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サブスクの功罪

2003年にインディーズレーベルを立ち上げ、これまでに30タイトルのCDをリリースしてきた身として、サブスクに手を出すことに人一倍抵抗感がありました。

フィジカル原理主義(笑)を貫こうと、頑なにサブスクから距離を置いていたのですが、いつの間にか妻がApple musicに加入していて、「家族割あるから一緒にやる??」と言われ、ついに禁断の領地に足を踏み入れてしまいました。

やってみてわかったことがあります。


なんて便利なんじゃーーーーーーーーーーーー(泣)!!!!!

なんで今まで毛嫌いしてたんじゃーーーーーーーーーーーーー!!!!

こんなんCDなんか、買ってられるかーーーーーーー!!!!

Apple Musicさいこーーーーー❤️


無知だった自分を恥じました。

好きなだけ好きなアーティストの音源をDLする。

アルバム全曲聴き終わったら、類似したアーティストの曲がかかり、2度びっくり!

勝手にDigってくれるんすね・・・。

それ以来、全くCDを聴かなくなり、BGMはすべてサブスクで済んでしまう日常になりました。


自分たちの音源もサブスクでリリースしました。

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ありがたいことに、外国のチャートにランクインしたり、様々な国の人たちが聴いてくれることを実感。

あぁ、こりゃCD売れないわ・・・。

もう、CDでリリースするの辞めよう・・・。


思っていました。


でも、やってみて気づきました。

自分たちの音源をサブスクに置いておくために、年次更新が必要だと。

更新をやめた瞬間に、リスナーの耳元から存在ごと消滅してしまうことにも。

事実、ぼくが聴いていたアーティストの音源がある日、忽然とライブラリから消えました。

もちろん、フィジカルは持っていません。

そのうちに、どんな曲だったかも、ジャケットのアートワークも忘れてしまいました。


サブスクを利用し始めて、逆にフィジカルを買う頻度が増えたことにも気づきました。

CDであったり、ヴァイナル(レコード)であったり。

サブスクでライブラリに入っているアルバムはなおさらです。

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NIRVANAの名盤”NEVER MIND”のヴァイナル。

アートのように部屋のインテリアの一部になるところもヴァイナルの魅力ですね。

ヴァイナルを聴くために新たにプレーヤーも買いました。

Bluetooth対応で、1万円台で十分なプレーヤーがたくさん売っています。


サブスクが世を席巻している感もありますが、実はヴァイナルの売上は年々伸びています。

米国では2020年、CDの売り上げを34年ぶりに上回るなど世界的なブームになっています。

下のグラフは、日本における過去10年間のヴァイナル生産実績です。

画像:日本レコード協会HPより

CDに取って代わられたヴァイナルの需要が、サブスクの潮流により息を吹き返したわけです。

ヴァイナルの魅力は、大判のアートワークと、音の柔らかさと、なにより聴く手間です。

利便性を追求するサブスクと相反する、いろいろ手間のかかるヴァイナルの需要。

面白いですよね。


実際にサブスクを利用してみて気づいたこと。

楽曲自体の価値が形骸化してしまった罪もありますが、

一方で、音楽により深く向き合う人も増えた功績もあるということです。

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