2020年、最新式ナイジェリア詐欺の真相
40歳。
人生の節目です。
妻には「いらないもの断捨離して」と日々言われています。
そこで、某オークションを活用し断捨離をはじめました。
そしたら、来ましたよ。
私のボロボロのNIKEの靴を$2000で購入したいという英文が!
アメリカのカリフォルニアに住むAnnaというおばはん?が、ネバダ州に住むいとこ?にサプライズでプレゼントしたいとのこと。
まぁ、詐欺だろうと思いました。
でも、どうやって私のボロ靴をくすめ取るのか気になってしまいました。
そして、きっと相手は私のボロ靴が目当てではなく、もっと先に本当のトラップを仕掛けているのだろうと。
嫁さんと相談。
「まぁ靴の送料だけなら、授業のネタになるしやってみればー?」
私が勤める高校の生徒たちも、オークションサイトを頻繁に利用しています。
ちょっとこれは探究してみようと思い、Annaに返信。
すると、Annaから銀行口座を教えてくれたらすぐにお金を振り込むというメールがきました。
そして、いとこの住所も。
ここからは、Googleのチャットサービスを利用し、Annaと連絡を取ります。
Annaからは、EMS(国際スピード郵便)で発送してほしいとのこと。
代金を調べると、3,700円。
うーん、なかなか痛い出費です。
ここで、止めようかと思いましたが、それだとこの詐欺の本質が見えてきません。
Annaに、入金が確認できたら、EMSで発送すると伝えました。
すると、
U.S BANKというところから、私の口座に$2000が振り込まれました。
というメールが。
恥ずかしながら、$2000の文字にウハウハしている自分がいました。
危ない危ない、笑。
こりゃ、騙されるわ。
ひとまず、日本の銀行に問い合わせると、
「国際送金の場合、確認に2~3営業日かかります」
とのこと。
Annaからは、「お金振り込んだからEMSの領収書見せろ!」
と頻繁にメールがきます。
さらにUS BANKからも、「個人取引でのお金を国際送金する場合、なんらかの証明を確認する必要がある(なわけあるかい!)」
とメールがきました。
ここで、EMSの領収書が必要になったわけです。
そこで、私のNIKEちゃんには申し訳ないけど、旅立ってもらうことに。
EMSで、いとこ?に靴を発送。
その領収書を写真に撮り、AnnaとUS BANKにメールします。
すると、今度はUS BANKから「商品が日本から出た段階で、国際送金は成立する」的なメールが。
どうして、こんなに時間をかせぐのか。
気になって調べました。
すると、日本郵便のEMSには、
「海外への発送業務を行う郵便局(国際郵便交換局)で発送準備が完了する前であれば可能です。それ以降は、ご要望にお応えいたしかねます。なお、手数料をいただく場合がございますので、ご了承ください。」
とありました。
なるほどね。
つまり、日本の郵便局の管轄内であれば、私は送った品を取り戻せるけど、外国の管轄になった時点で取り戻せない、ということ。
だから、詐欺グループは確実に商品をGETするため、ここで時間をかせぐ必要があるのです。
実によく考えられているなぁ、と感心してしまいました。
その間も、Annaとのチャットは続きます。
彼女?はアメリカでi phoneのお店を経営している(という設定)らしく、
今度は「i phone 11 pro max」を日本で購入して送ってほしいとのこと。
なんて、図々しいやつやつだ!と思いながらも、
そんなもん、アメリカでも買えるじゃん!と返信。
Annaいわく、うちの店はアジア系のお客さんが多いため、日本仕様のi phoneが人気だから、日本で買う必要がある。
1台$2500払うから、10台買って送ってほしい。
なーんて、アホな内容でしょう。
私も、これには応戦。
まだ靴の代金$2000も受け取っていないのに、i phoneなんて買うわけないだろ。
本当に買ってほしいんだったら、先に私が欲しいものを買って送れ。
amazonでテキトーに$100ぐらいのスターウォーズのフィギュアを選び、
これを買って送ってくれたら、i phoneの話に乗ってやる、と。
あと、お金を振り込む先も次はPaypalしか受け付けない(Paypalは簡単に国際送金ができるサービスです)。
これにはAnnaも困ったのか、なんとか話をはぐらかそうとしてきます、笑。
「私が先にi phoneの話をしているんだから、i phoneが先!」
「Paypalは使い方がわからない」笑
「登録ができない」
とか、もはや駄々っ子です。
スターウォーズのフィギュアのお金を、i phoneの代金から差し引いて送金してくれて構わないから、先にスターウォーズ送れ!
お金のやり取りはPaypalのみ!
というメッセージを送ったら、そこでこの話は終了しました。
そうこうしているうちに、私のNIKEちゃんが無事にいとこ?のもとに到着しました(EMSは追跡できます)。
↑この家に着きました。
間違いなく、ここにナイジェリア詐欺グループはいます。
そして、このナイジェリア詐欺の核心が遂に明らかとなりました。
U S BANKとやらが、
私がお金を受け取るために手数料がかかり、それをAnnaが負担して、現在口座に$2950が振り込まれている。
$2000を国際送金するためには、まず私が$950の手数料を立て替える必要がある。
だから、ビットコインに$950をチャージしてくれ、と。
これです。
やはり、私の靴ではなく、お金をだまし取るのがヤツラの手口でした。
速攻、日本の銀行に電話しました。
やはり、最近同様の国際詐欺が多発しているとのこと。
本来、国際送金で必要な手数料は、送金側が7,000円程度。受け取り側はかかっても3,000円程度だということでした。
アメリカの友人に、US BANKのメールについて確認してもらったところ、もちろん偽物でした。
もうここまできたら、試合終了ですね。
私は、Annaに今回の詐欺について、アメリカの警察に通報する旨を伝え、このやり取りを終えました。
もちろん、彼女?から、その後一切連絡はきません。
日本のオークションサイトにて、約5年前からはじまったナイジェリア詐欺。
もともとは、だまし取られた商品がナイジェリアにて転売されるため、この名前がついたそうです。
しかし、その手口は商品→お金になっており、多数の日本人が詐欺の被害にあっているとのことです。
実際に、手数料を振り込んでしまった人もいるとのことでした。
当たり前ですが、
・海外からの変なメールには絶対にかかわらない!
・そんなおいしい話があるわけがない!
ということを、改めて皆さんと共有し、この話を終えたいと思います。
私は、授業にて生徒に経験談を還元して、詐欺被害の抑制につとめていこうと思います。
手軽に個人で売買でき、また自動翻訳サービスが向上している現在、高校生など若い子たちが同様の被害に遭う可能性もあります。
なによりも、知ってもらうことが重要です。
今回の授業料は、EMS送料3700円。
そして、旅立ったNIKEの靴。
この先、本当に大切なものを騙し取られる人が出ないことを願います。
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