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「分子ロボット」はすでに近い未来

分子の大きさで働くナノロボットは、SF小説ではおなじみですがすでに実用化に向けて着々と進行しています。

要は、いままでDNAを膜としたカプセル(薬のイメージ)はあったが搭載薬量が限定的だったのが、新しいDNA分子の組み合わせでより搭載量が増えた、という話です。

サイズは20マイクロメートル(マイクロは100万分の1)とのことで、まさに分子サイズです。体内の患部まで移動してカプセルが開いてピンポイントに薬を注入できる、まさに未来感のある研究です。

分子レベルのロボットは既に夢物語どころか、今回のようにどう作製するかという工学的テーマに移りつつあります。(もちろん倫理面も重要)

例えば、2021年にもこんなニュースがありました。

設計図はある意味総当たり戦なところがあってそれをAIで効率化してしまおう、ということです。同じような試みは創薬の世界では結構前から注目されています。

いつのまにこんなに話が発展したのだろう、と思いませんか?

ロボットをナノ(10のマイナス9乗)レベルまで微小化しようというアイデアは有名な物理学者リチャード・P・ファインマンが、すでに1959年の講演で提唱しています。
その際、「ブリタニカ百科事典全巻をピンの頭に印刷できたら1000ドル」という懸賞問題も出されて、1980年代に解決してます。

ただ、どちらかというと、当時は彼自身の話題性が先行したものです。

確実に科学技術として飛躍させたのはK・エリック・ドレクスラーという工学者で、一般向け著作「創造する機械」は当時話題になりました。

1980年代に、より微小な世界を覗ける走査トンネル顕微鏡も発明されて世界が広がりました。
そしてついに2000年には、当時の米国大統領ビル・クリントンにより新国家戦略「ナショナル・ナノテクノロジー・イニシアティブ(NNI)」が発表されました。
日本でもそのころから、官民それぞれに団体が立ち上がったりしてます。(ナノテクノロジーと名付けたのも実は日本人が初だったりします)

なお、ナノテクノロジーは総称で、方法論は目的によって異なっています。

例えばファインマンやドレクスラーは基本的に工学上のロボットを微小化する発想です。
ただ、現代は免疫(問題を学習して自律的に防御する体内の仕組み)やゲノム編集技術など、生命科学のアプローチが大きな足掛かりになっています。

そして研究テーマは、冒頭のように「体内病院」を目的としたナノ医療については実用化が特に期待されている領域です。

なかでも冒頭記事の通り「がん」への取り組みが多い印象です。(研究の数の比較までしておらず、よくニュースで見かけるという意味です)

日本だけでなく世界中で研究が起こっており、例えば下記のTED動画は最先端の取り組みが垣間見えておすすめです。(ビジュアルを見るだけでも)

我々が日々の生活で問題に直面したら改善に向かうように、体の中でも同じような細胞レベルで起こり、ナノ医療がそれを手助けしてくれるというわけです。

医療なので臨床試験を経てからになりますが、早く実用化して、貴重な生命と生活が維持出来る世の中が早く到来してほしいです。

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