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パリの地下鉄調査員との戦い

YouTubeを見ていると、伝説のバンド
JUDY AND MARYのデビュー直後のインタビュー映像を発見した。
そこでボーカルのYUKIがバンド名の由来を話していたのだがJUDYとMARYには
「ポジティブとネガティヴ」という意味があるのだと、話していた。

「ネガティブな感情は決して悪いものではない。
だってポジティブがないとネガティブもないし、ネガティヴがあるからポジティブがある。」

という事を話していた。
当たり前のようだが、
人は知らずとネガティブな感情を否定しがちだ。

以前から私もこのポジティブネガティヴ論争には言葉が有り余っている状況なのだが、
怒りや悲しみといった感情がネガティブなものでしかない事に、
ハッピーの押し売りやSNSでやたら感謝ばかりしている人々に
ある種の「気色悪」さを感じているタイプなので、

負のマインドあってこそ
陽がより輝くのだから。
ずっと陽だと本当の陽にいつ気づくんだ!

と、最もらしく自分を自分自身で無理やり肯定したばかりだったので、彼女の言葉がとても救いになった。

そんな前置きをしつつ、今日はこのネガティヴ部分が炸裂しそうなフランスのお話を。

フランスには現在コロナ感染拡大の第三波が来ていると報じられていた。
フランスも人生で最も行った国ベスト5に入るほどお世話になっていた国なので、以前のような輝きを早く取り戻して欲しいと願いつつも、
物申したい国ベスト3には入る国なので、今日はそんなフランスの、特にパリの話を少ししたいと思う。

私はフランス、特にパリがどちらかと言うと嫌いだ。

憧れの街、花の都パリ
オシャレな街パリ。キラキラの街パリ。

本当はどちらかと言わなくても、嫌いだ。

もちろん嫌いには理由がある。
100好きな理由があったとしても、その中に1嫌いがあると、その1がとても目立ってしまう。
私の「パリが嫌い」な理由。

私がパリの最も嫌いな理由にあげたいのが
パリの「地下鉄事情」だ。

もっと言うと地下鉄管理局みたいな奴らが憎くてしょうがない。
簡単に人を憎んではいけないよ、と遠くから声がした気がするが、
とりあえず大袈裟に憎いという言葉を使い、
彼らとの因縁の話をしよう。

パリの地下鉄には、ごくごく稀に不正乗車がないか確認をしている、一体どこからやってきたんだいという軍団がいる。

不正に乗車してないか調べたいのなら、改札前に待機していりゃいいじゃねーかと言いたくなるのだが、彼らはそんな野暮な事はしない。

改札を通り、改札もプラットフォームも見えないような微妙な位置に立っている。

そこで、人々が不正乗車していないか乗車切符をチェックをするのだ。
しかし極々稀に改札を通った記録が切符に残らない場合がある。
まず、そうゆう不具合がある事をこのフランス人達に学んで欲しいのだが、
一向に改善はされていない。

そしてこんな稀にしか起きない事が、時々旅行に来ている私のような観光客に起きるのだ。
こんなところでどんな倍率で引きの良さを発揮してるんだよ、と自分自身に言いたくなるのだが、2度ほどこの「調査員」に捕まっている。

1度目は私ではなく一緒にいた連れの切符が改札を通った記録がない、と言われた。
そして、あたかも当たり前のように
「はい、35€ペナルティお支払い!」
と、まるでこちらが何かを購入したかのように当たり前のテンションで言われるのだ。

ちょっと待てーい!

と、こっちはねるとんの告白タイムのような勢いで突っ込みたい。

今、たった今!


そこの改札通ったから私たちここにいるんです!
切符に記録がないとかそんなの改札の不具合でしょうよ!

と、どれだけ叫んでも悲しいかなこの声は届かない。
そして、お金を払うまで一生解放してくれない。
警察呼んで話し合いましょうと言っても警察すら呼んでくれない。

そして泣く泣く35€払って解放してもらうしかないのだ。
1度目もかなり粘ったが、結局ラチがあかないので時間が勿体ないという事もあり、お金を支払い解放してもらった。

2回目は私自身が捕まってしまった。
この日の私は時間がたっぷりあった。
前回の悔しさもあったので、ギリギリまで粘ってやる、とやめとけばいいものの覚悟を決めて奴らに挑んでやったのだ。

改札の防犯カメラをチェックしろと言うと
こんな事ではチェックしない、と言う。
いやいやこんな事でチェックしろよ。

警察呼びましょう。
呼ぶまで絶対動かないぞと思ったが、
彼らはその辺のお兄ちゃんを捕まえて、警察だとカマをかけ始めた。
結局そのお兄ちゃんはちょっと話を聞くフリして時間がない、と地下鉄へと消えていった。
何の時間なんだ、今のは。

日本語が通じる旅行会社に電話をかけ、
仲介して貰ったりもしてみたが、無駄だった。

ちょっと走って逃げてみた。
もちろん取り押さえられた。


これは側から見たら完全に異常者なのは私だ。

どれだけ粘れば、私に勝ち目があるのか粘ったが、無駄だった。

悔しい。クソッタレ。
なんなんだよ。この切符問題は!!このブス!と軽く小学生のような暴言を吐き(日本語で)
結局35€払わされ、調査員の馬鹿野郎どもに中指立てて別れを告げた。

悔しい思いのまま地下鉄の係員にその思いをぶつけると、ここに電話しな、と問い合わせ先を教えてくれた。
※この係員は調査員とは全く別物である

こうゆう丁寧な人もいるのに、
あの無礼な調査員どものせいで私がパリを嫌いになってる事、フランスはちゃんと知った方がいい。
そして二度と来ないわよ!と思う人だっているはずだ。
今後の為にもその事をちゃんと知った方がいい。

私はこの地下鉄調査員問題に1度目からずっと納得がいかないままだったし、2度目に関しては完全に異常者扱いをされたので、もちろん電話した。
事情を説明すると、
その番号の側にURLがあるだろ。そこに問い合わせフォームがあるから問い合わせしな、と言われたのでもちろん問い合わせをした。

「こちとてしっかりお金払って切符買って乗ってるんだよ。それを何だ、あの無礼な奴らは。
金取りか。泥棒か。パリの悪の根源か!!」

など軽くディスった上で払ったお金を返せ。と言ってやったのだ。(執念)

するとどうだろう。

お金返すから返金先を教えてくれと連絡が来るではないか。

はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ?!
返すんかい!返すのかい!
返すのならあの地下でのやりとりは一体何の意味があるんだよ!
アホか。アホなのか。アホなんだろ。

あの不毛なやり取りと、
調査員達の顔を思い出し、脳内で往復ビンタをかまし、50m先くらいから助走をつけて飛び蹴りまでかましてやった。


そして数週間後、私は無事に35€を取り返してやったのだ。

執念の35ユーロ。

こうして私の体を張った「パリの地下鉄調査員の調査」は幕を閉じたのだ。

この地下鉄切符と改札の謎問題が解決されない限り、調査員と、35ユーロの因縁の戦いがいつ何時起きるかと懸念される為、私は旅行者には1日乗車券を買う事を心からおすすめしている。

昨今、旅行が簡単に出来ない世の中になってしまっているので、私のこんな話もまるで遠い記憶のようだが、
私の財布の中には、まだ使えるパリの地下鉄乗車券が眠っている。

戦いは、また起きる。
かもしれない。


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