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アインシュタインによって救われた天才科学者ボース:補足

前回触れたボースについてもう少し補足しておきます。

ようは、
低温にして粒子間距離が近づくとあたかも1つの粒子に凝集する現象がおこり超流動など物性物理学を拓いた、
という話です。

どこの科学雑誌も若手で無名だったボースの論文を受け付けてくれず、アインシュタインに送ったらその慧眼で高く評価されたという分かりやすいサクセスストーリーです。

しかも、彼の名前はとても名誉な名前がもう1つついています。

素粒子物理学では、「素粒子の標準模型」といういくつかの理論を組み合わせたものが存在し、現時点でもその精度の高さから使われています。

過去にその紹介をした投稿を引用します。

この素粒子の標準模型は下記のように表します。

出所:Wiki「素粒子の標準模型」

ちょっと見えにくいですが、縦の軸は
・フェルミ粒子
・ボース粒子
と書いています。これがまさに「ボース」の名称がつけられています。
なお、日本語では「ボソン」や「ボゾン」と呼ばれることもありますが、あくまで発音上の問題です。
(なのに本人のことはボースと表記するためなかなか気づかれないのです・・・)

フェルミ粒子の名称由来はイタリアの物理学者で、彼もまた天才級の科学者です。
話が発散するのでWiki引用だけにとどめておきますが、例えばマンハッタン計画でアドバイザーも務めています。

それに並び称されるのがボースですが、勿論単なる名誉だけでなく、その粒子の発見に貢献したのが大きいです。

この違いは、一言でいうと、素粒子が持つスピンがある定数の整数倍(1,2,3…)か半整数倍(1/2, 3/2, 5/2…)かの違いです。

といっても全くしみじみ感がないので補足しておきますが、スピン自体は過去にも投稿したので引用に委ねます。

ボースが唱えたのは、複数の素粒子がある条件下であたかも1つのようにふるまうという理論です。

素粒子のふるまいは量子力学の範疇で、主にはシュレンディンガー方程式で記述されます。
フェルミ粒子側は、この波動関数を1つ1つの素粒子で定義しなくてはいけませんが、ボース粒子はその互換性(例えば掛け算の順番を変えても同値をとるイメージ)がある程度許されます。

それを数学的に説いていくと、上記のようにスピンの倍率で整理できる、ということです。

このボース粒子ですが、まだ未発見ですが注目されているものもあります。

重力を媒介する「重力子」も理論上はスピン2となりその1つです。

と、素粒子の話ばかりしましたが、冒頭触れた通りマクロな物性物理学での応用が進んでいます。

比較的なじみ深いのが、超伝導です。日本でも開通が急がれるリニアモーターカーもこの原理で動きます。

超ざっくりいうと電気抵抗をゼロにして磁力を獲得して(電磁誘導)その力で浮かせて滑らせます。(浮いてるので滑るというのは変ですが。。。)

実はこの不思議な動きは長年研究テーマにされており、1957年にバーディーン、クーパー、シュリーファーの3人が解明し、その頭文字をとってBCS理論が完成しました。

その過程で、電子がボーズ粒子と同じようにふるまって、ボース・アインシュタイン凝集の説明にもつながりました。

ということで、ぜひ「ボゾン粒子」という名称を見つけたら、ボースのことを少しでも思い出してくれたらうれしいです☺

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