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空気から生態系の空気をよめる

DNAと聞くと、近年は個人向けでもDNA解析サービスが増えてきました。費用面だけでなく唾液を提供するだけのお手軽なので、私も注目してます。

とはいえ「体内からDNAを採取」する以上、なかなか大規模に出来ることではありません。そんな思い込みをしていたら、面白い記事を見つけました。

なんと、DNAを「空気中」から採取するらしいです。
記事の例では、動物園内の空気からDNAを採取して解析したところ、飼育動物以外の種もみつかって、周辺の生態系調査に活用してるそうです。
わざわざ危険と時間を犠牲に動物体内からDNAを採取しなくてよいので、これは色んな応用がききそうですね。

もっと調べると、空気に限らず水中など環境から取り出せる「環境DNA」という総称がすでにあるようです。例えば日本では2018年に環境DNA学会が創立されてます。

環境DNAでの解析手法が気になったのですが、そこは従来の技術を援用するみたいです。(つまり特殊な技術というよりその採取元が生体外ということのようです)
念のため今の主要な技術を補足すると、シーケンサーと呼ばれる塩基配列解析機器で、DNA情報を増幅させる解読しやすくするPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)反応などを活用して解読します。もちろん情報の質・量が環境だと異なるので、その設定は少し工夫がいるようです。

そのあたりは、主要シーケンサーメーカ illumina社のサイトで分かりやすく解説されていました。

また、2021年には、環境DNA技術で調査をした結果、プラスチックを分解する微生物の存在が発表されていました。興味深い箇所も抄訳しておきます。

「海洋と土壌の両方の生息地で発見された酵素の存在量は、海洋および国固有のプラスチック汚染の傾向と有意に相関していることが観察されました。」

上記発表記事から著者が抄訳

これだけで結論はまだ早計ですが、汚れた地域ほど自然(酵素)が浄化してくれている、と受け取れます。

どういう機構かは分かりませんが、人間が人工的に生み出した(元々自然になかった)環境に負荷を与える物質を、地球の生態系が必死でリカバリーしようとしているのかな、と少し感傷的になりました。こういったマクロな現象は、探せばほかにもあるのかもしれませんね。

環境DNAの動向については今後も注目していきたいと思います。

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