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ヒトゲノム計画は終わっていない

人類の遺伝子配列情報を解読する「ヒトゲノム計画」。おそらく言葉を聞いたことがある人は多いのではないでしょうか?

そんなヒトゲノム計画。いったん2003年に正式に報告されてめでたく成功裏に終了・・・とおもってましたが、実はまだ続いています。

実は以前より「日本人の」ゲノムを調べるプロジェクトが進行しており、つい最近の完了報告が発表されていました。

ようは、
近親者を除く約38000人の日本人の塩基配列情報を解読して公開し、今後医療などに貢献できる、
という話です。

せっかくなので、公開されているのはこちらのサイトです

こういった国家別取り組みは日本だけにとどまらず、先行して英国・米国が過去に数十万人規模で同じような試みをしていました。今回の研究グループは、今後この規模を拡大して東アジアに広げるそうです。

医療への貢献、という言葉もありますが、ある程度遺伝子を当たり付けして日本人と欧米人を比較した結果は2020年にも公開されているので紹介しておきます。


ようは、
17万人の適応進化に関わる29の遺伝子領域を日本と欧米で比較すると、日本人集団では、アルコール摂取量・腎機能・肥満・免疫疾患が適応進化の対象である一方、欧米人集団では、パン摂取量・握力・歩く速さ・背骨の関節炎が対象であることが判明した、
という話です。

やや長くなりましたが、もっと凝縮すると「日々の生活習慣の違いが遺伝子レベルで差異を生んでいる」ということです。

個人的には、遺伝子なんて生まれた時から世代間ではほぼ同じかなと思い込んでいました。
それが日常の生活習慣でも影響を受ける領域もあることをしってやや驚いています。

そういえばと振り返ると、冒頭のヒトゲノム計画も、実は後継に当たる計画が進行中です。

エンコード計画」と呼び、ヒトゲノム計画同様米国が中心になって活動しています。

違いは、遺伝子を制御する領域まで解き明かそうというものです。
よく「エピジェネティックス」という言葉でくくられます。先ほど触れた生活習慣、つまり後天的な結果によって生じる遺伝子発現の変化も、広い意味ではこちらに含まれるのだろうと推察します。(ちょっとここは裏取りができず・・・)

下記がエンコード計画の公式サイトです。

ちょうど2020年に3回目の大きな発表がありました。下記サイトでも日本語で紹介しているので載せておきます。

今回はヒトのほかにマウスなど、モデル生物と呼ばれる他種も解析しているようです。
目下その4段階目の発表に向けて着々と進行しているように見えます。

実は、2003年のヒトゲノム計画の結果報告では、遺伝子の数は「マウスとほぼ同数」という意外なものでした。

つまり、今は遺伝子配列自体の違いだけでなく、それをどのように制御、つまりオン・オフするのかがカギになってきているということです。
それがやはり人類は他種よりも複雑であることが、エンコード計画で徐々に解明されているのが今の進行形です。

ここは、今後の発表に大いに期待したいところです。それまではまず日々の生活習慣を正そうと思います・・・。

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