企業広報のTwitter戦略。エンゲージメント獲得のための発信の軸はLOVE ME

56.2%

この数字をみてパッと何の数字かわかりますか?

とある調査の結果では、日本企業のうち56.2%はTwitterを利用しているそうです。

確かにToC企業ではTwitterを運用していない企業の方が珍しいくらいですよね。

業種や業界によっては企業でのTwitter活動はもはや当たり前となりつつあり、Twitter をやっていることで競合よりもプラスになるというよりは、やっていないことで競合よりも機会の損失になるということの方が多いかもしれません。

使い方はキャンペーンや広告、日常的な接点の場など様々だと思いますが、
企業がTwitterアカウントを使うとき、パターンとしては2つのタイプがあるかと思います。

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今日はこの2つのタイプのうち、②の企業の広報のTwitter戦略について
「広報コミュニケーション基礎」を参考にしながら

改めてアカウントの目的から考え、だれもが発信の軸が作れるようなメソッドをまとめてみました。

企業のTwitterアカウントを運用していて
・どんな発信すればいいのかわからない...。
・思うようにフォロワーが増えない...。
・エンゲージメントが獲得できない...。
・ただプレスリリースを出すだけになってしまっている...。
・ただただモーメントに合わせた発信だけになってしまっている...。
そんなお悩みを解決するnoteになればと思い書いたものになります。

企業広報アカウントはLOVE ME,サービス(商品)アカウントはBUY ME

広報アカウントとしてTwitterを利用する場合の多くはコーポレートコミュニケーションという類のものになるのかなと思います。

※コーポレートコミュニケーションとは「すべての対内外コミュニケーション活動を効果的に調整するための枠組みを提供する経営機能であり、その目的は、組織が頼みとするステークホルダー・グループとの間に好ましいレピュテーションを確立し維持すること」とされています。
(広報コミュニケーション基礎 コーネリセンの定義)

レピュテーションとは企業の評判や名声などを意味する概念です。

つまり上記から企業広報アカウントの目的は、ステークホルダーとの間に好ましいレピュテーションを形成し向上していくことであると考えられます。

一方でサービス(商品)アカウントはそのサービス(商品)の顧客(潜在含む)に対して、買ってもらったり、購入を継続してもらったりすることに寄与することが目的であるとことが多いと思います。

企業広報アカウントと商品サービスアカウントの違いをまとめてみました。

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商品(サービス)アカウントは売上や事業成長につながることがコミュニケーションゴールなのに対し、企業広報アカウントは好感を獲得し高いレピュテーションを形成することがゴールであるというコミュニケーションのゴールに違いがあります。

それによって発信する内容やKPI・KGIなどが変わってきます。

発信内容は

企業広報アカウントは好感を獲得することが目的になるので、LOVE ME

商品(サービス)アカウントは売上や事業成長につながることが目的になるので、BUY ME

と言われています。

発信の軸を作るための前提条件としてはまだぼんやりしているため、対象と目的の解像度を上げることで発信の軸を作るための前提条件にできればと思います。

まず対象についてですが、

ステークホルダーの定義は
「組織の使命・目標の達成に影響を与えることができるか、あるいはそこから影響を受けるグループや個人」とされています。
(『Strategic Mnagement:A stakeholder Approach』Freeman 1984)

ステークホルダーは一次と二次に分類することができると一部の研究者からは言われているそうです。

分けたものがこちら

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企業ブランドはブランド・エクイティを包含する概念のため、主に一次ステークホルダーに訴求する概念と考えられ、レピュテーションは社会的な評判や名声も包含する概念のため二次ステークホルダーまでを対象とする必要があるとされています。

目的であるレピュテーションの形成ですが、レピュテーションはイメージよりも時間をかけて形成される認知を反映したものとなります。

ステークホルダーの思考を重ねたうえで形成された知覚となるため、メッセージに一貫性が必要となります。

レピュテーションのもたらす効果で最も重要な点はレピュテーションと企業価値の間には明らかな相関関係が存在し、高いレピュテーションを獲得できると企業価値も相関して向上すると言われています。

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上記を前提として、発信する軸をメソッド化していければと思います。

どのように発信の軸を作るのか?

それでは上記の前提にたって、どのようにレピュテーションを形成するための発信をTwitterでしていくのか。その発信の軸の作り方について考えていきます。

企業広報のアカウントの場合は、ステークホルダーは多岐にわたりますが、ステークホルダーそれぞれに違う訴求をしていくということはTwitterの特性上不可能ですし、レピュテーションの獲得には一貫性のあるメッセージが必要なので、伝える軸が複数あるのは良くありません。

それでは異なるステークホルダーに対してどんなことを伝えることで好感を獲得しレピュテーション形成していくのか。

まず、好感を抱いてもらえるポイントを探してみます。異なるステークホルダーから好感を獲得するためには、サービスのベネフィットの訴求などではなく、こだわりの個性や独自性など、企業としてのコアの部分である企業としてのこだわりや姿勢や想いや考えなどになると思います。

(パーパスやミッション、ビジョン、バリューで言語化されている場合はそれが該当すると思います。)

それではパーパスを伝えていきましょう。というのは良くあると思うのですが、パーパスやビジョンをストレートに伝えても、Twitter 上でレピュテーションを形成するどころか投稿内容を見てくれて認知されることすらも難しいかもしれません。

1ツイート1.08秒

ある調査では、1ツイート約1秒ほどで通り過ぎると言われています。つまり1分で約60ツイートを見ていて、日本では平均値として1日約30分Twitter を見てると言われているので、1日約1,800ツイート平均で見ていることになります。

さてみなさん今日みたツイートの中で覚えているツイートはありますか?

僕の体感値だと多くて2、3件でしょうか。つまり99%のツイートは忘れ去られていくのです。

そもそもSNSは生活者同士の交流するための場であって企業が発信するためのツールではありません。

なので企業はそもそもその前提に立たないと99%の忘れ去られる方に入ってしまいます。

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なので企業はその場にうまく溶け込んで、生活者に情報を受け取ってもらう工夫が必要になります。

一方で生活者に寄り添うだけで、企業としてのこだわりや姿勢や想いや考えを伝えられていないのもレピュテーションを形成できていないので企業広報としては目的を達成できていないことになります。

つまり、生活者に寄り添いつつも企業価値を伝え、しっかりと認知してもらえる設計をすることが必要になります。

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わかりやすく、生活者ゴトと会社ゴトを重ねましたが、実際にはこんなに重ねっているわけではなく、緻密に重なりを探さないと、レピュテーションを形成する発信の軸は作れません。

ここからはそんな発信の軸の思考法についてを書いていければと思います。

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発信の軸はコアメッセージ(届けたい価値)とステークホルダーのインサイト(関心)の重なり部分から探していく必要があります。

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Twitterは共感や驚嘆により、エンゲージメントされ、発信が拡散されていきます。

ステークホルダーが多すぎると、発信がありきたりになり誰にも共感や驚嘆されないものになってしまうため、戦略を作る際は一次ステークホルダーに該当する人たちをまずは洗い出します。

レピュテーションの形成のためには二次ステークホルダーまでが対象となりますが、Twitter 上では一次ステークホルダーに絞り、一次ステークホルダーの共感や驚嘆により、二次ステークホルダーまで広げていきます。

洗い出したステークホルダーのインサイトを考えていきます。
この時にポイントとしては、ステークホルダーのどんなインサイトの文脈に寄り添えば、メッセージを受容してもらえるのかというあたりを付けながらステークホルダーのインサイトを考えることです。

複数のステークホルダーのインサイトの立案ができたところで、そのステークホルダー全員に重なるキーワードを見つけ出します。

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ステークホルダーの重なるインサイトを見つけたら、そのインサイトに対してどのようにコアメッセージを伝えると好感を獲得できるのかを考えていきます。

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その結果から導き出されたものが発信の軸になります。

最後に完成した発信の軸をこの方式に当てはめて、もう一度みていただけると良いかなと思います。

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ということで、今回は企業広報アカウントの目的と発信の軸のメソッドについてを書いてみました。

発信の軸を決めたら、その軸に沿って投稿アイディアを考えていくことになります。

具体的にどのように投稿にまで落としていくのかとか、どのように効果を検証していくかなどは今後またどこかの機会に書いていければと思っておりますので、ぜひ気になる方はフォローしていただけるととても嬉しいです!

そして今回のnoteが少しでも今日からの実務に活かせそうだなと思った方は「どんなポイントが活かせそうか」をSNSでシェアしていただけるととてもとても嬉しいです!!!

それでは今日はこの辺で。

<参考文献>
広報コミュニケーション基礎 (宣伝会議マーケティング選書): 社会情報大学院大学(編) (著), 東英弥 (著), 上野征洋 (著, 監修), 井上邦夫 (著), 小早川護 (著), 安藤元博 (著), 北見幸一 (著), 柴山慎一 (著), 坂本文武 (著), 北村秀実 (著), 城戸真木子 (著), 榎並利博 (著), 白井邦芳 (著), 本田哲也 (著), 加藤恭子 (著), 中村勝彦 (著), 社会情報大学院大学 (編集) , 宣伝会議, 2016




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