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書くことは孤独なマラソンだと思ってた。

いちおう文章を書くことを仕事にしてるので、たまに「書くことが好きなんですね」と言われる。そのたびに、うーむと唸ってしまう。

嫌いかといえば、そんなことない。だけど、無邪気に「好き!」というには、書くことは僕にとってあまりにつらく、孤独な作業だ。

そう、これまで、書くことは孤独なマラソンだと思ってた。

人っ子ひとりいない荒野を、淡々と走る。灼熱の日差しに焼かれ、凍てつく吹雪にこごえ、茂みにひそむハイエナにおびえながら、それでも走る。この「目の前の文章を書く」という競技に出てるのはおのれのみ。歯を食いしばってひとりすすむのだ!と自分に言い聞かせて。


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今日、「出てみてくださいよ〜」と以前から声をかけてもらってた、いつもお世話になってるメディアの編集会議にださせてもらった。

どんな話になるんだろう、と思ってzoomに入ったら、「山中さんの連載の話聞けるの、楽しみにしてました!」と、みなさん。えぇ、貴重な時間を僕の話につかっていいんですか…?と恐縮したのもつかのま、「どうしたらいい連載になるのか」を、みんなが考えてくれるじゃないの。「イベントやるといいんじゃないか」とか、「コラムみたいな形もおもしろいかも」とか。

みなさんの言葉を、ミストシャワーのように浴びた。浴びながら、あったけえなぁ〜、と思った。


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もしかしたら、書くことは孤独なマラソンじゃないのかもしれない。

書くことが、僕にとってつらい営みであるのはかわらない。でも、沿道には応援してくれる人たちがいて、給水してくれるひともいる。方向やペースを示してくれる人もいる。手にぎゅっとにぎったタスキは、誰かからわたされたものだ。

あ、僕はぜんぜんひとりじゃなかったわ。そう気づいた。

明日も走り続けられそうだ。



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