見出し画像

#166 お金で買えないコンテキストの価値を経験② 〜コンテキストは伝わるから価値になる〜

こんにちは。ITベンチャーエンジニアのこへいです。

昨日、超豪華なご褒美ディナーにありつくことができ、お金では体験できないコンテキストの価値を味わうことが出来たという話をしました。

京都の祇園でも一見さんはお断りされ、お金があってもお座敷に上がれるわけではないから価値が上がります。
今回伺ったお店はシェフがいつも1席は空けており、一般の人からの予約も受け付けているとのことですので、通常のコースを体験することは出来るようです。
(通常のコースでも非日常のご褒美レベルです。)

しかし、今回は私の職場の理事がシェフとソムリエと知人であるということで、通常のコースとは違うメニューを用意いただくことができました。
これが、関係性というコンテキストによって得られる価値といえます。

さらに、今回はご褒美ディナーということで予算いっぱいに料理とワインのクオリティを上げていただきました。
それだけのクオリティを味わったことがない私のような一般庶民にも、素材の希少性やコースのストーリーなどのコンテキストを丁寧に説明いただくことで、これまで体験したことのない贅沢な時間を過ごすことができました。

さて、今日はコンテキストは伝わるからこそ価値になり、コンテキストの価値を深める属人化こそが差別化につながるということについて考えてみます。


〇コンテキストは伝わるから価値になる

シェフにVIPの方にはどのようなサービスを提供されるのかを伺ったところ、『最高のクオリティのモノを丁寧に説明して提供するのが一番のVIP待遇』と教えていただきました。

始めに聞いた時は正直「そんなもんなのか」と拍子抜けしたのですが、コースを食べ終えた時にその真意がわかった気がしました。

単に舌が感じる美味しいさだけであれば、1000円でも十分に美味しいものは沢山あります。

高価なものには舌以外でも感じられる美味しさがあります。
しかし、その美味しさに気づかなければ価値を感じることが出来ないのです。

温度が上がるとワインのクリーミーさが増し、料理の濃厚なソースとの相性が良くなり味わいが変わる。というのは、少なくとも私は知らなければ気づけません。

教えていただけることで、その違いに気づけるように神経を尖らせ食に向き合うことで、確かに味わいが変わり、美味しさだけでなく嬉しさも味わうことができました。

クオリティが高いというのは、気づくと確かに価値を感じられるコンテキストがあること、そのコンテキストをしっかりと伝えられることで価値を感じることができるということです。

私のような一般庶民にやっと見えるコンテキストもあれば、弊社の理事のような美食家も喜ぶコンテキストがあります。人それぞれに合った伝え方をすることで、コンテキストに相応しい対価を得ることに繋がります。

サッカーの解説でもワールドカップなど多くの国民が見る試合は松木さんのような賑やかな伝え方が好まれ、ヨーロッパサッカーのような玄人好みの試合では林陵平さんのような戦術的な解説が求められるのと同じですね。

〇深い深いコンテキストに人は魅了される

今回のご褒美ディナーで、私は浅いコンテキストでも非常に満足できました。

グラン・クリュの中でも更に希少なシャンパン。自家酵母仕込の久保田の万寿。20年熟成させた甲州ワイン。10歳の牛の熟成肉。など、一般庶民でも希少さがわかるようなワインと食事が並び、その希少さを丁寧に説明いただくことで、味わい深い時間を過ごせました。

理事はさらに様々なことをソムリエ・シェフとお話しされて、時折「これは予想外だー!」と喜びと驚きが入り混じる声を上げていました。

そして、食材だけでなく食器にもこだわりがあり、イタリアンレストランなのに日本のお皿を使っているとのことでした。
しかし、私たちはそのお皿のコンテキストを受け取ることはできませんでした。
ほとんどの料理をお箸でいただくことが出来て気楽に食べれたというくらいです。

きっとこのコンテキストの価値を感じれる方にはより満足感を味わえるのだと思います。
お店の造りひとつひとつにも隠れたこだわりを受け取れるような人も引き付けるコンテキストの深さがあるのだろうなと漠然とわくわくしました。

〇コンテキストの価値とは属人化の極み

深いコンテキストを価値に変える仕事はマニュアル化できません。
ある程度のセオリーはあっても、守破離のように型を破り自分なりのスタイルを突き詰めることで、深いコンテキストを伝えられるようになるのだと思います。

他の人が同じやり方を真似してもキャラクターが違えば伝わり方は変わってしまうため、自分にあったやり方をトライアンドエラーで見つけるしかないのだと思います。

シェフが「好き勝手にやっている」と仰るお店はイタリアンレストランでありながら日本や中東のお料理にフランス、アメリカ、日本のワインがペアリングされたコースが提供され、「あれ?イタリアンてすよね?」と突っ込んでしまいました。
しかし、最後に『満を持してという言葉をご存知ですか』とイタリア料理のボロネーゼと、王と称えられるイタリアンワイン『バローロ』の登場というストーリーをご用意いただきめちゃくちゃかっこいいと思ってしまいました。

都内の一等地のヒルズに構える12席の小さなお店は、シェフの10店舗目のお店で、これまでのご経験を踏まえて、そのような演出で楽しませるためにあえてこの規模にしたのだと思います。

好き勝手やっているからこそ生まれる深みは、素晴らしいお店を展開する中でシェフの中に積み上げられた属人性によって実現できるのだと思います。

好きなことをやってしっかり稼いで人を喜ばせる属人化の極みのようなシェフと出会えたことに感謝します。

ということで、今回はコンテキストは伝わることで価値が生まれ、その価値を生むのは属人化によるものであるという話でした。

美味しくいただいた食事の時間も最高でしたが、シェフ・ソムリエの素晴らしさを近くで感じれたことも、とても貴重な体験でした。

最後までお読みいただきありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?