見出し画像

5分も経たないお話

アイスコーヒーを買おうとドアに手を置いたときに聞こえてきた。どこから聞こえるのか気になったので、周りを見渡して。

「夜勤の子がさー」

「ソーシャルワーカーさんが来なくて」

「全然あの子動かないんだよね」

とものすごい早口の2人の女性がお酒のコーナーの前でお酒を選びながら話をしていた。周りが少し引くくらいの声で。

おそらく医療関係の方なのだろう。背は私より2人も高く、髪の毛は結んであり、仕事終わりと分かるようなけだるさが見える立ち方で。

話は続いていた。スイーツのコーナーで、物色する2人。私はいつものアイスコーヒーのMサイズを手に取って。

レジを通しているときにも聞こえる声、そちらが気になって店員さんに代金を支払うときにいつも使う電子マネーを間違えてしまって。

「あのマンガ、8巻まで出てるでしょ?」

「買ったけど読んでいないんだよね」

「休みのときなんかに読めば」

「寝たいんだよね」

私生活を、こんなにも大きな声で話して、大丈夫かな、と思いながら、コーヒーメーカーのところに行ってMサイズのボタンを押したところで。

抽出中のコーヒーメーカーの隣にその2人、嫌でも購入したものが目に入る。500mlのストロング4本と抹茶モコ2つを電子マネーで。

私のコーヒーができる前にその2人は会計を済ませて行った。袋に入れてもらったストロングと抹茶モコを何秒もしないうちに取り出して。

「ピーピーピー」と鳴り、リットを付けて、ストローをさして、ドアを見ると、ドアが開く音と同時にストロングの缶を開ける音が「ぷしゅー」と聞こえた。それは残念ながら私にしか聞こえなかった音で。

私もストローをパクッとくわえて、コーヒーを飲み始めながら、ドアに向かうと、後姿の2人はストロングと抹茶モコをもって歩きながら同じ方向に歩いて帰っていった。もちろん、飲みながら大きな声で。


今日、コンビニ行って起きた出来事。

ストロングは強い。医療関係の人の心は強い。

そう感じたわけで。