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『演技と身体』

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東西の哲学、解剖学、脳神経学、古典芸能(能)の身体技法や芸論を参照しながら独自の演技論を展開しています。実践の場としてのワークショップも並行して実施していきますので、そちらも是非… もっと読む
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#感情

『演技と身体』Vol.24 感情と身体③ 関係を表現する

『演技と身体』Vol.24 感情と身体③ 関係を表現する

感情と身体③ 関係を表現する

想起されるイメージに反応する

前回までの内容で、感情を〈①没入的な感情〉・〈②想起的な感情〉・〈③非状況依存的な感情〉の三段階に分けた上で、〈①没入的な感情〉と〈③非状況依存的な感情〉が演技において危ういものであることを説明してきた。

すると必然的に〈②想起的な感情〉が演技での本位になることになる。
改めて説明をすると、〈想起的な感情〉とは例えば暗闇の中にいて、

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『演技と身体』Vol.23 感情と身体② 没入的な演技の危険性

『演技と身体』Vol.23 感情と身体② 没入的な演技の危険性

感情と身体② 没入的な演技の危険性感情の本質はどこに?

前回は感情を3つのレベルに分けて説明し、“身体性の感情”と“非身体性の感情”があることを説明した。

“非身体性の感情”というのは例えば小説を読んだ時に経験する感情だ。その状況が物理的に迫ってくることなし(非状況依存的)に、想像だけで感情を経験する。これは人間以外の動物にはできそうもないことだ。非常に高度な感情体験なのだ。しかし、人間だけに

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 『演技と身体』Vol.22 感情と身体① 〜なぜ身体論なのか〜

『演技と身体』Vol.22 感情と身体① 〜なぜ身体論なのか〜

感情と身体① 〜なぜ身体論なのか〜軽んじられてきた身体

この連載記事は身体論的アプローチによって演技を考えようというものであるが、“身体論”という響きにはどこか心の動きを軽視するような感じがあると思われるところがあるようだ。だが言いたいことは逆である。心の動きについて考える時、身体を離れて考えることは本来できないはずである。それなのに、これまでの演技論では身体的な側面は軽んじられてきたように思う

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『演技と身体』Vol.8 感情と内臓

『演技と身体』Vol.8 感情と内臓

感情と内臓感情の”よくわからなさ”

感情とは何か。科学や哲学、あらゆる分野でおそらく決着のついていないテーマだし、よくわからないからこそ魅力的でもある。
感情というものを科学的、哲学的に解剖・解明しようというのは、芸術の立場からは程遠く、よくわからないものをよくわからないままに表現しようというのが芝居である。きっと多くの人がそう考えている。
しかし、よくわからないものをよくわからないまま抱えてお

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