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障害児に遺産を残さずに死ぬと、子供が大変なことになるんだろうか

「障害児に遺産を残さずに死ぬと、子供が大変なことになりますよ」
「あ、たぶん大丈夫ですー」


先日、息子が小学校の支援学級からチラシをもらって帰ってました。

そこには、大きく「障害児に遺産を残さずに死ぬと、子供が大変なことになりますよ」と書かれてあったんですよね。
で、小さく新NISAセミナーと書いてあって、新NISAの勉強会のようでした。


それにしても、「障害児に遺産を残さずに死ぬと、子供が大変なことになりますよ」って。障害児を育てている親にとっては、インパクトのある言葉ですね。

この文字を見れば見るほど、息子の将来が悪いことしか想像できなくなってしまいます。例えば、息子が将来、お金がなくなってどこかで野垂れ死んでるけど遺体すら放置されてるとか。悪い想像はいくらでも湧いてきます。

なので、すぐにチラシをくしゃくしゃにして捨てたんですが。不安になった心というのはすぐには切り替えられないので、心配事だけが残ってしまいました。

でも、私は障害児の息子のことを近未来のことは心配しているんですが、大人になった以後のことは心配していなくて。
「彼ならたぶん大丈夫」と楽天的に考えています。

だから、彼の将来のための遺産は貯めていないし、それよりも自分たちの老後貯蓄に全振りしてまして。親としての彼への貯蓄は、大人になるまでの大学卒業分までとしています。


我が家には脊髄髄膜瘤で生まれた10才の息子がいます。彼は、生まれつき立つことも歩くこともできないので、いわゆる重度の身体障害児です。

重度の障害児への将来の不安というのは、尽きないですよね。

将来どころか、明日、明後日、半年後のことも「どうしよう、どうすれば」という出来事が起きてるんですけど。

将来の大人になってからとなると。お金は稼げるようになるのか、会社に入れるのか、ひとりで暮らせるのか、福祉窓口にひとりで行けるのか、誰かに騙されそう、とか。

明るいことを何一つ思い浮かべることができません。なので、障害児の子供のために今を我慢して遺産を残そうとする気持ちも分かるんですが。

でも私は、息子への将来の心配事が浮かんできても、結局は楽天的に考えていて。

「障害児に遺産を残さずに死ぬと、子供が大変なことになりますよ」と言われても、
「息子ならたぶん大丈夫です」
と、思っているんですよね。

そんななので、今の楽しみを我慢せずに、収入の範囲ではあるんですが、子供たちと旅行へ行ったり、外食したりしてお金を使い。子供たちに残すお金のことは考えてないです。

というのも、息子を毎日見ていると。

息子は、歩くことはとことんできないんですが、その代わりに得意なことがありまして。

人に話しかけたり、人と関わったり、人に頼ることが得意なんですよね。

放っておくと、知らない人や知らない場所でもすぐに話しかけるし。それも、「はじめまして」というのではなくて、「おう、久しぶり」くらいに人との距離が近くて。なんかずっと人と話しているんですよね。

人との距離が近いといえば、昨日、息子の髪を切るために美容院に連れて行ったんですが。息子は美容師さんにずーっと話しかけているんですよ。いつものことなんですが。髪を切ってもらう30分の間、美容師さんに毎日会う同級生かのようにずーっとしゃべってました。息子はしゃべっていないと死ぬのかなと思いましたね。

あと、息子は人に頼ることも得意で、基本的には自分で出来ることも自分でやらないので。息子は、人に頼ることを前提に物事が進んでいます。

親としては、息子は立って歩けないから出来ないことは補助してあげようとは思うんですが。自分でやらないことが多すぎて、トイレは自分で全部やろうよ、お風呂で髪は洗おうよとぐちぐち言ってしまうんですが。

そのくらい人に頼ることが得意ですね。


なので、息子が将来大人になって。働けなくてお金に困っても。

「助けてー」

と誰かに頼りまくっている息子の姿しか思い浮かびません。他人にSOSさえ出せれば、福祉窓口につながるだろうから、大丈夫ではなかろうか。


というわけで、車椅子の息子が小学校の支援学級からチラシをもらって帰ってきまして。

そこには、大きく「障害児に遺産を残さずに死ぬと、子供が大変なことになりますよ」、小さく「新NISAセミナー」と書いてあったんですよね。

そこからの、障害児の息子の将来については、実はそれほど心配してないなという話しでした。

(追伸)
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