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先生と心臓(BL小説)
あんまり本を読まない。特に嫌いなわけじゃないけど、あんまり興味がない。
他の家族はみんな本を読むから、面白そうだと借りることもあれば、勧められることもある。二つ年上の姉はたまに「これ面白かった」と教えてくれる。姉のセンスは信用しているので、借りて読むこともある。
篠崎清二の本も、姉から借りた。翻訳家の書いたエッセイ。俺が中学生の時にたまたま読んで好きだった、アメリカのちょっと不思議な小説を訳
先生とこたつ(BL小説)
煙草が高くなりましたね、と、先生が言う。白くて骨ばった指先に、新聞の紙は妙に硬くてつやつやして見える。
「高くなったんですか」
「悪夢が現実になった感じの値上がりですね」
「はー」
俺には煙草のことはよくわからない。成人してまだ二年だし、周りの同世代にも吸ってるやつはほとんどいない。臭いし、正直まだ大麻とかのほうが吸いたいぐらいだ。親もどっちも吸ってなかった。じいちゃんは吸ってて、吸ってる間は