エッセイ【なめられっぱなしの私じゃないのよ】
「男の人が出ていかないと、向こうも本気にならないよ。腹が立つだろうけど……」
イジメの問題等を含む学校教育に対する悩みの相談に乗ってくれている方に、母親だけで学校と対峙するのは難しい、学校側に本気になってもらうには父親が表に出ないと、と言われた。
なんだ、それ?なめられてんのか。
仕事を休んで、主人が校長に話をしに行った。長男が小学校の宿泊行事でつらい目にあってから、ひと月ほど経っていた。
子どもが二泊三日の行事から帰ってきてすぐにおかしいことに気づき、口が重くなっていた本人からゆっくり話を聞き出したのが、ひと月前の夏の終わりのこと。楽しみにしていた学校行事に参加した先で「死にたい」と思うほどの精神状態になり、そのことにまったく気づかないどころか、子どもが一人いないことにも気がつかず何も問題が起きていないと言った学校。
事実確認と話し合いのために学校に行って、長男の話が作り話ではないこ
とはわかった。私は学校を責めたかったわけじゃない。今後も楽しく通えるように、すぐに対応して、あの子の心の傷に対処して欲しかった。
森散策の時、点呼をとらずに出発したという学年主任は「ご長男くんに謝ります」と言った。でも、本人に直接の謝罪は最後までなかったよね。そんなことはどうでもいいのだけど。
学校の対応がずっとトンチンカンで、それによってどんどん我が子の心が壊れていくのを見ながら、眠れぬほど悩んだ。もちろん、夫婦で沢山話し合った。この夏の初めに開業したばかりで忙しい主人の代わりに、私が先生たちと話し合いに学校に通っていた。
主人が校長と話をした途端に、学校の対応がわかりやすいくらいに変わった。
なに、これ?母親をバカにしてんの?
腹は立つけど、でも、今大事なのは、私のプライドじゃない。
我が子に笑顔が戻ること。
大好きだった学校に再び楽しく通えるようになること。
戦いに勝つためには、なぜなんの為に戦っているのかの軸を見失ってはいけない。
そう!
だからここで主人に学校に行ってもらい、私の気持ちを主人の言葉で伝えてもらえた。そして学校が本気になった。だから、これは私の作戦勝ち。
ただなめられたままでいる私じゃないのよ。
*このエッセイは現在20代後半の長男が、小学生の頃の話です。
★エッセイの元になった課題本
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