#200 続けることで思想が広がる 〜アンパンマンが教えてくれる本当の正義〜
こんにちは。ITベンチャーエンジニアのこへいです。
何事も始めるのは簡単、続けるのは難しい。それでも続けていくことに価値がある。周りに認められるとか、すぐに成果が出るようなことをしすぎては社会を動かすことはできない。社会を動かすのは思想であり、言い続けること、やり続けることで思想が広がる。
ということが、木下斉さんのVoicyで語られていました。
放送を聞きながら、自分の仕事においても、すぐに成果が出なくても自分がやるべきと思ったことを言い続けてやり続けることで思想となり組織の変化を起こすことが出来るのだなと、歯を食いしばっていました。
また、この放送を聞いて、先日高知県にあるやなせたかし記念館へ行って知った、アンパンマンに込めた想いが広がったのは、長い間やなせたかし先生が考え続け、言い続け、やり続けてきた結果であるということと重なりました。
今日はやなせたかし先生とアンパンマンの物語について紹介します。
〇遅咲きのやなせたかし先生の伝記
先日、高知県にあるやなせたかし記念館・アンパンマンミュージアムへ行ってきました。
私はそこで初めてアンパンマンの作者であるやなせたかし先生が、50代で「アンパンマン」が大ヒットする以前は売れない作家であったということを知りました。
アンパンマンミュージアムのギャラリーにある、絵や詩に触れていくとやなせたかし先生の生い立ちに興味がわき、先生の伝記である「勇気の花がひらくとき」を買って読みました。
この本から、やなせたかし先生が、家族との別れや戦争、人と自分を比べて落ち込む気持ちと付き合いながら、「ぼくが活きる意味はなんだろう?」と考え続けてきたことを知りました。
〇やなせたかし先生の考える正義
アンパンマンが顔を分け与える理由
1日中働いて疲れても一晩寝たらまた元気が出る。少しぐらい怪我をしても、その痛さは我慢できる。でも食べるもののない苦しさはどうにもならない。と、戦争中にやなせ先生は、飢えることの惨めさと苦しさを嫌というほど味わいました。
また、子供の頃から日本がする戦争は全て正しいのだと言われて育ってきたのが、戦争に負けると日本がしたことは悪いことであり、正義の戦争をしていたのは中国やアメリカやイギリスだということになりました。
敗戦後は、戦争中とはまるっきり反対になってしまったのです。ある日を境にひっくり返ってしまう正義なんて、そんなものが本当の正義と言えるのでしょうかと、戸惑い、正義のための戦争なんかないと思いました。
そして、本当の正義とは、お腹が空いている人に食べ物を分けてあげることだと。
戦争は人を殺すことですが、食べ物を分けてあげることは人を生かすことで、命を応援することです。命が大切であることは世界中どこへ行っても、またいつの時代でも変わりません。それなら飢えている人を助けることは決してひっくり返らない。本当の正義のはずです。
そのような考えからアンパンマンはお腹を空かせた人に顔を分け与えるのだそうです。
アンパンマンが弱い理由
アンパンマンは顔が濡れただけで力が弱ってしまいますし、誰かに顔を食べさせたら、毎回ジャムおじさんに作り直してもらわなければなりません。それにかっこいい武器もありません。データ光線も出ないし、剣や銃も持っていないのです。でも、やなせ先生はこれが僕にとってのヒーローなんだと考えていました。
それまでのテレビのヒーローが怪獣をやっつけると、ビルも家も道路もめちゃくちゃになってしまいます。相手をとことん叩きのめし、森や町を壊して、それで正義が勝ったと言って、はいおしまい、それでいいんだろうか?と、やなせ先生は疑問を持っていたのです。
ヒーローが武器を持って戦うというのも、自分が経験した戦争に似ているから嫌っていたようです。子供達に戦争がかっこいいと思って欲しくありませんでした。
アンパンマンは確かに弱い。でも困ってる人がいれば、自分の身が危なくても必ず助けに行きます。弱い者が勇気を出した時、本当のヒーローになれるんだ。そんなアンパンマンの活躍に私たちは勇気づけられ、正義とかは何かを考えさせられます。
やなせたかし先生が一番伝えたかったこと
先制がこの絵本で一番描きたかったのは、お腹を空かせた人に顔を食べさせたアンパンマンが元気をなくしてフラフラになるところだったのです。
そこには正義を行い、人を助けようとしたら、自分も傷つくことを覚悟しなければならないという考え方がありました。自分の食べ物をあげてしまったら、自分が飢えるかもしれない。いじめられてる人を庇ったら自分がいじめられるかもしれない。それでもどうしても誰かを助けたいと思う時、本当の勇気が湧いてくるんだ。
と、「自分が傷つくことなしに正義を行なうことはできない」といった持論を「世界一弱いヒーロー」と評するアンパンマンに込めていたのです。
〇哲学的なアンパンマンのマーチ
「何が君の幸せ?何をして喜ぶ?わからないまま終わるそんなのは嫌だ。」
と、こども向けのアニメでありながら、アンパンマンのマーチの歌詞は哲学的な深い内容です。
やなせ先生は、こども向けだからと言ってレベルを下げてはいけない。真剣に伝えれば、子供はちゃんとわかってくれる。大人よりよほど鋭いんだ。
と、子供向けの絵本をたくさん書いてるうちに、先生は子供たちが物事の本質をパッと掴んでしまうことを知ったのです。だから、正義とは何かというメッセージをお話の中に込めたのです。
やなせ先生は、アニメのテーマソングには自分自身が長い間考え続けてきた一番大切なテーマを入れました。
それまでの人生で何度も立ち止まったり、これでいいんだろうかと悩んだりしました。勉強でも運動でも弟に必ず劣等感に劣等感でいっぱいだった時、勉強で仲間を失い。病気をしたり、飢えに苦しんだりしながら、死がとても近くにあると感じた時、弟が死んでしまいなぜ自分だけが生き残ったのだろうと申し訳ないような気持ちになった時、夢が叶って漫画家になれたのになかなか人気が出なくて、自分の居場所はないようで悲しかった時。
そんな時いつも心に浮かんでくるのが「何のために生まれて何をして生きるのか」という問いでした。
その答えを探し続けて、やなせ先生はそれまで生きてきたのです。
ということで、「勇気の花がひらくとき」で描かれているやなせたかし先生がアンパンマンを通して伝えている正義について紹介しました。
これらの想いも、長い年月をかけて言い続け、やり続けたきたことによって広まったきたということです。
50代になるまで売れない作家として活動してきたやなせ先生が、自分の信念に従い生き続けてきたということには勇気をいただけますね。
2025年度前期の朝ドラでは、アンパンマンを生み出したやなせたかし先生と小松暢の夫婦をモデルに『あんぱん』が放送されるそうです。
こちらも楽しみにしたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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