見出し画像

一次情報だから、お金をもらう価値がある【さとゆみゼミレポート第5回】

ライター・コラムニストの佐藤友美(さとゆみ)さんが主宰する「さとゆみビジネスライティングゼミ」の講義レポート第5回をお届けします。

これまでのレポート↓


直近の記事30本のタイトルを書き出せ

今回のテーマは企画だ。

企画の立て方について、さとゆみさんは「まずそのメディアを細かく読む。眺めるんじゃなくて、読む。それから、最近の記事のタイトルを30本書き出す。30本タイトルを書き出すだけで、とんちんかんな企画を出さなくなります」と説明した。

事前課題は女性ファッション誌LEEもしくはSTORYの4ページの企画案を考えることだった。「LEEをやる人はLEEと同世代の別の雑誌を読むべき。1媒体だけ見ていると、そこの特徴って分からないから。ライバル媒体を見て、違いを確認することで初めてそこの立ち位置がわかるんです。だから、仕事を受けたらまずそこのメディアを調べる。それからライバル媒体を調べるのも必ずやってください」。僕は今回LEEの企画を考えたのだが、ライバル媒体については考えが及ばなかった。

実際に仕事をする場合は、編集部の方に詳しいことを聞く機会があるので、ある程度自分でリサーチをした上で聞くとよいという。事前リサーチの方法として、さとゆみさんはメディアの媒体資料、業界のマトリックス(業界分布図)を教えてくれた。

その後、ブレイクアウトルームに分かれ、前回の課題についてディスカッション。以下のような話題が出た。

  • 内容選びが難しかった。自分に興味関心のあるジャンルからしか選べない

  • 写真・ビジュアルを書く視点がなかった

  • 普段からアンテナを広げないと難しいのでは…

  • タイトル20文字以内、キャッチーで内容難しい

  • 企画のゴール難しい

  • 雑誌のコアファンに対してフィットする企画になるか不安

  • インタビューの人選に苦労した。過去に取材されていた

今回は女性ファッション誌の企画案を考えるという課題。正直、女性ファッション誌で仕事をする機会はないだろうから、いい企画が思いつかなくても別にいい、と思っていた。しかし、さとゆみさんは言う。

今回は企画を出すとはどういうことか、一番分かりやすいファッション誌でやってもらった。自分の相場観のある媒体で出すのはもちろん構わないんだけど、それは自分が読者でしかないよね。企画を出して通すということは編集者の目線にならなければいけない

さらに、こう続けた。

自分がその雑誌にピンときてないんだったら、ピンときてる人を探さないとダメだよね。LEEやSTORYを普段から読んでいる人を探して、その人たちをリサーチするのは必須だよ。企画は脳内で考えるものじゃないから。あなたの脳内で考えたことはたかが知れてる

普段から視野を広げたり、アンテナを立てたりすることが大事というゼミ生の意見に対し、さとゆみさんは「それはやればいいと思うんだけど、それだけじゃ無理。企画を立てるとなったら、仕事をするとなった時にアンテナを立てればいい」。普段からそこまでアンテナを立てなくていい、というのは救いにも思える。

が、僕にとっては厳しい言葉を感じた。さとゆみさんは事前知識がなくてもリサーチをすればどんな企画でも立てられる、と言っている。つまり、もし企画を立てられないとすれば、それは事前リサーチが甘いということなのだ。

企画会議は投資判断。企画書にはヒト・モノ・カネを書け

企画書はなんのためにつくるのか。企画書のゴールは、採用されることだ。企画会議で編集長の首を縦に振らせることが目的だ。「企画書というのは、企画会議を通すためのものです」。では、どうすれば企画会議を通るのか。

ポイントは、読者メリット。「企画会議っていうのは投資判断なんですよね。だから、どんなページになるのか、企画書である程度判断できないといけないんです」。具体的には、ヒト・モノ・カネをしっかり明記する必要があるとのこと。誰が登場して、どんなものが出てきて、どれくらいお金がかかるのか。それがイメージできないと、企画会議は通らない。

雑誌は原則、一時情報しか掲載しないのだという。写真は全部撮り下ろし、コメント一つでも専門家に取材に行く。

世の中に落ちてる記事を調べて書くというのはメディアじゃない。必ず一次情報にあたるっていうのを覚えておいてください。一次情報だからこそお金をもらう価値があるんですよね。一次情報じゃないと企画は通りません

具体的に、読者メリットになりうるパターンを5種類教えてくれた。

  • 圧倒的ビジュアル・希少性
    たとえば、今安室奈美恵さんのインタビューができるなら、どのメディアでも大型企画になる。引退してから一度もコメントを出しておらず、圧倒的な希少性があるから。ただ、一般のライターはここでは勝負しにくい

  • 情報の先取り
    今流行っているものではなく、これから流行るもの。専門家に取材するだけでなく、流行りに敏感なママ友に聞くなどもあり。ただし、ネットに落ちてる情報はNG。ネットに落ちてる情報はみんながすでに知ってる情報なので遅い

  • 信頼できるプロの知見
    やっぱり信頼できるのは専門家。監修を立てないとできない企画も多い。ただし、専門家に取材する場合、なぜその人なのかも考える必要あり。なぜ100人いる睡眠の専門家の中でこの人のメソッドがいいのかを書く

  • セレクション
    情報があふれている中、選ぶというのは価値がある。「今年のスニーカー50選」のようなセレクション。ただし、一般のライターが選ぶのは説得力がないのでNG。「人気スタイリストが選んだ」や「スニーカー芸人に聞いてみた」など

  • やってみた
    一般人でもやりやすい企画(特にWebでやりやすい)。経験の代行。人気YouTuber、TikTokerの多くが「やってみた」系。「整形してみた」など誰もがサクッとできることではないので、実際にやった人の様子を読者は見たい。

    この「やってみた」企画、さとゆみさんが以前noteで実践したところ、PV数も多かったという。

    参考

さとゆみの「今日の格言」

企画は脳内で考えるものじゃない。
自分の頭の中でいくら考えたところでたかがしれている。メディアの媒体資料にあたり、タイトルを30本書き出し、記事を読み込み、ライバル媒体との違いを調べ、読者の方に話を聞く。リサーチを徹底的にすれば、必ず企画は立てられる。


この記事が参加している募集

ライターの仕事

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!いただいたサポートは、次の旅資金に使わせていただきます。