練習量が9分の1になっても、日本一になった8年前の自己ベストに迫れている理由
先日、「社会人になってタイムが出なくて悩んでいます。なんで学生の頃と変わらないタイムが出せるんですか?」と聞かれた。
その場で回答した内容をもう少し整理してこの場でシェアしたい。
50m平泳ぎ(長水路)の自己ベストは、2014年6月のジャパンオープンで優勝した27秒60。このとき大学は卒業し社会人1年目だったが、研修期間だったので、残業もなく、ひたすら勉強するだけで、十分に練習する時間を確保できていた。
今年の1月に行われた東京六大学水泳の記録会では、27秒64と、自己ベストと変わらないタイムを出せている。すでにもうすぐ社会人8年目。それなりに責任ある仕事を任せてもらっていて、この記録会の週も残業が多く、水曜と土曜のみ練習ができて日曜にレース、という状況だった。
学生時代と今の練習を比較すると
1週間辺りのスイム量で言ったら9分の1まで落ちている。
では、なぜ今の記録を出せているのか。
わたし自身、社会人5年目くらいまでは、なかなか思うような記録が出せない時期が続いていた。そこで、練習をするとパフォーマンスが上がる、それ以外の時間はパフォーマンスが下がるという前提を置くと、下図のようなことが起きていると考えた
このグラフを上向きにするには3つ方法がある。
1回の練習によるパフォーマンス向上を伸ばす
こう書くと、練習の強度を上げることを想起する人が多いかもしれないが、そうではない。パフォーマンスを向上するには、自分の課題を解決するしかない。なので、自分の課題が何かを明確にしてそれを潰すための最大限効率の良い手段を練習取り入れること、という意味である。
わたしは元々いわゆる運動神経は決して良いとは言えないタイプ。小学校・中学校で行われる体力テストではC評価だったし、運動会の徒競走では2番めに走るのが遅い組に入ったこともある。側転はできないし、平均台の上で歩くのは怖い。
自己ベストで泳いだ時は、背中やお尻が使えていて、とっても楽だった。けど、社会人になってしばらく、その感覚は消えて、泳げば泳ぐほどキツかった。
身体の使い方を改善すれば、過去の自分に追いつき超えることができるかもと思った。
パーソナルでトレーニング指導を受け、課題を明確化し、解決する手段を学んだ。スイムより陸上の方が、課題に効率的にアプローチできたから、スイムトレーニングの回数は必然的に下がり、陸上トレーニングのみの日ができた。練習回数が確保できなかった週はスイムより陸上を優先することもある。
垂直跳びの高さは10cm以上改善しているし、測定はしていないが、おそらく走るスピードも上がっていると感じている。
練習していないときのパフォーマンス低下を抑制する
練習してない時間にも目を向けましょう、ということ。
例えば、エネルギーが枯渇すれば筋肉は分解されていく、同じ姿勢を取り続ければ可動域が減っていく等
わたしの場合は、デスクワークが大きなテーマ。1日のうち最低8時間は椅子に座りPCで作業している。長い時は12時間以上…。
スーツで仕事していた時は、既製品のスーツは身体に合わず悪い姿勢に繋がっていたからフルオーダーにした。在宅ワークになってからはオフィスチェアやモニター、昇降式デスクを導入した(つい集中してしまいスタンディングで仕事することを忘れてしまうが)
そのほか、布団はエアウィーブにしたし、食事も消化を意識するようにしている。
また、身体の使い方を改善したことは、姿勢の改善に繋がって、日常生活でのパフォーマンス低下の抑制にも繋がってくる。
パフォーマンス向上させる局面を増やす
練習回数を増やすことができないという前提にたった時、どういうアプローチができるか。
ケアを受けて身体のコンディショニングを整えることもパフォーマンスアップの一手段であろう。ただ、そもそも練習回数が減っているほど時間を捻出できていないので、治療院に通う時間が惜しい。
そこで、わたしはセルフでのコンディショニング能力を高めることを考えた。以前は月に1、2回治療院に通ってケアを受けていたが、ここ2年くらいはほとんど通ってない。代わりに自分で自分の身体をケア(毎日朝晩ストレッチやリリース)をしている。
また、コンディショニングは、身体のケアだけでない。上手く使えない筋肉に刺激を入れて正しい動作ができるようにすることも大事な側面としてある。背中やお尻を使うことが苦手なので、トレーニングに行けない日でも家で5分10分のエクササイズを行ったりする。
また、身体の使い方改善はここにも効いてくる。階段の昇りは臀筋郡、重い荷物を持つ時は肩甲帯の安定のトレーニング。良い動作が出来ているからこそ、日常生活そのものが良質なトレーニングになる。
まとめ
わたしが実践している具体例は、わたしが抱えていた課題に対する手段に過ぎない。3つの観点から自分を分析して打ち手を考えることが大事。
とはいえ、身体の使い方、はほぼ全ての人にとっての課題だと考えている。
練習をあまりしないのにそこそこ速く泳げてしまう人がいる。そういう人は身体の使い方が構造的に合理的だから、
練習で狙ったトレーニングができる
普段の生活で崩れない
むしろ生活自体がトレーニングになっている
ということが考えられる。
以前はそういう人を見て羨ましく思っていた。何が違うのだろうと。今少しずつ近づきつつあると感じている。答えらしきものがここ数年で見つかったかなと。
うまくまとまらないけど、以上。
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