あわじこうへい | 中国文学@上海

上海在住 | 大学で中国文学を勉強してました。今は上海で仕事をしながら時々漢詩を作った…

あわじこうへい | 中国文学@上海

上海在住 | 大学で中国文学を勉強してました。今は上海で仕事をしながら時々漢詩を作ったりしています。詩号は菖蒲。好きな時代は中唐〜北宋。詩と詞が好きです。よろしくお願いいたします。

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【活動紹介】現代写真×漢詩の可能性

1:はじめに明けましておめでとうございます。 新年から辛いニュースが続いておりますね。。大変なスタートではありますがこれから徐々に良いことが起こってくれることを願っております。 さて、昨年末にnoteを始めて約1ヶ月が経過しました。 数本記事を作ってみて投稿し、記事に「スキ」を押していただいた方や フォローいただいた方がいてくださり、とても驚いております。 自らの情報発信のためだとはいえ、 1件2件リアクションをもらえれば御の字、くらいに最初は考えていたので、 きちんと記

    • 【文学紹介】(続き)明け方の茶店と青瓷の花 楊万里:道旁店

      1:前回の続き前記事 【文学紹介】明け方の茶店と青瓷の花 楊万里:道旁店からの続きになります。 何気ないのスケッチに長けていた詩人、楊万里の作品を見ていきましょう。 2:道旁店【原文】 路旁野店両三家, 清暁無湯况有茶。 道是渠儂不好事, 青瓷瓶挿紫薇花。 【書き下し】 路旁の野店、両三家、 清暁湯無く、況(いはん)や茶の有るをや。 道(い)ふ是(これ) 渠儂(かれ)は好事ならずや、 青瓷の瓶に挿す、紫薇花。 【現代語訳】 鄙びた道のほとりに二、三の店が並んでいる 明

      • 【文学紹介】明け方の茶店と青瓷の花 楊万里:道旁店

        1:はじめにこんにちは。先日友人達と景徳鎮に旅行に行ってきました。 陶器で有名な街です。 朝から市場がずらり並び、手作りの茶器やら花瓶やらが売られていました。 我々が想像するような、かしこまった「茶器」や「花瓶」から デザイン性の高い陶器まで数々販売されてあり、新鮮な印象を受けました。 (陶器の市場なのに、なぜか竹内まりあの「プラスティックラブ」が流れていたのも、絶妙に印象的でした) 僕も手の届く範囲の値段で青磁の花瓶を一つ買いました。 青磁の花瓶を買ったら夏に百日紅の花

        • 【文学紹介】(続き)たおやかな春の酒宴に 庾信:詠画屏風詩二十五首 其四

          1:前回の続き前記事 【文学紹介】たおやかな春の酒宴に 庾信:詠画屏風詩二十五首 其四からの続きになります。 https://note.com/kohei_awj0614/n/n2802d1891ee2?sub_rt=share_pw 南朝梁の時代に生まれた詩人、庾信の作品を見ていきましょう。 2:詠画屏風詩二十五首 其四【原文】 昨夜鳥声春,驚鳴動四隣。 今朝梅樹下,定有詠花人。 流星浮酒泛,粟瑱繞杯唇。 何労一片雨,喚作陽台神。 【書き下し】 昨夜 鳥声春なり、驚

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        【活動紹介】現代写真×漢詩の可能性

          【文学紹介】たおやかな春の酒宴に 庾信:詠画屏風詩二十五首 其四

          1:はじめにこんにちは。ご無沙汰しております。 前回投稿からだいぶ間が空いてしまいました。。 投稿をサボっている間に上海もすっかり春の暖かさになってきました。 寒い日や雨がちな日々から少しずつ変化があり、嬉しい気持ちになります。 前回と同様、今回も梅の花が出てくる詩を紹介したいと思います。 前回の詩が雪の中で凛と咲く梅の美しさを詠んだものだとすると、今回は梅の花を囲む人々の雰囲気が感じられる詩だと思っていますので、ぜひ見ていっていただけますと嬉しいです。 ▽前回の紹介

          【文学紹介】たおやかな春の酒宴に 庾信:詠画屏風詩二十五首 其四

          【文学紹介】(続き)梅の花に馳せる思い 何遜:揚州法曹梅花盛開

          1:はじめに前記事 【文学紹介】梅の花に馳せる思い 何遜:揚州法曹梅花盛開からの続きになります。 繊細な情景描写を通じて自身の想いを詠った南朝の詩人、何遜の作品を見ていきましょう。 2:揚州法曹梅花盛開【原文】 兎園標物序,驚時最是梅。 銜霜当路発,映雪擬寒開。 枝横郤月観,花繞凌風台。 朝灑長門泣,夕駐臨卭杯。 応知早飄落,故逐上春来。 【書き下し】 兎園は物序を標(しる)し、時に驚くは最も是梅なり。 霜を銜(ふく)みて道に当りて発(ひら)き、雪に映じて寒を擬して開く

          【文学紹介】(続き)梅の花に馳せる思い 何遜:揚州法曹梅花盛開

          【文学紹介】梅の花に馳せる思い 何遜:揚州法曹梅花盛開

          1:はじめにこんにちは。年始から少しバタバタとしてしまい、投稿が遅くなってしまいました。 上海もここ最近は雨がちで気分も鬱屈とすることが多かったのですが、ふとXで地元の美術館の庭園に今年も梅の花(蝋梅)が咲いた投稿を見つけて、ふと気持ちが軽くなったことがありました。 (大和文華館さんという、奈良にある美術館です。) 東洋系の美術品の展示を行なっている美術館で、庭園も綺麗なので、日本にいるときはよく通っていたのですが、この時期にはよく梅の花を見に行っていたことを久々に思い出

          【文学紹介】梅の花に馳せる思い 何遜:揚州法曹梅花盛開

          【文学紹介】(続き)除夜と込み上げる興奮と 蘇軾:守歳

          1:前回の続き前記事 【文学紹介】除夜と込み上げる興奮と 蘇軾:守歳からの続きになります。 ユーモアな知性に富んだ文化人、蘇軾の詩を見て行きましょう。 2:守歳【原文】 欲知垂尽歳,有似赴壑蛇。 修鱗半已没,去意誰能遮。 況欲系其尾,雖勤知奈何。 児童强不睡,相守夜歓嘩。 晨鶏且勿唱,更鼓畏添撾。 坐久灯燼落,起看北斗斜。 明年豈無年,心事恐蹉跎。 努力尽今夕,少年猶可夸。 【書き下し】 知らんと欲す 尽き垂(なんな)んとする歳の 壑に赴く蛇に似たる有るを。 修鱗は半ば

          【文学紹介】(続き)除夜と込み上げる興奮と 蘇軾:守歳

          【文学紹介】除夜と込み上げる興奮と 蘇軾:守歳

          1:はじめにこんにちは。昨日は多くの方が仕事納めだったようで いよいよ今年も残すところ後わずかになりました。 中国のカレンダーでは元旦は祝日ではあるものの 年越しの本番は2月の春節、12月はただの月末という認識の方も多いです。 そのため日本ほど年末感は感じないのですが やはり12月31日は少し奮発したお酒とご馳走を食べながら 紅白を見てゆく年くる年を見て、、、 というのが恋しくなります。 今回は年末にちなんで、大晦日の日をテーマにした 漢詩を紹介します。 新しい年を迎

          【文学紹介】除夜と込み上げる興奮と 蘇軾:守歳

          【文学紹介】(続き)蜜柑を剥く手に漂う恋情 周邦彦:少年游

          1:前回の続き前記事 【文学紹介】蜜柑を剥く手に漂う恋情 周邦彦:少年游からの続きになります。 北宋後期に生まれた詞人、周邦彦の作品を見ていきましょう。 2:少年游【原文】 并刀如水、呉鹽勝雪,繊手破新橙。 錦幄初温,獣香不断,相对坐調笙。 低声問、向誰行宿。城上已三更。 馬滑霜濃,不如休去,直是少人行。 【書き下し】 并刀は水の如く、呉鹽は雪に勝り、繊手新橙を破る。 錦幄初めて温かく、獣香断たず、相対して坐(そぞ)ろに笙を調ず。 声を低めて問う、誰が行に向いて宿ら

          【文学紹介】(続き)蜜柑を剥く手に漂う恋情 周邦彦:少年游

          【文学紹介】蜜柑を剥く手に漂う恋情 周邦彦:少年游

          1:はじめにこんにちは。昨日は冬至でしたね。 上海は相変わらず寒さが増し、夜中には氷点下4度まで気温が下がるなど えらく寒い日が続いております。 冬至といえば水餃子や汤圆と呼ばれる白玉のような 食べ物を食べたりなどするのが中国では恒例なのですが、 急な気温の変化のせいでめっきり体調を崩してしまい 今年はそうもいきませんでした。。。 日本では柚子を湯船に入れる習慣があるためか 冬至の人なると、汤圆より先に柑橘類を連想してしまいます。 今回ご紹介する作品は冬至の日の作品では

          【文学紹介】蜜柑を剥く手に漂う恋情 周邦彦:少年游

          【文学紹介】(続き)凜とした夜と女の意地 李商隠:霜月

          1:前回の続き前記事 【文学紹介】凜とした夜と女の意地 李商隠:霜月からの続きになります。 唐代後期に生まれ、幻想的な詩風で知られた詩人、 李商隠の作品を見ていきましょう。 2:霜月【原文】 初聞征雁己無蝉、百尺樓高水接天。 青女素娥倶耐冷、月中霜裏闘嬋娟。 【書き下し】 初めて征雁を聞き已に蝉無く、 百尺の楼高くして水は天に接す。 青女と素娥は倶(とも)に冷たきに耐え、 月中霜裏に嬋娟を闘わす。 【現代語訳】 南へ向かう雁の声が聞こえるようになった時分、すでに蝉はい

          【文学紹介】(続き)凜とした夜と女の意地 李商隠:霜月

          【文学紹介】凜とした夜と女の意地 李商隠:霜月

          1:はじめにこんにちは。先週暖かい気温で過ごしやすいですみたいなことを書いた矢先、上海でも一気に冬らしい気温になりました。 暖かいのか寒いのかよくわからないなら、もう覚悟を決めて寒くなってほしい!というのが個人的な感覚だったので、やっとシーズンらしさが出てくれてちょっと嬉しいです。 季節的には秋の詩ですが、 寒くなると思い出すのが今回のタイトルにある李商隠の「霜月」です。 霜月は11月のことではなく、霜降る夜を照らす月のこと。 綺麗でちょっと面白い詩なので、見てもらえる

          【文学紹介】凜とした夜と女の意地 李商隠:霜月

          【文学紹介】(続き)亡国の君主と秋の寂しさ 李煜:烏夜啼

          1:前回の続き前記事 【文学紹介】亡国の君主と秋の寂しさ 李煜:烏夜啼(その1) からの続きになります。 江南の豊かな国を引き継ぎながらも、自らの資質のために時代の波に飲み込まれていった南唐の国主、李煜の作品を見ていきましょう。 2:烏夜啼【原文】 無言獨上西樓, 月如鈎。 寂寞梧桐深院 鎖淸秋。 剪不斷, 理還亂, 是離愁。 別是一般滋味 在心頭。 【書き下し】 言 無く、独り西楼に上れば、 月 鉤の如し。 寂寞たる梧桐の深院、清秋を鎖せり。 剪れども断てず、 理

          【文学紹介】(続き)亡国の君主と秋の寂しさ 李煜:烏夜啼

          【文学紹介】亡国の君主と秋の寂しさ 李煜:烏夜啼

          1:はじめにこんにちは。上海は12月でもまだまだ暖かく、先週節気の上では大寒に入ったみたいなのですが、全く実感がなく、秋の終わりという感じは強いです。 今回が正式投稿1回目みたいな感じで、勢いでnoteを始めたこともあり何を書いたらいいかよくわかっていないのですが、 自分の活動報告やコメントでいただいた漢詩の作り方的な内容と並んで、古典文学の紹介の記事などもアップできればと考えております。 とはいえ、有名な作品の紹介や解説は他の方々がすでに紹介されており、そちらの方が詳し

          【文学紹介】亡国の君主と秋の寂しさ 李煜:烏夜啼

          【自己紹介】上海で漢詩を作ったりする人

          はじめまして。あわじと申します。 上海に住みながら漢詩を作っています。 小さい頃から中国の古典文化が好きだったのですが、大学で中国文学(唐詩や宋詞)に触れて文学に本格的に興味を持ち、古典文学を専攻。 大学卒業後は広告系・デザイン系の会社に就職し、大学時代の専攻とは縁のない生活をしていましたが、20年に中国移住を決意、以降上海の会社で仕事しながら生活をしています。 仕事の傍、中国本場で古典文化が息づいている様子を肌身で体感し、また自身でも折りに触れて漢詩の創作や、(僭越なが

          【自己紹介】上海で漢詩を作ったりする人