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立憲は共闘で議席を減らしたのか?(1) ―立憲関係者、野党関係者必見―


 2021年の衆議院選挙で立憲民主党が議席を減らしたことについて、メディアも一部の政治家も、日本共産党と共闘したことで票が逃げたかのように言っている。特に、労働組合の連合(の会長)は、そのように喧伝している。そういう風潮になっているため、立憲民主党関係者にもそう思っている人もいるようである。

 しかし、果たしてそうなのだろうか?


立憲民主党の議席と得票率は減ったのか?

 まず、旧民主党・立憲民主党の過去の議席を見てみよう。

表1:立憲民主党などの衆議院選挙での議席の推移

議席数

 これを見ると、立憲民主党・旧民主党は、2012、2014、2017、2021年に、それぞれ、57議席、73議席、55議席、96議席を獲得しており、今回、立憲民主党は過去3回の選挙と比べてむしろ多くの議席を獲得している。前回の希望の党の分を前回の立憲民主党の分に合わせると、2021年の立憲民主党はそれよりは少ないが、それは後で説明する。

 次に、比例代表制の分の得票率を見てみよう。

表2:立憲民主党などの衆議院選挙での比例得票率の推移

比例得票率


 立憲民主党・民主党の2012、2014、2017、2021年の得票率は、それぞれ16%、18%、20%、20%であり、やはり、今回、立憲民主党は、過去の立憲民主党、および旧民主党得票に比べてほぼ同様の得票率を維持している。これで比例で負けたとは言えないだろう。むしろ、健闘しているとも言える結果である。


希望の党の分をどう考えるか? そして、維新は躍進したのか?

 選挙に詳しい人はよく知っているのだが、2017年の衆議院選挙において、比例の得票率は、立憲民主党と希望の党を足すと自民を上回っていたのである。その原因は、当時、希望の党騒動が起こり、連日テレビでその様子がワイドショーも含めて報道されていたことである。これにより、当時人気のあった小池都知事が関与している希望の党の露出が増えた。また、そこから排除されて立ち上がった形となった立憲民主党も一部から熱狂的な支持を受け、大きな人気を博した。これらの要素により、立憲民主党と希望の党が大きく得票した形となった。この時の国民の両党への注目というのは、得票が両党で自民党を上回っていたのだから、ものすごかったということである。これに比べて、2021年の立憲民主党は話題になる要素も特になかったから、2017年当時の立憲民主党と希望の党を足した分を2021年に取れるはずは全くない。立憲民主党が比例区で自民を上回ることが非常に難しいのは、共産と共闘するかどうかの問題ではなく、そもそも難しかったはずである。

 また、希望の党に当時投票した層は、維新に投票する層とかなりオーバーラップしていたことがうかがわれる。維新は2021年に大きく躍進したと言われている。確かに2017年の11議席に比べると2021年の41議席は躍進だが、維新(維新の党、日本維新の会を含む)の議席を見ると、2012年は54議席、2014年は41議席、であり、2017年だけが少なくてたったの11議席であった。維新も分裂したりいろいろと紆余曲折を経てはいるが、2017年は希望の党騒動があり、維新に投票するような層は、こぞって希望の党に投票していたのが議席減の大きな原因と考えられる。(維新が今回大きく躍進したように言われているが、以前の議席数に戻っただけである。そして、2012年の議席数には達していない。過去4回を俯瞰的に見れば、大躍進というのはミスリーディングであろう。)

 現在の立憲民主党は基本的にはリベラル政党であるため、元々維新に投票していたが2017年に小池色の強い希望の党に投票したような層は、維新に戻るのは不自然ではなく、立憲民主党がその票を獲得するのはそもそもなかなか困難であろう。国会議員の離合集散としてとらえると、希望の党の議員の多くは立憲民主党に合流したが、国民から見ると立憲は立憲であり、以前の希望の党と立憲民主党が合わさった党とはみなしていないのだろう。


(2)に続く!


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