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【エッセイ】『ウィンター・オン・ファイア』を見てウクライナ戦争について考えた

 2014年にウクライナで起こったマイダン革命の記録である。 EU に加盟すると国民を騙して最後の最後で交渉を打ち切り、ロシア寄りの立場を明確にしたヤヌコビッチ大統領を大統領の姿勢に怒った国民が、キーウのマイダン広場に集まり、冬中抗議活動を続ける。
 平和的なデモであるにも関わらず、大統領側は暴力的に取り締まり、実弾射撃も辞さない。けれども市民たちは恐れず、大統領府前のデモを続ける。
 とことんまで追い詰められた大統領は辞任し、後にロシアに亡命する。このマイダン革命こそ、現在のウクライナ戦争の直接の発端となっている。この時に合わせて、ロシアはクリミア半島とウクライナ東部の複数の地域をウクライナから軍事力を使って奪ったからだ。
 なぜそこまでプーチンが強気に出るのか。このドキュメンタリーを見るとその理由がよく伝わってくる。ロシア側は暴力と恐怖で人々を支配しようとする。だからこそ、暴力に屈せず、恐怖では支配できない人々の存在が邪魔でしょうがない。と言うか、彼らはそうした民衆が怖いのだ。
 こうした屈しない人々が人々の輪が広がっていけば、暴力と恐怖の支配が続けられなくなるのは明らかである。専門家のどんな分析よりも、この映像は雄弁にそのことを物語ってくれている。

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