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宇宙のホログラフィー原理とは?

ホログラフィー」とは、3次元情報を記録するホログラフという技術を活用することを指します。
二次元写真は光の波長(色あいとかが決まる)や強度だけですが、どの方向から光が来たのかまで記録するのがポイントです。
SFファンの方は、スターウォーズのレイア姫がホログラフで登場するのがなじみ深いのではないでしょうか?

そんなホログラフィーですが、この原理に似ていることから、理論物理学においても「ホログラフィー原理」という言葉が正式に存在します。

最近その研究について、興味深い発表がありましたので紹介します。

専門用語が多く難解ですが、くだいて自分なりに説明したいと思います。

まず、先に魅力的な話からすると、このホログラフィー原理は万物の理論を解くカギではないか?と期待されています。
万物の理論は1つの式で文字通り神羅万象を記述する究極の理論で、「超ひも理論」がその有力候補です。

過去に近い投稿をしたので引用にとどめておきます。

上記では割愛して書いてますが、鍵は素粒子の標準模型(3つの力を体系的に記述)で弱すぎて無視した「重力をどう織り込むか?」にあります。

超ひも理論は魅力的ですが、11次元で記述しているため、3+1時空の我々が観測して実証するのは極めて難しい問題です。
そしてホログラフィー原理をおもいきって一言でいうと(あくまで科学を非専門家が楽しむ趣旨ということで・・・)、

空間の体積はその境界面を測定すればわかる

という摩訶不思議なものです。(ピンとこなければ3次元を2次元で理解できる、でもOK)
そして、ホログラフィー原理を使うと、なんと「重力を使った理論と使わない理論」を一定の条件で行き来することができます。
大事なので言い換えると、重力を使わない理論から重力が出現した、と書くとその意義が感じられるでしょうか?

なんとも不思議な話ですが、こちらによると、ホログラフィー原理は素粒子・原子核分野で最も論文で引用されたそうです。(2019年時点)

歴史的なきっかけはトフーフト氏とサスキンド氏といわれていますが、彼らは「ブラックホール」の研究を行っていました。
若干細かくなるので結果だけ掬い取ると、「ブラックホールの内部(体積)はその境界(面積)からわかる」という仮説です。

それを数学的に拡張したのがホログラフィー原理を唱えたマルダセナ氏というわけです。
ちょっと堅い話が続いたので、1つエピソードを添えると、あまりにもこの原理が素晴らしいため、彼を讃えて”The Maldacena”という歌が1998年に超ひも理論の国際会議で歌われたそうです。
ちょっとそのテンションについていけませんが・・・、なんとなくすごいことをしたのだけは伝わりますね☺

もう1つ、冒頭記事で気になるのが、「ドジッター宇宙」という表現だと思います。
提唱した物理学者の名前からとっており、超ざっくりいうと、密度と圧力がゼロで宇宙項が正の値(ダークエネルギーと呼ばれる斥力が働く)をとる、まさに我々が存在している宇宙を指します。(ゼロの個所が違和感あるかもしれませが、宇宙はスカスカなので近似的にOK)

ホログラフィー原理が当てはまるのは、今のところドジッター宇宙の宇宙項が負の「反ドジッター宇宙」です。(それが上記にある条件の1つです)

「ここまで引っ張っておいて実世界に使えないんかい!」
と突っ込みをいれたくなりますが、数学的な対称性を使って反ドジッターとドジッターは対応関係にあるとみられています。

まさに今回の研究では、我々のドジッター宇宙(時間を除いた簡略モデル)とホログラフィー原理の対応をシミュレーションで確認したわけです。

今後はモデルに時間も組み込むことで、実存する我々の宇宙において、重力を含まない理論(量子論)から重力が生じる理論(重力理論)のつながりを解明していくそうです。

それは宇宙の創成(重力や実時間が生まれたメカニズム)解明にもつながり、それだけでワクワクします。

正直難解な話ですが、なんとか歯を食いしばってイメージだけでも理解に努めていきたいと思います。

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