=AKANE=　第十四話　余計なこと

夏休なつやすみも部活ぶかつは毎日まいにちあり、グラウンドを広ひろく使つかえるようにとバレー部ぶと午前午後ごぜんごごを交代こうたいで使つかうようにしていた。

午後ごごの部活ぶかつのときは私わたしは朝あさの日課にっかのランニングをしてから部活ぶかつに参加さんかし、午前ごぜんの部活ぶかつのときは早朝そうちょうのランニングからの部活ぶかつで、午後ごごからは彼かれと二人ふたりで船岡山公園ふなおかやまこうえんへ行いってトレーニングしていた。

そんな彼かれとのトレーニングが私わたしは楽たのしみだった。

彼かれがどう思おもっているかは多おおくを話はなさない性格せいかくだったので、その表情ひょうじょうから読よみ取とるのは難むずかしかった。

ただ彼かれは私わたしの足たりないポイントを的確てきかくにアドバイスしてくれるのでどんどんレベルがあがっていくのは自分じぶんでも実感出来じっかんできていた。

そうしてお盆ぼんも終おわわり二学期にがっきが目前もくぜんに近ちかづいた日曜日にちようび…

私わたしは朝あさのランニングを終おえ次つぎは彼かれとトレーニングしている船岡山公園ふなおかやまこうえんへ行いこうと自転車じてんしゃを出だしていると…

「あっかねぇーっ♪」

と、後うしろから私わたしを呼よぶ声こえがして振ふり向むくとそこには美波が居いた。

茜「おぉー、美波ぃー♪久ひさしぶりだね」

美波「うん、私わたしはたまに窓まどからグラウンド見みたら茜の姿見すがたみえるけどね」

茜「吹部すいぶの音おとは聞きこえるんだけどね…」

美波「ジャージ着きて日曜にちようなのに部活ぶかつあんの？」

茜「うぅん、今日きょうは船岡山公園ふなおかやまこうえんで自主じしゅトレ」

美波「船岡山公園ふなおかやまこうえん？？そんなとこまで行いってんの？」

茜「あ、あぁ……まぁ……」

と、少すこし歯切はぎれの悪わるい私わたしの返答へんとうに美波のレーダーが反応はんのうしたようですかさず聞きいてきた。

美波「誰だれと？」

と………

茜「え……誰だれと？って………」

と、少すこし口くちごもると…

美波はニヤリとして、

美波「なーんか最近燃さいきんもえてんなーて思おもってたら……そう言いうことか♪」

茜「え、ちょっと…違ちがうって！！そんなんじゃないよ！」

美波「朝あさもランニングしてるでしょ？」

茜「え！？知しってたの？」

美波「あたしも肺活量上はいかつりょうあげるのに毎朝自転車まいあさじてんしゃで走はしってるからね」

茜「え！？そうだったの？」

美波「うん、たまに車道しゃどうから抜ぬかしても茜全然気ぜんぜんきづかないんだもん」

茜「うわぁ〜、周まわりなんて全然見ぜんぜんみてないもん……」

美波「茜だったらそう言いうのなくても部活頑張ぶかつがんばってんだ、て思おもってたけど…」

美波「で？誰だれなの？」

茜「樋口だよ、男子だんしテニスの……」

美波「えー、樋口くん？」

茜「うん、たまたまトレーニングしてるとこ見みかけて……それで何なんかあたしも一緒いっしょにやりだしたって言いうか……」

美波「中学ちゅうがくんときに転校てんこうしてきた子こでしょ？」

茜「うん、そう…」

美波「吹部すいぶの顧問こもんと職員室しょくいんしつで話はなしてたら転校前てんこうまえの挨拶あいさつに来きてて、確たしかテニスは県けんの代表だいひょうだったって話はなしがチラッと聞きこえてきてさ…」

茜「え、そうなの？」

美波「うん、で…高校こうこうはテニスの強つよいところに行いくのか？て聞きかれてたけど本人ほんにんは公立受験こうりつじゅけんするって言いってた」

茜「へぇ〜、そうなんだ……どうりで強つよい訳わけだ」

美波「そりゃ茜もそんな子ことトレーニングしてたらめきめき上達じょうたつするわけだね」

茜「あー、うん……アドバイスは確たしかに的確てきかくだよ」

美波「そっかぁ、そんな人ひとに教おしえてもらえてラッキーだね」

茜「うん、そうだね」

美波「で？」

茜「ん？　で……？」

美波「付つき合あってんの？」

茜「え！？バカッ！！そんなんじゃないって言いったでしょ！！」

美波「なんだ、まだなのか」

茜「まだとかそんなんじゃないよ！そんなつもりでやってないしっ！」

美波「へへへ、そうなのかなぁ〜」

茜「何なによ！」

美波「まぁいいけど♪」

茜「ちょっと！変へんなこと言いいふらさないでよ！！」

美波「そんなことしないよー！」

美波「じゃああたし友香ゆうかに楽譜返がくふかえしに行いかないといけないから」

と、言いって自転車じてんしゃに乗のり走はしり始はじめると…

美波「理佐と由依には言いっといてあげるねー♪」

と、言いう美波の背中せなかに向むかって…

茜「余計よけいなことしないでー！！」

と、言いったが美波は手てを振ふりながら走はしって行いってしまった。

第十五話へつづく…

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