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#64 「運送業」と「システム開発」の難しさの共通点(2024/04/06)

先日、共同通信社編集委員の橋本卓典さんのPodcastsで紹介されているトヨタ生産方式を凌駕するDX戦略の話を紹介させていただきました。

こちらの放送の後半で紹介されている「運送業」の難しいところについての「企業再生請負人」の伊藤貢作さんとの対談も、肌触り感がありとても聞きごたえがありました。

◯定期便と臨時便

中小の運送会社の場合、一定のルート・運送物を定期的に運送する定期便で安定的な売り上げを確保することが難しく、臨時便の配送によって事業が成り立っているとのことです。

臨時便は、前日の夕方にいつ何を運送するのかが決まり、行ったことのない場所・ルート・時間帯、いつもとは違う積荷を運ぶことになります。

どのドライバーが、どの車で、どの積荷を運ぶかの配送スケジュールを組むことを配車といい、一見、数学的に当てはめてスケジュールを組めば良いだけで簡単そうに思います。

伊藤さんもはじめは楽勝と思っていたら、とんでもないということを思い知らされたようです。

◯配車スケジュールは激ムズのパズル

伊藤さんは夜中の臨時便の依頼が入ったので若いドライバーを出したところ、ベテランのドライバーが「あの若いのを出してどうすんだ?あの工場の積荷はフォークリフトで積む必要があるんだぞ。」と指摘されました。

夜中の現場側にはもう人がおらず、ドライバーがフォークリフトを運転して荷物を積む必要があるのに、若いドライバーはフォークリフトの運転ができないと。
慌ててフォークリフトの運転が出来るドライバーをバンで追ってもらい事なきを得たようですが、その配送は大赤字です。

フォークリフトの運転可否、トラックに臭いが付かない食品かなどの積荷の特性、工事現場では大型トラックをバックで際際まで寄せる必要があるなど、ドライバー一人一人のスキルや資格、現場ごとのピッキングの方法などのリアル感を把握したベテランでないと適切な配車は出来ないのです。

さらに、箱型や平ボディなどのトラックの車種によっても配送の仕事は全然違い、特に平ボディは自由度が高すぎてなんでも積めるがゆえに、積荷をチェーンで括りつける固定作業もドライバーがやる必要があるなど、職人レベルのスキルが求められます。

当然、職人レベルのドライバーは少なく、職人に任せられるケースとそうでないケースで全くことなる配車スケジュールを組む必要があります。

運送業は非常に難易度の高い仕事であることが理解できました。

◯システム開発のスケジュールも職人芸

この運送業の配車の難しさは、システム開発のスケジュール作りと全く同じです。

このnoteのように、Google Chromeなどのブラウザで動くwebアプリの開発には、ユーザー触れるブラウザの画面(frontend)と、ユーザーや記事の情報をブラウザに渡すサーバー側(backend)と、ユーザーや記事の情報を保持するデータベースとで求められるスキルは全くことなります。

また、開発する機能によって求められるスキルレベルも異なり、プロジェクトの期限内に開発を終えるためにいつまでに何をどの順番で作るかをスケジューリングし、それが実現できるようにエンジニアをアサインする必要があります。

また、機能を実装するめには仕様を決めていく必要があり、機能ごとにどういう情報が必要になるか、その情報を誰からどのように引き出すかなどを理解し、開発が進められる状況を作っていかなければなりません。

それらの現場のリアル感を把握した職人レベルの技術がないと、期日までにシステム開発を終えられる実行的な開発スケジュールを組むことが出来ません。

運送の配車と全く同じなのです!!!


橋本さんと伊藤さんの対談では、数字で分析するだけの現場を知らない金融機関が改善案を提案してきてしまう点を指摘していますが、システム開発を理解せずに案件と人数だけ揃えて「あとはやるだけ」と勘違いしてしまうケースも良くあります。。。


ただ、この難しさへのチャレンジもシステム開発の醍醐味の一つではあります。
他の業界も同様な課題に立ち向かっている話が聞けて励みになりました。

最後までお読みいただきありがとうございます。

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