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【告知】日本経済新聞でカリ・ニクソン『パンデミックから何を学ぶか』を書評しました

 2022年10月22日の日本経済新聞朝刊書評欄で、カリ・ニクソンの『パンデミックから何を学ぶか』(みすず書房)を書評しました。カリ・ニクソンは文学作品の中に出てくる疫病やそれに対する対策を中心に研究している文学研究者です。
 と言うとめちゃくちゃ固く聞こえますが、そんなことはありません。たとえばダニエル・デフォーの『ペスト』では、無理やり自宅に隔離された人々がドアや壁をぶっ壊して逃げ出す様子や、都会を逃げ出して勝手に田舎に行った人々がどんどんペストを広げる様子がどう書かれているかについて、分かりやすく語っています。
 ニクソンの出張では、古典は今でも大いに役に立つ。なぜなら、薬もワクチンも何もない、病原菌もウイルスも発見されていない時代に、どうやって人々は自分の身を守っていたか、という知恵には大いに学ぶ部分があるからです。
 医療歴史文学研究みたいなジャンルには僕は全然詳しくないのですが、正直すごく面白かったです。それにしても、ウイルスから見れば人間は皆同じなのだから、社会的立場や政治的思考でいがみ合うのではなく、協力してウイルスを抑え込むしかない、という結論は全くその通りだと思いました。


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