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ウェルビーイングとは? ~様々な角度から自分なりに考察してみた~

こんにちは。しゅんたろうです😊💕
「ウェルビーイング」を軸に、ライフコーチとブロガーをしています。

今回は「ウェルビーイングとは、なにか?」を、自分なりに血の通った言葉で、様々な角度から考察したいと思います💡


私はいままで、1年以上ウェルビーイングの動向をウォッチしつつ、Well-BeingWeek2024にも出展しました。

このたび、教科書的な説明では満足できず、全体像を要約した1枚物を作りたくて、執筆を始めました。

ただ「ウェルビーイング」という言葉自体、とても広い概念です。「どこまで網羅できるか…」という感じですが、できるだけ頑張ってみます(笑)

※なお、私なりのざっくり理解なので、正確性を求めていません。その点、ご了承ください。

1、「ウェルビーイング」とは?

ウェルビーイング(Well-being)は、「well(よい)」と「being(状態)」からなる言葉。つまり、個人や組織や社会の「良好な状態」という意味です。

個人のウェルビーイングを考えるなら、「私にとっての幸せな生き方とは?」という探究になるでしょうし、

組織のウェルビーイングを考えるなら、「幸せな企業になるために、どんな経営をしたら良いか?従業員が幸せに働けるためには、どんな環境・どんな働きかけが必要だろうか?」という探究になります。

社会のウェルビーイングを考えるなら、「地方や日本、そして世界の直面する社会的な課題に対して、良好な状態とはどのような状態か?その状態にするためには、どうすればいいか?」という探究になります。

つまり、「ウェルビーイング」とは、広い意味で「現代を生きる私たちにとって、真の幸せとは何か」を探究するムーブメントなのです。

2、なぜ「ウェルビーイング」なのか?

「幸せ」や「人が善く生きるということ」についての探究は、2500年前のギリシャ哲学から、ずーっと続いています。

時代が変われば、人々の価値観も変わります。
「なにによって幸せを感じるか」も、時代によって変わってくるのです。

そんな中、現代人のウェルビーイングを考える上で、「産業革命」「VUCA時代」「人生100年時代」が外せないキーワードだと私は考えています。

①「産業革命」による幸福観の変化

およそ250年前に、工業機械が登場して、大量生産・大量消費の社会になりました。

これにより、人間は「①決められた時間」のあいだ、「②機械のように働く」ことで、「③お金」をもらえるようになりました。それまでの「自然を相手に、農業をするのが仕事」だったのが、大きく転換したのです。

そして、250年経った現在、様々な問題が生じています。

「より早く」「より正確に」「より多く」のものを作るために、競い合って、簡単に休むことが許されない、ギスギスした社会に暮らしています。

企業は生き残りをかけて、売上を求め(従業員にお金を払えなければ倒産です。)従業員を疲弊させてでも、売上向上を目指します。その結果、従業員はメンタルを病み、退職し、さらに少ない人数で、同じだけの仕事を回すような例が散見されます。

この仕組みが、うまく行ってた時期もありますが、モノが飽和してる現在は、大して欲しいモノがありません。むしろ、体験やそこから生まれる感情の動き、内面の豊かさを求めるようになりました。

つまり、ウェルビーイングの登場は、産業革命後に、非人間的な生活をしてメンタルを病んでいた人間に対して、「本来"人間が幸せに生きる"とは、どういうことなのか」を考え直す機会を与えてくれる動きでもあるのです。

②「VUCA時代の到来」による幸福感の変化

VUCA時代とは、AIの登場により、変化するスピードがどんどん加速していき、予測不可能な時代になることを意味しています。

そんな中、私たちの「生きる力」を再定義する動きが、色んなところで起こっています。ビジネス界隈では、「リスキリング」「アンラーニング」「キャリア教育」「ジョブ型雇用」などがそうです。

教育では、環境の変化に対応する柔軟性適応力、既存のやり方にとらわれずに新たなアイデアを生み出す創造力問題解決力、多様な文化・社会的背景を持つ人々と協力するコミュニケーション力デジタルツールを使いこなすスキルなどが大事だと言われています。

つまり、「より早く・より正確に・より多く」と人間を「機械化」しても、AIに敵わない時代がもうそこまで来ているのです。

そんな時代を生きることになる私達は、どんなに経験年数を積んで、熟練の業(=スキル・Doing)を磨いても、すぐにゲームチェンジが起こる世の中になるので、せっかく磨いたスキルも古くて使い物にならなくなる可能性があります。

その時々で、「自分は何がしたいか」「自分を今の環境にどう適応させるか」という自分軸(=在り方・Being)を持ち続けて、育て続けていくことが大切だということです。

③「人生100年時代」による幸福感の変化

リンダ・グラットンさんの「ライフシフト」という本で、「人生100年時代」という言葉が浸透しました。

医療の進歩で人生100年になったときに、「①学び期20年→②働く期40年→③働かない期20年」という構図が崩れることがポイントです。

特に日本においては、終身雇用の考えは衰退し、人生で何度か転職することを前提とした「マルチステージな人生設計」が必要となります。

また「健康寿命」という考え方も大切になってきます。同じ100年でも、「60年健康で、40年病気がち」なのと、「95年健康で、5年病気がち」では後者の方が幸福度の高い人生が遅れそうな気がします。

「健康投資」しながら「生涯現役」でイキイキと働くことに対する意識が高まっていることも、「ウェルビーイング」に注目が集まっていることと無関係ではないでしょう。

3、ウェルビーイングの歴史・変遷など

ウェルビーイングを縦軸で捉えてみましょう。
個人的に、大きめだと思うポイントを列挙してみました。

①ポジティブ心理学の登場(2000年頃)

いままで「心理学」といえば、精神疾患の患者を治すための学問でした。
しかし、病気ではない人でも、より前向きな気持ちで日々を送るために心理学を使っていこうと考えて生まれたのが、ポジティブ心理学です。

同じ頃、「客観的ウェルビーイング(教育・健康・経済の客観指標)」だけでなく、「主観的ウェルビーイング」も大事だよね。と言われるようになってきます。

また、「お金」が増えることで感じる「幸福感」も、どうやら年収1000万円くらいで頭打ちのようだ。という研究結果も登場します。

それらの結果、ウェルビーイングに関する論文が、たくさん発表されるようになったのが、この頃です。

②OECDラーニングコンパスで、世界共通の「生きる力」を定義(2019年)

2019年、OECDという国際機関で、「次世代を生きる子どもたちに必要な力とは何か?」という話し合いの結果が発表されました。

その「ラーニングコンパス(学びの羅針盤)2030」では、「私たちが望む未来(Future We Want)」として、「個人と社会のウェルビーイング」が私達の共通の目的地だとしています。

そして、その目的地に到達するためには、『「環境の変化に柔軟に適応する力」や「創造性」が必要だよね。』という国際的な共通認識が生まれました。

ちなみに、それらの流れを受けて、日本でも骨太方針に「ウェルビーイング」という文言が取り入れられたり、文科省の定める教育の5カ年計画「次期教育振興基本計画」にも盛り込まれています。初めて骨太方針に盛り込まれた2021年は、日本における「ウェルビーイング元年」だと言われています。

③国連未来サミットのグローバル・アジェンダになる見通し(2024年9月)

「SDGs」は、日本でも沢山プロモーションされて、認知度がかなり高まりましたが、今後「ウェルビーイング」でも同様のことが起ころうとしています。

第一生命経済研究所さんの記事が、とても分かりやすいです。

ざっくり言うと、
『2015-2030は「SDGs」をスローガンに頑張ろう。
 2030-2045は「ウェルビーイング」をスローガンに頑張ろう。』
みたいなイメージです。

サミットの場では、すべての人・あらゆる場所で(DE&I)、現在だけではなく将来も(サステナビリティ)ウェルビーイングを実現するという政策的枠組みに加盟国がコミットすることが目標なんだそうです。

※DE&Iとは、「ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン」の略。

4、ウェルビーイングの探究・広がり

2024年4月、世界で初めてのウェルビーイング学部が、武蔵野大学に誕生しました。

学部長は、幸福学の第一人者と言われる前野隆司さん。ウェルビーイングの有識者を集めて、一流の講師陣で発足されてます。

2024年3月に、「武蔵野大学ウェルビーイング学部発足記念公開シンポジウム」がありました。

その様子をオンライン参加して感じたことが、大きく2つあります。

1つは、ウェルビーイングの探究は、様々な学問や現場で行われているということ。

哲学・宗教・心理学・社会学・自然・地域・医療・福祉、それぞれの専門家がシンポジウムで、発表・対談してくださりました。

ちなみに、武蔵野大学は仏教系の大学で、建学の精神が「生けし生けとしものが幸せでありますように」という精神なんだそうです。そう考えると、地球全体のウェルビーイングに対しての願いや祈りなども含まれているなと感じたりもしました。

2つめは、そんな専門家ですら「ウェルビーイングとは何か?」という答えがわからず、探求し続けている。ということです。

人間がどんな要因・条件で幸せを感じるのか。長続きする幸せと、長続きしない幸せとはなにか。なにを以って「幸せ」なのか。人それぞれ違う部分もあるけれど、共通的な部分もあるはずで、それは一体なんなのか。

そんな問いを、それぞれの専門分野から本気で探求している姿に、とても刺激を受けました。

「東洋と西洋の幸せ観は異なる」という研究や、「個人が、場のウェルビーイングから受ける影響」、「若者と高齢者の幸せ観の違い」などの研究もあったりして面白いです。

5、ウェルビーイングになるための手段

代表的なもの、よく見かけるキーワードを、いくつか挙げていきます。

心理的安全性、ワーク・エンゲージメント、モチベーション、ウェルビーイング経営、ダイバーシティ、インクルージョン、マインドフルネス、ワーケーション…。

そのために、1on1やコーチングを導入したり、人が集う箱やイベントを用意したり、組織のコミュニケーション活性化を促進したり…。他にも、挨拶や掃除をちゃんとすること、お互いのビジョンの重なりを確認した上で、柔軟な働き方を導入するなどもあります。

「ウェルビーイング=良好な状態」なので、「ウェルビーイング × ○○」は無限に存在します。これからも、どんどん増えていくと思います。

6、ウェルビーイングを取り組む順番

これは、あくまで個人の意見です。

ウェルビーイングに取り組む順番としては、まず自分から
それも「自分の内側から」だと感じています。

自分の在り方(価値観)が変われば、自然と行動が変わります。行動が変われば、半径数メートルの人に、声を掛けるのにも説得力が生まれます。

そうやって、自分の影響の輪を徐々に広げていって、ウェルビーイングの輪を広げていくのがいいんじゃないかなぁと思っています。

企業や行政のウェルビーイングな取り組み!とか、色々と興味を持って調べる中で、うまくいくケースとそうじゃないケースがあるなーと。

で、「ウェルビーイングな施策(Doing)やるぞ!」が先行すると、やってる人間が楽しくなさそう(Being)で、長続きしないんだなーということに気付いたので、触れておきました。

7、ウェルビーイングを考えるための6つのキーワード

現代人が日々生活する上で、ウェルビーイングを阻害する要素って、種類が限られてくるんじゃないかと思いました。

そこで、ウェルビーイングを考える上でのキーワードを6つ取り上げます。

①お金

「お金があれば幸せで、お金がなければ不幸せ」というのは安直で、「お金は幸せを感じる要因の1つ」でしかありません。

頭では分かっているけど、深層意識で理解できていない場合もあります。

例えば、一時的に働かない時期があってもいいはずなのに、「そんなことしたら、あっという間に貯蓄が底を尽きてしまう!それは社会的な死を意味するから、自分には到底そんなことは出来ない!」などという思い込みです。

特に「お金」と「自分」を天秤にかけたときに、間違って自己犠牲の道を選んでしまうケースなどは、注意が必要です。

②時間

「時間」に余裕があれば、「心」に余裕が生まれて、幸せ実感は高まるでしょう。しかし、現代人が絶えず「やること」に追われ、「時間」に追われています。

多くの「やるべきこと」は、実は「やらなくてもいいこと」だったりしないでしょうか。もしくは、「いま」やらなくても、「あとで」やればよかったりしないでしょうか。

人間には、「動」の時間と同じくらい「静」の時間が必要だと言われています。一日中なにもせず、ぼーっと空を眺める日だって、あっていいかもしれません。

③仕事

「仕事」とは、「ツライこと」「我慢すること」「お金をもらうための手段」という深層意識が蔓延しているように思います。

そう感じる背景には、親・友人・同僚・上司など、自分が今まで生きてきた中で出会った人たちから受けた影響や、自分の経験してきた原体験があります。あなたは「仕事」や「働く」というものに対して、どんな意味付けをしているでしょうか。

実は、幸せに働いてる人も、世の中には一杯います。最悪お金もらえなくても、働きたいと考える人もいます。「意味づけ」はあとから意識的に変えることができるので、一度見直してみるのもいいでしょう。

④つながり

人は「誰かとつながりたい」と「1人になりたい」を行ったり来たりしながら生きていく動物です。

「誰かとつながること」は、同時に人間関係の煩わしさも伴います。だからといって、SNSによる「ゆるいつながり」だけでは、「つながっている」という実感を得られず、孤独を感じたりします。

一見、便利なネット社会に住む私達ですが、ツールと上手に付き合わないと、簡単に心を病みます。一見、不便なリアルのつながりこそが、私達にとって一番、穏やかで持続的な幸せを感じさせてくれるのだと思います。

100人いれば100種類の個性がある中で、合う人もいれば、合わない人もいます。お互いの個性を認め合い、心地よい距離感で関わり合うことが、大切です。

⑤柔軟性

柔軟性とは、環境の変化や価値観の違いに、柔軟に適応できる「思考の柔軟性」のことを指します。

例えば、高齢者のケース。「足が悪いから」「スマホはよく分からないから」などと変化を拒んでいると認知症のリスクが高まります。日々の変化を楽しみ、心を通わせる交流があることは、生きている実感が湧き、幸せ実感も高まります。

これは高齢者に限った話ではありません。忙しいことを理由に、いつもと違ったことをすることを億劫に感じていませんか?chat-GPTやVRなど、新しい技術はどんどん登場してきています。

VUCA時代の入口にいる私達は、変化に柔軟に適応できるかが、もう既に問われているのです。

⑥自己実現

「私が幸せに感じること」と「あなたが幸せに感じること」は違います。
なにを「幸せ」と感じるかは、100人いれば100通りです。

大切なのは「自分にとっての幸せ」とは何かを、生涯かけて探究し続ける姿勢だと考えています。そのためには、まず「自分」という人間を、様々な角度から知ることです。

そんな中で、自分の「夢」「好き」「ワクワク」を追いかけることは、子どもでも大人でも高齢者でも関係なく、人がウェルビーイングに生きていく上で、とても重要な要素だと考えています。

そこに、「上手・下手」や「知識の多い・少ない」は関係ありません。あなたが「いいな」と感じることには、「あなたらしさ」のヒントが隠されています。それを探求することを無駄だと言う人がいますが、私はそうは思いません。

なぜなら「無駄だ」という理由が、たいてい「お金にならないから時間の無駄だ」という意味を含んでいるからです。お金にならなくても、時間がかかっても、幸せに生きていくために必要なことは沢山あります。

「お金になるか」や「効率的か」というモノサシだけで生きる人生は、とても窮屈です。「命=人生=時間」なのですから、幸せな人生とは「一瞬一瞬の時間を、私が幸せに感じていること」の集合体です。

幸せに生きている人には、幸せな人が集まってきます。誰かから言われた「将来幸せになるために、今は我慢して頑張り続けなさい。」は幻想です。自分がその人生に納得しているかが一番大事なのです。

8、まとめ

ウェルビーイングについて、自分なりに様々な角度から考察してみました。

ウェルビーイングとは「良好な状態」のこと。
「幸せな世界を作ること」であり、「幸せに生きること」です。

「産業革命」から「VUCA時代」「人生100年時代」へ価値観が変化する今だからこそ、従来の幸せ観を、私達自身がアップデートしていく必要があるのだと思います。

産官学民、様々な分野で、ウェルビーイングに関する取り組みが増えてきています。それは、住みやすい地球・国・地域に向けた取り組みもあれば、働きやすい職場であったり、生きやすい個人にフォーカスしたものまで、千差万別です。

そういった1つ1つの取り組みを行うことで、世界全体が少しずつ良い方向に向かっていく。

「自分たちだけが利する」という意図からではなく、「誰かのことの心から思い遣った結果、自分たちも利する。」という相乗効果が起こっていくことを、心から願っています。

ではまた!

しゅんたろう

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