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アメリカ会社員時代ーアメリカでの働き方

今回ももう少し大学から社会人になる所の経験を掘り下げて、職務環境についてお話ししたいと思います。皆さんもご存知の様に、学生と社会人の間には相当なギャップが存在します。そして雇用者側もある程度、理解を示して研修プログラムを構築してくれる所も存在しますが、北米ではそのギャップを最小限にする努力をしてきた学生が優先的に内定を貰っている感じがします。

例えば、インターンや過去の職務経験です。アメリカでは2年生終了後の夏休み中に将来的に勤めたい企業へインターンをして、3年生終了後の夏のインターン権を取得するのが一般的な流れです。そして2度目のインターン終了前には企業側からの卒業後のオファーを貰える流れになっています。もちろん、これは大企業や選別が厳しい企業(金融系)などが主になります。よって、中小の場合には雇用後数ヶ月は上司の影として動くのが一般的だと思います。
 
そして留学生(ワーホリも含め)誰もが苦しめられるのが、ビザです。僕もPurdue大学を優等生で卒業し、当時はエリートだったGEの幹部候補生用の特別プログラムにスカウトされましたが、やはりアメリカ会社ではなく日本国内の関連会社へのオファーでした。最終的には自分にもそれだけの魅力がなかったのだと思いますが、企業側としても外国人を雇うのは至難の業です。カナダ所在の弊社でも雇いたくても雇えない状況も多く存在し、双方の合意があっても法的に締結されない場合も多くあります。
 
また、北米というのは国と地域(東海岸と西海岸)によっても一般的な社会文化や人間性が異なります。よって、「アメリカ職務文化」を一括りするのは難しく、東西では西海岸の方が人間性は穏やかでチームワーク環境が成り立っている様に思います。そしてカナダよりアメリカの方が競争的で個人のパフォーマンス重視なのは、皆さんも想像がつくかも知れません。

ただ、北米の職務環境では個々の責任というのは地域性関係なく重要視されるので、納期や報告書の内容は個々の年間評価に直結しています。アメリカの雇用契約には随意雇用(理由なしで解雇可能)が頻繁に適用され、毎年人事もしくは直属の上司が各社員の職務評価を行い、その先1年間の給料査定を行います。よって、給料が一年で数十パーセント上昇する場合もあれば、下がる場合も大いにあります。そして、随意雇用である為、年間でも即解雇の可能性はあり、毎日が真剣勝負です。

ですから、こっちの職場では雑談が少なく、黙々と仕事をするのが一般的です。ただ、カナダの場合には随意雇用のコンセプトが存在せず、14日間の告知期間もしくはそれに応じた金銭の支払いが必要になります。もちろん、重過失の場合には即解雇が可能になる雇用契約書が殆どですが。
 
個人的には随意契約もカナダの契約体型も極端すぎると思います。資本主義の生産性を追求した形が随意雇用ですが、政治の道具に使われる事もあるのがデメリットです。カナダの契約では、事前通知をしても社員よりの労働法では不当解雇として訴えられる可能性も多く、大きなリスクになりかねません。
 
でも同時にこちらの職務環境はメリハリがあるのはご存知の通りだと思います。中でも長期間勤務や夕食会など特別な状況以外はありません。残業は厳しく付けられ、請求もされます。夕食会なども親睦会といっても業務や生産性向上に直結していなければ、強制することはできません。こっちではクリスマスパーティーなどがある会社もありますが、家族との約束などで欠席する人も普通にいます。
 
よって、ワークライフバランスはしっかりしています。管理職や起業家などは週末でも仕事をしている人も多いですが(メールなどの簡単な作業が主流ですが)、それは世界中どこでも同じだと思います。通常、金曜日などには17:05には社員は殆ど退社したり、17時前でも上司の許しを受けてハッピーアワーに参加している会社も少なくありません。週末は家族との時間で会社関係者とはよっぽど仲が良くない限り、付き合う事もないので、逆に月曜日の朝の雑談は「週末どうだった?」から始まる会話が多いです。

環境にもよりますが、バンクーバーの場合には週末は自然と戯れる人や家族も多く、夏であればハイキングや山登り、ヨットやビーチでピクニックなど。また冬であれば、スキーやスケートを楽しんだり、家族連れで遊ぶインドア施設も人気です。クリスマス時期にはイベントや夜のライトアップされた家々を見にドライブするのも恒例です。でも年齢に関係なく、みんなお散歩は好きなようで、よく1人でもカップルや家族でも歩いているのを見ます。
 
KM Pacific Investments Inc.代表
枡田 耕治


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