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【書評】ぱやぱやくん『弱さを抱きしめて、生きていく。』--強がると弱くなる

 タイトルがいい。「弱さを抱きしめて、生きていく。」それはそうだよね。強がると弱くなる。弱さを受け入れると強くなる。著者が言いたいことは結局はその一点で、それをめぐってこの本も書かれている。
 よく言われることかもしれないけど、この本に出てきた、他人と自分を比べている限り必ずへこむ、比べていいのは昨日の自分とだけ、という言葉は心に染みる。
 また、一つの価値観に従うのがしんどくなった時は、他の価値観で動いてる人たちとゆるくでもつながりを持っていると、思い返しができて気が楽になる、というのもいい。
 著者の実体験に則した気づきには説得力がある。前の2冊は笑いに満ちていたが、この笑いもまた、生存するための戦略だったことが本書でわかった。
 自衛隊の訓練はあまりに厳しい。だからこそ、目の前の現実から少しだけ距離を取って、この状況全体が一つのネタなんだ考えてみる。そうすると、なぜか笑えてくる。そして、そのままだとただ思い詰めるしかなかったのに、なぜか生きる力の湧くスペースができる。
 こうした知恵は、今しんどい状況にある人を全てが使えると思う。多くのことを成し遂げた後で大所高所から語るのではなく、今も模索中の筆者だからこそ吐ける言葉がいい。

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