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「光の二重性」を初めて視覚化に成功

学生の頃に光は「粒子」と「波」両方の性質を備えている。
そう習ったもののモヤモヤし、実は今でも引きずっています・・・

常識と異なって頭で具体的にイメージできないのが大きな理由です。

そんな長年のモヤモヤが晴れそうな記事を見つけました。

要は、
光の二重の性質(粒子と波)を単一の電子顕微鏡画像で捉えることができた、
という話です。

・・・とにかく「美しい」ですね。念のため上記記事から画像も引用しておきます。

Credit:Fabrizio Carbone / EPFL

この仕組みの前に、光の奇妙な歴史について触れておきます。

まず近代科学を構築したのは、やはり「ニュートン」です。

彼の理論(ニュートン力学)では、光は無限の速度を保つ粒子と考えられていました。

次に登場したのが、19世紀後半に活躍したマクスウェルです。

彼は、ファラデーたちの電気・磁気に関する実験結果を「電磁気学」として理論の統合に成功しました。
そこでは、光は空間を伝搬する有限速度を持ったであると喝破しています。(実際に光速を計測した結果、みごと一致しました!)

これによって、光は「粒子」でなく「波」というのが当時の常識に置きかわります。

ところが、同じころに、今度は光が波であるとすると説明できない物理現象が発見されました。

これは「光電効果」と呼ばれますが、物質に光を照射した際に、電子が放出されたり電流が流れたりする現象を指します。

出所:Wiki「光電効果」

光が金属面に当たると、それまでに信じられていた電磁場理論によって金属内の電子が激しく揺さぶられ(エネルギーが与えられ)、一定値を超えると金属面から飛び出すはずです。

つまり、「放出エネルギーは光の強さに依存」するはずです。

ところが、実験結果によると、そのエネルギーは光の強度には依存せず光電子の数だけが増え、電磁気理論との矛盾が生じました。

歴史を書いているだけで当時のモヤモヤが再燃しますが・・・、そんな混乱のなか颯爽と現れたのが、20世紀初頭に活躍したアインシュタインです。

彼は、「光量子化説」と題する野心的な理論を提唱しました。

超ざっくりいうと、光を離散的な(一定のとびとび数値をとる)振動数を掛け合わせたエネルギーを持つ「粒子」とふるまうことでうまくこの現象を説明しました。

意外に知られていませんが、アインシュタインがノーベル物理学賞を受賞したのも、「相対性理論」ではなくこの「光量子仮説」の方です。

相対性理論が難解すぎたのでこちらにした、という逸話も聞いたことがあります。
都市伝説の真偽はともかく、この2つの論文を提出した1906年は「奇跡の年」と呼ばれています。
実は、相対性理論・光量子仮説とさらにもう1つ「分子の存在を数学的(ブラウン運動)に証明した」画期的な理論も提唱しています。

話がアインシュタインに持っていかれそうなので、光量子仮説に戻します。

この光量子仮説は正しさが検証されており、実は現代のデジタルカメラの原理としても応用されています。

ただ、一番厄介なのは、結論が「粒子」か「波」の二択ではなく、両方の性質を備えた物質である、ということです。

当時は、人間には善と悪が共存する、そういうものだ、と強引に自分を納得させた記憶がありますが、さすがにそれを意思を持たない客観的な存在である光に適用するのは無理があります。

冒頭の実験は、超高速電子顕微鏡を使って、光が波として作用するさまを視覚化しています。
そして同時に、まさに光電効果のように光を電子に衝突させたときの電子の速度変化も視覚化に成功しています。

その2つの現象が上記で引用した画像というわけです。

完全に霧が晴れたわけではないですが、ここまで状況証拠を画像で突き付けられると、「分かりました」と納得するしかありません☺

せっかくですので、その二重性の経緯をアニメーションで分かりやすく解説した動画を引用して締めたいと思います。


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