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大豆を作ろう。 ①播種

最近大豆をどうやって作っているのか?と聞かれますので、自己流ですがまとめてみました。

まず播種(はしゅ)は直播(じかま)きではなく育苗箱にしています。なぜ直播きでなく苗を作って植えているのかと言いますと、ハトやカラスの食害を阻止したいのが一番の理由です。また、直播きですと2粒づつ播いてから一本立ちに間引きするのですが、これが何だか面倒だし、もったいない気がして。また、播いてすぐに大雨が降って豆が腐って全滅したこともありましたので。また、少し横に寝せて植え付けることで、ストレスを与えて株を太くしようと言う効果を狙って、、、というモロモロの理由で、今は苗を作って定植(ていしょく)しています。

時期

大豆は代表的な短日(たんじつ)植物で、昼の長さが短くなることによって、花のもとである花芽の分化が促進されます。よって、夏至よりずっと前に播種しますと、葉茎だけが大きく繁って、実があまりつかないことがありますが、これをツルボケと言います。

なので、大豆は夏至前後の6月中旬から7月上旬までに播種することをおすすめします。※品種にもよりますが、日本の多くの在来種の場合です。

うちで作っている品種は、「ハトコロシ」と言う黒目の青大豆で、岐阜県飛騨地方の在来種です。生態型は晩生(ばんせい・おくて)です。開花まで60日ほど、収穫はそこから80日ほどですので、約140日間の栽培期間を要します。

種の量

播種の量は、例えば一反(10a=1000㎡)の場合ですと、正方形だったら32m角の畑ということになります。周りを少し空けたとして1ウネ30mで条間90センチだと32ウネ出来ます。株間30センチで植えますので、1ウネ100本。32ウネで3200本の苗が必要になります。

1箱120粒撒いても使えるのが7割80本程ですので、40箱、種は4800粒必要です。ハトコロシは100粒重が約40g(普通の大豆は30〜35g)で1920g、約2kgの種が必要という計算が出来ます。なるべく良い種を選別して植えるならその倍ほど用意すると良いでしょう。

まず土は鹿沼土(かぬまつち→写真右、14L入328円)と、バーミキュライト(写真左、18L入568円、ちなみに50L入は1,080円)を用意します。軽い方が扱いが良いことと、植え付けの時に根っこが絡まずにスッと取れるので、この買った土を使っています。育苗培土でも畑の土でも、どんな土でもできます。肥料分はそんなに必要ないように思います。

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育苗箱

育苗箱も土が入れられて水はけが良ければ基本何でもいいですが、花・園芸用の育苗箱51型(100円くらい)っていうのが安いので使っています。セルポットでも出来ますが、この土で作ると根っこにあまり絡まないので、セルポットの意味があまりないかと思われます。

床土(とこつち=種を播く用の土)

まず、厚さ3センチくらい鹿沼土を入れます。鹿沼土は、数万年前の火山の噴火により形成された土で、簡単にいうと軽石のようなもので、とても軽いです。

この容器で3センチ厚に入れますと、約4L入りますので、1袋(14L)だと約3.5箱ぶんです。写真のスコップは1すくいで約1Lですので、一箱にスコップ4杯分くらいです。

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床土を入れたら、苗箱ごとどぶ漬けしてしっかり水を含ませます。

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播種(はしゅ=種まき)

床土に大豆をまいていきます。同時期に丹羽黒大豆と大納言小豆も同様に播いています。

3〜4センチ角に1粒くらいの感じで播きます。私は板に9×13の117粒撒けるように穴を開けて、およその位置に配れるようにしています。

鹿沼土がゴロゴロしているし、必ず真っ直ぐ発芽してくるわけではないので、それほどきっちり並べなくても、あくまで数の目安として。

ただ、なるべく豆のへそ(黒い筋)を横向きにした方が発芽が揃うと思われます。(が、そんなことを気にしていると作業がすすまないので、あくまで参考)

植え付けに良い苗は7割出るくらいですので、この一箱で80本ほどでしょう。残りをしばらく育苗して補植用にとっておいても良いですが、初期に生育の悪い苗は、後になっても伸びが悪いようですので、もったいないようですが畑の肥やしになってもらいます。

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覆土(ふくど=種に土をかぶせること)

その上にバーミキュライトを2センチほど覆土をします。バーミキュライトは、雲母系の「ひる石」を原料として、700度以上の高温で焼いて膨張させて作られた土で、めちゃめちゃ軽いです。pHはほぼ中性です。

この容器で2センチ厚に入れますと、約3L(スコップ3杯分)入ります。1袋(18L)で約6箱ぶんできます。

使用済みの鹿沼土とバーミキュライトは私は畑に入れていますが、挿木などに使うととても良いです。酸度が高いのでサツキやブルーベリーの根本に入れてもいいですよ。

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灌水(かんすい=水まき)

覆土をしたら、さらに上からたっぷり水をまきます。これで、芽が出てくるまで水やりの必要はありません。大豆は発芽期に酸素を必要としますので、あまり水分が多すぎると発育に大きく影響します。梅雨時に直播きしないのはこの理由もあります。3〜4日で芽が出てきますので、以降は毎日水をやってください。

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発芽(はつが=芽が出ること)

芽が出るまでは、鳥に見つからないように遮光シートなどで隠しておきます。鳥以外にもネズミに食べられることもあるので注意しましょう。

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下の写真は播種から4日目。土から子葉(豆の双葉)が顔を出したら水やり開始します。子葉が開かないうちはまだ鳥やネズミが狙うので注意しましょう。

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下の写真で播種から9日目。そろそろ植えてもよいでしょう。あまり伸びすぎないうちに定植することが大事です。定植編はまた次回。

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在来青大豆「鳩幸朗師(ハトコロシ)」について。

もともと飛騨の在来の大粒青大豆で、鳩が食べすぎて死んでしまうというほどおいしいと名付けられた「ハトコロシ」ですが、あまりにも物騒な名前ですので、ワタクシが勝手に「鳩幸朗師」と当て字をしました。幸朗師は大好きな漫才師人生幸朗師匠から拝借いたしました。

基本的に淡い黄緑色で、色が薄いもの、濃いもの、紫斑があるものなどまばらですが、元々そういう品種です。側枝も多く豊産で味も良いです。タンパク質含有量が多く、脂質が少ないので味噌に向いています。岐阜県恵那市にて、無肥料無農薬栽培、自家採種7年目です。ご希望でしたら種がありますので、お気軽にお問い合わせください。


播種0日 ①播種 
播種10日 ②定植
播種30日〜50日 ③中耕・培土
播種30日 ④摘芯
播種50日〜70日 ⑤開花期の灌水
播種100日〜 ⑥枝豆
播種140日〜 ⑦収穫

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