短編小説♯2 離れないで。
「キスして。」
あなたはキスをしてくれる。
「手を握って。」
強く手を握ってくれる。
好き
好きだよ
愛してる
愛してるよ
結婚して?
・・・
いつもここだけ、答えは返ってこない。
私達は付き合って3年は経つ。けど、いつまでも、私たちの時計は止まったまま。
出会った時は、お互い恋人のひどい束縛を受けている時。Twitterで出会って、お互いの悩みを話して、あっちから(あれ、私からだったかな?)誘ってきて、私たちは軽く食事に出た。
お互いの愚痴を話し合い、笑い合い、少し恋しくなった人肌を、埋めるが如く、カラダを交わった。
混ぜ合うお互いのドロドロとした感情が、麻薬が如く、私たちの脳を満たす。
これは知らない方が良かったかも。それくらい私たちは依存しあった。
そしてお互い恋人からの束縛が解放されて、そこからはもう自由だ。
私たちは付き合った。
たくさんお互いの好きを語り合った。
私はぬいぐるみが好き。
あなたは動物が好き。
私は子供が好き。
あなたは家族が好き。
私は性が嫌い。
あなたは、男性が嫌い。
たくさん話すたびに、私達の好きと嫌いがわかりあうたびに、叶わない夢を見てることが分かって、私は思わず泣いてしまった。
目から出る涙をあなたは一つ一つ拾ってくれて、そして私を強く抱きしめてくれる。
あなたの細い腕、私より大きな胸、私より細いくびれ、そして私より大きな目。
全てが愛おしい。全てが欲しくなる。
束縛は散々な思いをしたのに、私は束縛したくなっている。
人間は都合がいい。人にされて嫌なことを、平気でしたくなるのだから。
女性は不便だ。愛した女の人との子供だけは、産むことができないのだから。
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