持っていくから使ってみてくれ」と言いながら、奴らの銛を手に持って回してみる。俺たちが使う槍よりもだいぶ前に重心があって、とにかく細い。でも、柄と銛先はしっかりと接続されているし、カエシもない。多分、細かいカエシをつけて銛先が外れるようにしたら獲物(この場合は魚)を捕るのが楽になるはずだ。投げ系の天才スナにいろいろと意見を聞きながら新しい魚用の銛を作れたら、海の民が満足するかもしれない。

市では、海の民、山の民、そして俺たちと、もしかしたら遠くからの来訪者が河口に集まって、いろいろなものを交換できる。海の民の塩と魚、山の民のたくさんの獣の皮や肉、遠くの人々の鋭い石や骨、は、本当に素晴らしく、俺たちでは取れないものばかりだ。
俺たちの村からは、フチが作るアクセサリー、しばらくの間にたくさんとって干しておいたイノシシの肉、矢とセットの矢じり、どんぐり餅、釣り針その他もろもろだ。俺たちの村には特産物がないから、しょうがないから普通のものを一生懸命加工して、その場で使えるようにして並べる。前回の市で手に入れた石や骨を釣り針や矢じりにして売るのもアリだ。その場で使えるものや食えるものは、他の村の人々にちょっと馬鹿にされるけれど、実はそのまま出すよりも、たくさんの原材料と交換できる。干して焼いた肉は、山の民の取れたてのイノシシと倍量ちかくで交換できる。ジジイの父が考えたんだと聞いている。

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