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陣中に生きる—27
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楊家楼陣地での十日間
落着くと、昨日までの楊家楼生活が、遠い昔のことのように、いわば何とも懐しく、思い出されてくるのだった。
最初陣地侵入をした時は敵弾が雨霰のようで、櫓網湾東端にさしかかった時など、敵十五榴の猛撃で進めなくなった。
陣地に着いて卸下(馬にのせた大砲の部品を卸して組立てること)を始めると、敵弾がいよいよはげしく危険きわまりない。
身辺をかすめる飛弾の音を聞きながら、付近の地面につきささる弾丸を見ながら、背伸びして駄載物を鞍上にさし上げなければならない。
今にも胴体をぶち抜かれそうで、不気味だがどうにもならず、観念せざるをえなかった。
もしかりに、肉親がこれを見ていたとしたらどんなであろうか。
気も狂わんばかりになるであろう。
こんなことを、チラリと思ったりもした。
薄暮にとざされ初めた頃、まことに有難いことに、無事に卸下もすんだ。
さて砲車位置は、二つの大きな土饅頭の間で、しかもそこには、大きな霊柩が置いてある。
砲車位置をどのようにすべきか、突差には思い浮ばない。
いささか当惑したが、弾雨の中で思案投げ首もできない。
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