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忘れられない出会い③ルッちゃんのこと。

10代〜
私とルッちゃんは中1と中2の時同じクラスになった。
変わった名前で本人は気にしていたけど、私は良い名前だなと思っていた。
中学時代は決まって放課後彼女の家で、スーパーファミコンをするのが日課になっていた。
彼女の家は複雑で、お父さんがずっと働いてなくて家にいて、お母さんが学校給食を作る仕事でいつもいなかった。
お母さんとは仲が良かったけど、お父さんのことは毛嫌いしてるみたいだった。
お父さんのことを「あいつ」といつも言っていた。

高校は別々になり、私は商業高校、彼女は夜間の定時制で昼間はちゃんこ鍋屋でアルバイトしていた。

20代〜
大人になってからも交流は続いていた。家も近いし何かというと会ってお茶したり出かけたり、とにかく仲が良かった。

私が一時、仙台にいたときも遊びに来てくれたり、
東京に帰ってきてからもずっと会っていた。

30代〜
私が30前半で再婚し、夫と住んでいたマンションにもちょくちょくきた。
ふたりで「手芸会」と銘打って羊毛フェルトをちくちくしてたり、彼女に姪っ子が出来て休みの日になると姪っ子を連れてきてよく遊んだ。
家に居づらくて「今日三日間だけ泊めて」とうちから会社にいくこともあった。
地元駅前のマクドナルドに夜ずっと居て時間を潰してるともきいていた。

それがちょうど8年前のことだったと思う。

私は相変わらず専業主婦で、彼女は正社員で働いていた。

この頃相談をよく聞いていた。
社内で既婚者と付き合っている、と。
前々から友達の彼と付き合ってるとか色々聞いていたから、正直「またか」と思った。

どんなに正論を述べても、アドバイスしても無駄なのかなと感じていてただ彼女の話をうんうんと聞いていた。

会っても彼の話ばかり。
携帯で仲の良い写真を見せてきたり、
とても悩んでる感じには見えなかった。

ある夜で、彼のことについてまたメールがきた。
私は初めて「いつまでもそんな感じなら今後の付き合い考えるよ」と突き放したような内容の返事をしてしまった。

それからぱったり返事がこなくなり、8年経った。


自分から突き放してしまったことだから仕方なかった。
けどずっと長い間の交際関係が一瞬で崩れてしまい、ただただ悲しかった。

このメールの直後に私は不妊治療がうまく行き
息子が生まれた。
ルッちゃんは私に子どもがいることを未だに知らないだろう。
彼女が彼とうまくやってるのか、その後どうなったかは私もわからない。

最初は悲しい寂しいという感情があったが、今は「そういうことだったんだな」と納得できてる自分がいる。

離れる、縁が切れるときだったんだなと。

それはこちらが意図しなくても自然にやってくるものらしい。

それをただ私は受け入れた。

それだけの話。
逆らわず流れに沿うだけ。




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