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熱を力に変えるバッテリーレスな未来

日本各地で猛暑が続いています。ニュースでよく「危険な暑さ」という表現を目にしますが、一応目安はあるようです。

この暑さ指数が31以上になると危険な暑さとなるようです。自然災害よりも桁違いに死者が多いことから、とにかく無理はしないように心がけたいと思います。

そんな暑さをうまくエネルギーに変えようというすごいデバイスが発表されました。こちらの記事です。

<元論文>

https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/adfm.202404861

ようは、
体温だけで使い続けられるウェアラブルデバイスを開発した、
というはなしです。

素材は、液体金属、半導体、特殊なゴムです。元論文の図を載せておきます。ややかさばりそうですが、それでもバッテリーを持ち歩くことを考えると夢のような話です。

上記論文内の図

鍵となる技術は液体金属エポキシ複合材と呼ばれ、熱電部品と本体上のデバイスの接触点の間の熱伝導性を高める役割を担います。

体が動くとデバイスの片側が空気の流れで冷却され、もう片方が体温上昇で加熱することで温度差を発生させる仕組みです。

さりげないようでこの温度を電気動力に変える原理は興味深いです。

熱を電力に変換する仕組みとして、熱を電圧に変換する「ゼーベック効果」と、逆に電圧から温度差を作りだす「ペルティエ効果」という2つの研究を応用しているようです。

それぞれ発見者からつけられていますが、ゼーベックは医業のかたわら物理実験を行い、偶然その現象をみつけました。
温度差のある金属を置くと方位磁針が触れたので、当初は磁性が生まれたと勘違いしたらしいですが、よくよく調べると発生したのは電流であることが分かりました。(磁性は電磁誘導で二次的に生じたということ)

電子デバイスが小型化・スマート化することで、より重要性を増すのがバッテリーです。
中長期的には無線給電の世界になっていくと勝手に妄想していますが、まだ人体への被害がみえないため、もしかしたらこの路線がバッテリーレスに近くなるかもしれません。

ただ、以前から装着して生活するだけで発電する仕組みはよく耳にしていました。過去の関連投稿を載せておきます。

あいにく、その後はなかなか普及化までにはいたりませんでしたが、今回の研究成果が本格的な商品開発につながってほしいものです。

特にペースメーカーなど医療補助として体内埋め込み機器を常備している人や長期間の健康モニタリングが必要な方々にとっては意義のある発明ですね。

暑い日々が続く中でこんな熱い研究もおこなわれているというお話でした。

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