20%伝達 カワと星の見える丘 01夏

きのうの夜はカワを星の見える丘にさそった。星の見える丘は、家から息が切れない程度歩いた先にある。林が途絶えたところに草原と岩があって、ぬけるように空が見える。夕方から夜の景色が最高なんだ。今までそこに俺と一緒に行ったのは、一番気があう男のツチだけだ。ようするに、おれの一番のお気に入りの場所でひみつのばしょだ。
カワはおれよりずっと頭がいい、めちゃめちゃすてきなおんなのこだ。この前も、日が沈む山にくもがたくさんでてきたら雨が降る、っておれに教えてくれた。だから、お礼に星の見える丘を教えてあげたんだ。
景色を見て、鳥の鳴き声を聞いて、花をあげて、いわのうしろのふかふかの場所にさそおうと思って手を引いたら、フクロウがなきはじめて、その声につられてカワは家に帰るって言い始めた。星の丘はふかふかの場所で夜を過ごすと一番楽しいって教えてあげたのに、カワはすんごいしびれる笑顔を見せてから「やっぱり帰るね」って言った。
ふわりとしたカワのほほとくちびるは甘くとろけるようだったけど、続きは別の日にお願いすることにした。

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