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ウズベキスタン旅行写真集「聖と寂」:ハレとサビ

2024年6月14日から2024年6月21日、ウズベキスタンに足を運んだ。
そこから感じたことを写真や言葉におとしていく。

観光情報に関しては別のページにまとめた↓
ウズベキスタン旅行記01【基本情報編】|Koichi | 流浪大学生 (note.com)

この国は美しくハレている。とりわけサマルカンド周辺は地中海性気候とステップ気候の移り変わりの地帯で見られる、特有な透き通るような青が美しい。

青い空、白い雲と建築、緑の大地、ここはウズベキスタン。
誰がどうやって、何のために電線にペットボトルを吊るしたのだろうか。
サマルカンドのシャーヒ・ズィンダ廟群(Shah-i-Zinda)
青のタイルをふんだんに活用した、精緻なデザインが特徴的なイスラム建築が見れる。
ウズベクの電車の車窓から。なにもない草原が永遠と続く。

ウズベキスタンは堺の時間が美しい。

光が街を照らしてく。
闇が街を飲んでいく。



そしてこの国は、イスラム教を中心とした聖なる国である。生活や文化の中に、シルクロードで伝来した様々な宗教、文化、伝統が複雑に入り込み、人々の行動や判断を規定している。

民俗学者の柳田國男は、日本人の伝統的な世界観として「ハレ」と「ケ」を見出しており、ハレ(晴れ)は儀礼や祭、年中行事などの「非日常」、ケ(褻)はふだんの生活である「日常」を表している。
しばしば「ハレ」と「ケ」は、社会学者エミール・デュルケームの聖俗二元論との類似性、すなわち、「ハレ=聖」「ケ=俗」の関係で論じられることがある。とりわけ、聖なる時間/俗なる時間という区分けとハレ/ケという区分けは相互に共通している。

私個人にとっても、この旅は初めての中央アジアでほとんどが一人旅であったこともあり、人生において明確に「非日常=ハレ」として区分けされる時間であったが、同時に、ウズベキスタンという国に見出した宗教的価値観や異国感、この国のもつ神聖な雰囲気から、ハレの漢字として「聖」をあてはめた。

サマルカンドのビービー・ハンニム・モスク(Bibi-Khanym Mosque)
シャーヒ・ズィンダ廟群
シャーヒ・ズィンダ廟群
サマルカンド、「Boqiy Shahar」内部
レギスタン広場(Registan Square)内部
レギスタン広場
サマルカンドのレギスタン広場周辺。
奥に見えるのは、ウズベキスタン初代大統領「イスラム・カリモフ」の銅像



寂は日本的な美的価値観である、侘と寂(わびさび)の寂を日本からはるか遠くの異国の地に見出したために、この言葉をもちいた。

シルクロードの要所として栄えたウズベキスタンは様々な文化や技術が往来するカオスな場所であった。綿花や金などの鉱物資源が豊かなこの国は、入り乱れる文化や様式からインスピレーションを受け、スザニ刺繍や、綿花や絹による布製品であるアトラス、精巧なデザインが特徴のリシタン陶器や、多数の金属加工品などの応用芸術が非常に発達しており、シルクロードが閉鎖して数世紀のときを経た今でも、大切にその技術が受け継がれている。

建築物に関しても、最古のものは10世紀ごろからの建築が残存しており、国民によって大切に守られてきた歴史が現代にも保存されている。

これはまさしく、「閑寂さのなかに、奥深いものや豊かなものがおのずと感じられる美しさ」である寂(サビ)そのものであり、時間が経過したからこそ滲む美しさや、歴史や伝統を重んじる精神をこの国からは感じることができた。

レギスタン広場「Tilya-Kori Madrasah(ティリャコリメドレセ)」内部
TashkentのArt Gallery内部
「Boqiy Shahar」内部
ウズベキスタンの伝統的な陶器。有機物から着想を得た、幾何学的、曲線的文様が美しい。
スザニ刺繍によりデザインされた布。
旧ソ連時代のレトロな車が街におおい。



そして、純粋にこの国は他の国に比べて静かである。とりわけ夏の日差しの強い日中は現地人はあまり外に出歩こうとしないため、観光地でも人がまばらである。国土面積に対する国民の数も多くはないため、静かに観光を楽しめるところが魅力である。

とりわけ、モスクなど神聖な場所を参拝したときの静寂さは、まさしく聖寂そのものであり、妙な緊張感が心の中でくすぶる。ウズベキスタンを訪れた際はぜひ宗教的建造物を訪れて、体感してほしい。

ウズベク料理。中央の小籠包のようなものはManti(マンティ)であり、とてつもなくうまい。
Tashkent(タシュケント)にあるChorsu Bazaar(チョルスマーケット)の様子
マルセル・デュシャン顔負けの作品

おまけ:ウズベクの人々

天才的な標識の使い方。
このなんともいえない絶妙な顔よ
チャルロス聖いた
電車で仲良くなった男の子。
なんかすき。表情と煙がたまらん。


概して、ここウズベキスタンには、日本的価値観と独自の文化や異国感が混在する「聖と寂」を感じる非常に魅力的な国であった。ぜひ、みなさんも足を運んでみてほしい。



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