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複数の銀行と取引した際の注意点

金融機関取引状況表

銀行取引は、ひとつの銀行だけの取引ではなく、必ず複数の銀行と取引すべきです。その複数の銀行と取引した際の注意点です。

銀行から定期的に資料の提出を求められることがあります。試算表資金繰り表、建築工事業などであれば請負工事現況表などです。
更に、試算表と同時に、各金融機関の預金残高、借入残高の提出を求められることがあります。銀行では、預金や借入金の各金融機関の残高をもとに、下記のような「金融機関取引状況表」を作成しています。

図1

銀行は何を見ているのか

なぜ、この「金融機関取引状況表」を作成して、銀行は何を見ているのか。
銀行は貸出を増やしたいと考えています(当然商売ですから)。しかし、よほど業績の良い会社でない限り、それぞれの銀行は、メイン銀行にはなりたがらないものです。銀行としては、メイン銀行には企業に対し最後まで責任を取る必要があると考えているからです。企業側からすると責任を取って欲しいという意識はないかもしれませんが、銀行はそう思っています(そう思っているところが多いです)。銀行としては、貸出は増やしたいが、気がついたらメイン(サブメイン)行になっていたという状況は避けたいのです。

銀行は常にシェアを気にしている

そこで、金融機関取引状況表により自行のシェアを常に意識しています。銀行としては、

メイン銀行はこの企業に対してちゃんと支援をしているのか?
他の銀行はちゃんと支援しているかどうか?
シェアが入れ替わっているところはないか?

を金融機関取引状況表により確認しています。

メイン銀行とは一般的に貸出残高の一番多い銀行のことを言います。メイン銀行は貸出残高が一番多いことから、当然に預金などの経常的な入出金なども一番多く、その企業に関する情報を一番知りうる立場にあると考えています。
万が一、メイン銀行が残高(シェア)を落としていたら、「当行の知らないネガティブな情報を入手しいて、当社から引こうとしているのでは?」と考えることになります。
逆に言えば、メイン銀行を含めた他行がシェアに応じた対応を継続している場合、「当行も他行と同調し、シェアに応じた対応が必要だ」という発想になります。
あまり企業側は意識していなくとも、銀行側はそのように見ております(見ていることが多いです)。

預金取引も融資シェアに応じて

上記の「金融機関取引状況表」では、A銀行の融資シェアは72.2%です。しかし、預金シェアは29.0%しかありません。A銀行としては、融資シェアなみの預金の預入れを企業に求めることがあります。
預金は、万が一企業が借入金の返済が出来なくなった場合に、直ぐに相殺することができる担保の役割をします。したがって、銀行としては、融資をしているのに預金の預入れが少ない場合には、融資シェアに応じた預金残高を求めますし、企業側も融資シェアを意識した取引をする必要があります。

借入の申込みなど、
企業側も銀行取引は融資シェアを意識した対応が必要です。

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