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FUJIFILM X-Pro3 1年間使用レビュー


最近、FUJIFILMが熱い


こうやって毎年、富士フイルムさんに新製品のカメラやレンズを出していただけているのはフジユーザーとしてはとってもありがたいことです。だがしかし、製品全体の市場に出回る在庫が新品も中古ともに本当に非常に少ない。高額転売をしている人も居るだろうけれど、それ以上に富士フイルムのカメラ求めるユーザーが増えていたりすることもあるだろうか。写真を始めたい、楽しみたい、富士フイルムを使いたいと思う人たちの手に素直に届くべきであるはずなのに値上げや受注停止や在庫不足や転売が蔓延り、なかなかそういうユーザーのもとに行き届きにくいようである。すでに使わせていただいているユーザーとしては少し寂しいもので、SNSを見ているとそういう状況に嫌気が差すのか、他メーカーに乗り換える人も多々見かける。
信頼というのはなかなか難しいものだ。これから写真を始めたいという人に富士フイルムのカメラを勧めにくいのがなかなか歯痒いところである。

そんな状況で私ごとではありますが、写真を撮り始め、SNSに記録をあげ始めてはや2年になります。その中で使っている大事な道具であるX-Pro3というカメラについてのレビューをします。
写真ってなんだろう、と常に考えさせられる学校の先生みたいなカメラです。

X-Pro3とは


富士フイルムから出ていたレンズ交換式ミラーレス一眼カメラで、2019年11月に発売し、現在は生産終了しています。細かいカメラのスペックは価格ドットコムでも見ればいいと思うのでそちらを参照していただいて、今回書いていくのはその特徴と使用感、そこから出てくる写真についてです。

特徴的な機能・機構

何よりの特徴はレンジファインダー型の筐体にハイブリットビューファインダーが搭載されていることと、背面液晶が隠されていることだと思います。

公式サイトより

ハイブリットビューファインダーは、撮影をするときに筐体背面左上にあるファインダーの素通しガラスに撮影情報が投影される光学ファインダー : OVF(Optical Viewfinder)と、そこに電子モニターを表示させることができる電子ビューファインダー : (Electronic Viewfinder)を切り替えて撮影することができる機構のことです。これが非常にありがたい機能で、写真を撮る時々で肩の力を抜くのに役立っています。
EVFで撮っているときは、ファインダーを覗くと常に撮影結果を見え、撮る前に失敗したかどうかが瞬時にわかってしまいます。ミラーレスの利点ではあるし少し気合の入れた撮影やお花やなんかの接写をするときには結果が見えていた方が失敗は少ないだろうし、丁寧に時間をかけることも限度があるだろうし便利なことはそれでいいのですが、失敗が見えるということは写真を「撮る」か「撮らないか」を躊躇してしまう要素の一つにもなってしまうと思っています。その失敗が見えない代わりに、成功したかどうかも見れないというのがOVFの良いところだと思います。

実物はもっとクリアで切り取っている感覚が強くなる


公式サイトより

もう一つの特徴の背面液晶が隠れていることに関して、実際に使うと撮影した写真を見返すために、わざわざ背面液晶で開く動作をしなければいけません。これはフィルムカメラの写真体験と似ているところの一つで、そしてそれは自分にとってはメリットだと感じられるところです。

自分は撮った写真をすぐ見返しません。撮ったらすぐに次の瞬間を探しています。これはX-Pro3を買う前の別のカメラでもそうだったことです。すでにシャッターを切る時点で構図や露出はヒストグラムである程度合わせていることと、保険の為に何枚かを撮っておくことが多いからそういう動作ができています。もちろん後で見返したときに後悔することも時にはあります。「意外と露出がズレている、もう少しこうしておけばよかった」「すぐ見返して撮り直せばよかったかもしれない」と思うことはあります。ただ逐一わざわざ液晶を開いて確認して撮影してというのは、このカメラの使い方としては沿っていないような気がしているし、自分はその後悔も次の撮影の瞬間に生かせればいいと自然と受け入れています。

開発陣のインタビュー動画なんかでも、「背面液晶は毎回見なくていいですよね、見たければ見れますよ、でも次のシャッターチャンスを探すことの方が大事だ」のような旨のお話しをしていました。本当にその通りだと思っていて、撮影した写真を見返すのは撮影した場所から帰るときやPCやスマホに取り込んでからで遅くはないのです。これはあくまで自分が趣味で失敗しても誰にも咎められない状態だからで、営業撮影や失敗が許されない撮影現場ではもってのほかのスタイルだとは思います。自分はそういう行為として写真を撮っているわけではないのだから、この不便さで自分は足りていて、むしろこれがいいのです。それよりか、撮るたびにいろいろなパターンを撮り試したり、大事な1枚の写真の確度を上げる方がよっぽど楽しくて、鍛錬として素振りとしてやりがいがあります。写真は自分との戦いで、これが自分の戦い方だなと思っています。もちろん人物撮影をしたときや人に見せる時の為に背面液晶を開いて見せることはできるし、背面液晶が隠れていることで困った記憶もありません。自分にとってはとても都合のいい仕様になっています。


おまけに撮影時にファインダーを覗いた時に背面液晶に頬が当たり汚れるのが液晶が隠れていることで防げることと、というのがあります。肌にお化粧なんかをしているとカメラ本体にその類がついてしまうけれど、液晶画面が隠れていれば汚れに対する精神衛生も多少軽減されるのでありがたいです。


自分のX-Pro3の使い方

使用レンズ

全然、お好きなレンズを使ったらいいとは思います。
わたくしは近年永年レンズ沼に嵌っていたのですが最近ようやく走り抜け、ここ半年ほどはVoigtländer Nokton 35mm F1.2の一本で写真を撮っている。
開放描写はやさしく柔らかく収差が残り、絞れば絞るほど端正に正しい方向にシフトし、それでも自分が求める以上の端正さになりすぎず必要十分の硬さで留まってくれる、自分にとって非常にちょうどいいレンズだ。そして軽くて小さい。
MFレンズのため自分でピントリングを回してピントを合わせる必要がありますが、これは徐々に慣れれば問題ないです。ピント面を自分で動かし被写体に合わせる作業は毎回感動してしまうし、お作法的にも学んでおいて損がないと思います。明るさもF1.2もあればかなり心強く、夜も強気に出ることができます。MFに抵抗がなければ最初の一本にお勧めしたい。おまけに安い。



その他自分の写真を撮るためにしている設定

撮影直後の画像確認はオフ
前述の通りしばらく後から見るくらいでちょうどいいのです。
ピント拡大切り替えをカメラ上面のシャッターボタン隣のFnボタンに割り当る
ピントは写真の基本で、ピントが合っているのかいないのか、どちらにしても大切に確認をするためにピント拡大を割り当てています。
ISO感度はオート設定
ここは好みもありますが、基本的にはオート制御に任せています。
逆光条件や月を撮るときや長秒露光をするとき以外は頼りになります。
ただ割と露出制御が毎回じゃじゃ馬で、構図を変えていないのにAEを入れる度にズレたりします。ここは愛で持って解決します。


その他作例

続きはTwitterにて。

終わりに

カメラという機械に、完璧な写真や利便性を追求する方にはX-Pro3はもしかしたら合わないカメラだと思います。このカメラはそれまでのフィルムカメラが最高の写真を撮る道具だった、フィルムの至らなさをも楽しんで愛していたデジタルカメラ過渡期を経験した人が開発し作り上げたデジタルカメラだと思います。Leicaとはまた違う方向性のデジタルカメラの終着点だと感じていて、現時点ではこれ以降も近いカメラが出てきていないのが少し惜しいところです。社会情勢的にもここまで挑戦的なカメラは今後も出てこないのかもしれません。
最初から最後まで自分の為に写真を撮っている、そう在りたいのであれば、これはそういう人間にとって、写真を撮る道具として、ひとつベターな選択肢になりえると思います。すでに手元にある人はもちろん、気になる・欲しいと思えたのであればぜひ手に取ってほしい。使えば使うほど、写真との関わり方を考えさせられるいいカメラだと思います。

よいお年を


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