フィールド・オブ・ドリームス 「承」編
夢の形は変わる。
劇作家を志望しながら、1本も書かずに20代を終えようとしていた。
当時、舞台俳優として二枚目の役ばかり、やらされており
ずっと「何か違う」と考えながら、日々過ごしていた。
ある公演が終わり「自分は本当に何がしたいのだろう?」と考えた。
「そうだ、劇作家になりたいんだった。」
その時、30歳。
振り出しに戻ったのである。
随分と遠回りしたものだ。
そこから、事務所も辞め、裏方に専念することになった。
高校生の頃、現代文のテストで出た
梅崎春生の「蜆」に衝撃を受け、ずっとそのテストを持っていた。
その「蜆」からインスピレーションを受けた戯曲
「じじみ」を書き上げることができたのである。
ようやく、劇作家デビューとなった。
その公演は下北沢で行われ、評判も良かった。
新宿の老舗劇場に勤務することも決まり、
並行して劇作もしていこうと思っていた矢先
2011年3月11日 東日本大震災が起こるのであった。
「転」編に続く。
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