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勝手に選定!「新潮文庫の100冊」―#名刺代わりの新潮文庫100選

 毎年この時期になると、各出版社が文庫フェアをはじめますよね。主なのは、角川文庫の「カドフェス」集英社文庫の「ナツイチ」、そして新潮文庫の「新潮文庫の100冊」

 角川文庫と集英社文庫については、すでにこの6月にラインナップがでそろっていますが、新潮文庫は、しあさっての7月1日から公開がはじまるようです。

 新潮社。じつは、わたしが就職活動をしていて、もっとも行きたかった出版社でもありました。ゆいいつOB訪問のようなことをした企業であり、ほとんど「新潮社1択だった」といっても過言ではありません。

 けっきょく、最終面接で落ちてしまったのですが…その最終面接の結果の連絡を待つあいだ、いてもたってもいられず、当時公開中だった細田守監督の『バケモノの子』を映画館でみて時間をつぶしたことをよくおぼえています。が、いうまでもなく、肝心なそのストーリーのほうはなんにも頭に入ってきませんでした。

 その後、いまの会社に拾ってもらえたのでぶじ就職はできましたが、おなじく新潮社の最終面接で落ちて入社した同期がいたことにおどろきました(なにごとも運と縁)。

 さて、そんなこんなありましたが、ちいさいころから今日まで、新潮文庫はわたしのいちばん手に触れてきたレーベルでありつづけています。いや、わたしにかぎらずとも、どちらかといえば硬派な「文学」好きには、新潮文庫の愛読者がおおいのではないでしょうか?

 ということで、本家本元の「新潮文庫の100冊」がはじまる直前に、まことに勝手ながら、「新潮文庫の100冊」を選んでみることにしました。

 例年のカテゴリーにしたがって、「恋する本」「シビレル本」「考える本」「ヤバイ本」「泣ける本」の5つにわけて、それぞれ20冊ていど選定しました(思いつきでの羅列のため、順不同)。課したルールは、同一作者から2作以上選ばないこと、それから、絶版になっていそうな本からは選ばないこと。
 それでは、どうぞ。

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「恋する本」(20作)
 三島由紀夫「潮騒」/川端康成「伊豆の踊子」/織田作之助「夫婦善哉」/カポーティ「ティファニーで朝食を」/吉行淳之介「原色の街・驟雨」/ラディゲ「ドルジェル伯の舞踏会」/シェイクスピア「ロミオとジュリエット」/又吉直樹「劇場」/森鴎外「阿部一族・舞姫」/上田岳弘「私の恋人」/平野啓一郎「透明な迷宮」/フローベル「ボヴァリー夫人」/綿矢りさ「ひらいて」/古井由吉「杳子・妻隠」/樋口一葉「にごりえ・たけくらべ」/永井荷風「濹東綺譚」/ジッド「狭き門」/有島武郎「或る女」/スタンダール「パルムの僧院」/サガン「悲しみよ、こんにちは」

「シビレル本」(20作)
 ドストエフスキー「カラマーゾフの兄弟」/西村賢太「苦役列車」/沢木耕太郎「深夜特急」/村上春樹「1Q84」/米原万里「不実な美女か貞淑な醜女か」/カフカ「変身」/カミュ「異邦人」/松本清張「点と線」/スティーヴンソン「ジキルとハイド」/泉鏡花「歌行燈・高野聖」/サリンジャー「ナイン・ストーリーズ」/谷崎潤一郎「細雪」/島崎藤村「破戒」/開高健「日本三文オペラ」/北杜夫「どくとるマンボウ航海記」/フィッツジェラルド「グレート・ギャツビー」/宮沢賢治「注文の多い料理店」/ポー「モルグ街の殺人・黄金虫」/柳美里「ゴールド・ラッシュ」/つげ義春「無能の人・日の戯れ」

「考える本」(21作)
 小林秀雄「批評家失格」/加藤陽子「それでも、日本人は「戦争」を選んだ」/梯久美子「狂うひと」/遠藤周作「沈黙」/深沢七郎「楢山節考」/星新一「ボッコちゃん」/三木清「人生論ノート」/福田恆存「人間・この劇的なるもの」/ヘッセ「デミアン」/近藤雄生「吃音」/原民喜「夏の花・心願の国」/井伏鱒二「黒い雨」/ニーチェ「この人を見よ」/武田泰淳「ひかりごけ」/大岡昇平「野火」/プラトン「饗宴」/有吉佐和子「恍惚の人」/中島敦「李陵・山月記」/国木田独歩「武蔵野」/トルストイ「戦争と平和」/フロイト「精神分析入門」

「ヤバイ本」(20作)
 安部公房「砂の女」/国分拓「ヤノマミ」/蓮實重彦「伯爵夫人」/朝井リョウ「何者」/村田沙耶香「地球星人」/小林多喜二「蟹工船・党生活者」/石井遊佳「百年泥」/大江健三郎「性的人間」/小山田浩子「庭」/高橋弘希「指の骨」/羽田圭介「メタモルフォシス」/本橋信宏「全裸監督」/中村文則「遮光」/庄司薫「赤頭巾ちゃん気をつけて」/岡田利規「わたしたちに許された特別な時間の終わり」/坂口安吾「堕落論」/小島信夫「アメリカン・スクール」/稲垣足穂「一千一秒物語」/島尾敏雄「死の棘」/ワイルド「ドリアン・グレイの肖像」

「泣ける本」(19作)
 志賀直哉「和解」/太宰治「走れメロス」/高村光太郎「智恵子抄」/梶井基次郎「檸檬」/堀辰雄「風立ちぬ・美しい村」/夏目漱石「それから」/安岡章太郎「海辺の光景」/湯本香樹実「夏の庭」/福永武彦「草の花」/小川洋子「博士の愛した数式」/庄野潤三「プールサイド小景・静物」/角田光代「さがしもの」/石川啄木「一握の砂・悲しき玩具」/リルケ「若き詩人への手紙・若き女性への手紙」/幸田文「おとうと」/武者小路実篤「真理先生」/吉本ばなな「キッチン」/重松清「ナイフ」/与謝野晶子「みだれ髪」

 …以上、自宅の本棚をながめつつ選んでみました。
 選んでみておもったのは、やはり100冊もピックアップするとなると、読み手の趣味が露骨にでてしまうなあ、ということです。わたしの場合、日本の近代文学の作品がおおく、どうしても現代の直木賞系の作家やミステリー、SFなどのジャンルが手薄になります。

 それともうひとつ、あわせて新潮文庫のHPも確認してみたりしたのですが、まだまだまだまだ、手に取っていない新潮文庫の「名作」がたくさんあるんだなあということにも気づかされました。

 さて、本家とはどれぐらい重なってくるでしょうか。なるべく定番作品もピックアップするようにしたので、2~3割ぐらいはかぶるでしょうか。しあさっての答え合わせ(?)が楽しみです。

 われこそは新潮文庫の愛読者だ、と自負するあなた。そんなあなたこそ、ぜひ、私選「新潮文庫の100冊」にチャレンジしてみてください。

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