逆光と逆境。 シロナガスクジラと　ウミガメと　真珠と・・・

太陽の光が、カメラを構えているボクと同じ方向から被写体に当たっているのが順光。その反対に、ボクに向かってくる光の場合が逆光。写真を撮っていると分かるのですが、逆光だからこそ見える世界があります。

ここは、ソーホーのウースターストリート。順光では見えなかったマンホールの亀甲模様が逆光の中、浮かび上がりました。荒れ狂うアスファルトの海を独り行くウミガメです。と、そこへ、シロナガスクジラが。歩行者の影が口を開ける海の巨獣になったのです。すべて逆光のなせる業です。

人生につきものの逆境も、それに似ていると思います。逆境の中で、初めて見えるものがあり、磨かれるものがあります。

それは何でしょうか？　

それは、真珠です。心の中の真珠です。優しい輝きを帯びた まるい真珠が、逆境を経験していても あきらめない人の、心の中で光り始めるのです。

どういうことですか・・？

真珠は、貝の中に入った砂や虫などの異物が、吐き出されずに長い間体内に留まることがきっかけで、できていきます。貝は、煩わしい異物のまわりを真珠層でくるみ、それがいつしか天然真珠になります。

これに似て、逆境にも効果があります。逆境に直面した時、それを受け止めて生きようと努力すると、自分の内面が刺激され、魅力的な特質が磨かれていくのです。もっと優しくなれたり、人の痛みが分かるようになったり。

逆境の中に真珠が眠っています。忘れたくありません。それは、長いトンネルの先に見える光と同じほど、勇気を与えてくれるものだから。