伊藤光平|Kohei Ito

微生物多様性で健康な都市を創るために研究事業に取り組んでいます。仲間を募集中です。

伊藤光平|Kohei Ito

微生物多様性で健康な都市を創るために研究事業に取り組んでいます。仲間を募集中です。

マガジン

  • 都市にいる微生物たち

    僕たちの体には38兆個以上もの微生物が共生しており、健康に大きく貢献している。もちろん、都市にも微生物は多く存在している。都市/建造環境における微生物が数多く研究され、ヒトの健康への影響が多く明らかになってきた。微生物多様性が都市における重要なパラメータになると考え、微生物多様性を考慮する重要性、研究でわかってきている健康への影響のエビデンス、微生物多様性を高めることで得られる利益を適宜論文を引用して解説する。

  • 都市を醸す

    「醸す(かもす)」という言葉には、「麹 (こうじ) を発酵させて、酒・醤油などをつくる。醸造する。」、「ある状態・雰囲気などを生みだす。」という意味があります。また、微生物が、人間にとって都合が良い副産物を作ることを「発酵」といい、人間にとって都合が悪い副産物を作ることを「腐敗」と呼びます。都市をフィールドに先鋭的な活動している実践者が都市において醸そうとしているカルチャーを明らかにしていきます。

最近の記事

微生物多様性を軸としたアート展示とFoodscapeの実践レポート in Thailand

生物多様性溢れるリゾート施設「Kaomai Estate 1955」タイのチェンマイにあるタバコ工場跡地を生物多様性が溢れる空間として創り変えたリゾート施設「Kaomai Estate 1955」にてアート展示とFoodscapeの植栽施工を実施してきました。 本プロジェクトはGreen Neighbors(以下:GN)との協働であり、GNはKaomai Estate 内にFoodscapeの植栽施工を実施しています。また、ファウンダー兼プロジェクトマネージャーであるCh

    • ここ1年くらいの総括と記憶の整理

      つい先日、日本科学未来館での常設展示の公開が終了しました。展示の企画から公開中の案内までの1年間(2022~23年)はあまり記憶がないくらい忙しかったです。 展示が終わった今こそ、この1年間でやってきたことを思い出して記憶を整理したいと思います。 基本的には、代表をやっている株式会社BIOTAでの取り組みの話が中心にあるので、クライアントワークやまだ表に出ていない活動については触れず、オープンになっているものをまとめます。 前提として、どの仕事も一人でやったわけではなく、多

      • 微生物の多様性ってなに? #01

        こんにちは、日本科学未来館の常設展示『ビジョナリーラボ「セカイは微生物に満ちている」』ビジョナリー兼監修の伊藤光平です。 これから、展示に関わってくださった日本科学未来館のスタッフたちとともに本展示がどのように生まれたのか、裏話をnoteマガジンにて紹介していきます。 生物多様性に占める微生物の存在感 今回のテーマは「微生物の多様性」とはなんなのかということについてお話していきます。展示空間に大きく看板がある通り、本展示では微生物の多様性について多面的に説明しています。

        • ビジョナリーとはなにか? と決意表明

          2022年4月20日、日本科学未来館にて常設展示 ビジョナリーラボ第3期「セカイは微生物に満ちている」が始まります。 本展示では、身のまわりの微生物と私たちの関係性に焦点を当て、微生物の多様性の低下やそこから生じるリスクを考えながら、微生物との共生社会の可能性を提示していきます。 ビジョナリーラボは『ビジョンの実現のために、 研究者や専門家、そして来館者と共に理想の未来をくわだてるラボ』というコンセプトのもと1年毎に展示の更新を行っている常設展示であり、本展示は第3期にあ

        微生物多様性を軸としたアート展示とFoodscapeの実践レポート in Thailand

        マガジン

        • 都市にいる微生物たち
          3本
        • 都市を醸す
          4本

        記事

          赤城SUN doで微生物展示をしました

          2022年3月19日、群馬県前橋市の三夜沢赤城神社にて行われた『赤城 SUN do〜ふたつの空と太陽の道〜』にて、神社の微生物を採取・培養することで可視化し、展示する試みを実施しました。 本記事ではそのイベントレポートをお届けします。 三夜沢赤城神社で実施された『赤城 SUN do』『赤城SUN do』では、カナダホワイトホースからのオーロラ中継、様々なアーティストによる音楽コンサート、ライブペインティング、インスタレーションなどたくさんのパフォーマンスが実施されました。

          赤城SUN doで微生物展示をしました

          微生物ワークショップ 『マイクローブ ハンティング』開催レポート

          先月、軽井沢のキャンプ場『ライジングフィールド軽井沢』にて、BIOTA主催で微生物ワークショップ(全8回)を開催しましたので、レポートしたいと思います。 キャンプ場でのサイエンスワークショップという初の試みではありましたが、江村くん (@KEIO_tsubasa)やライジングフィールド軽井沢のスタッフの皆さんが運営からイベントページの作成まで全面的に協力してくださり、とても素敵なワークショップとなりました。本当にありがとうございました。 開催概要 日程:2021年8月16

          微生物ワークショップ 『マイクローブ ハンティング』開催レポート

          活性マイセリウム胞子転移ドライブについて

          現在、NETFLIXでシーズン3まで公開されている『スタートレック:ディスカバリー』では、惑星連邦において科学探査を目的とする宇宙船『U.S.S.ディスカバリー』がメインで登場します。 この宇宙船に異星人類学者でありバルカン育ちの本作主人公マイケル・バーナムが乗り込んできて、周囲を巻き込んで銀河レベルでドタバタする話なんですが、これがかなり面白いです。 U.S.S.ディスカバリーの強み 本作の舞台である23世紀では、ダイリチウムという鉱物をワープコアに入れることで、宇宙を

          活性マイセリウム胞子転移ドライブについて

          人並みに仕事に集中するためにやっていること

          集中力が集合住宅備え付けのwifiみたいに頻繁にブチブチ切れてしまうので、人並みに集中して仕事をするためにやっていることを書きます。 大好きな作業(プログラミング、サーバの環境構築、論文調査など)は何時間もやっていられるんですが、単純作業や事務作業などは一瞬で集中力が切れてしまうので、以下の方法で対策をしています。 時間の管理Just Focus:ポモドーロタイマー ポモドーロタイマーとして、25分たったら強制的にスクリーンセーバーが出てきて休憩に入れます。休憩中は、名

          人並みに仕事に集中するためにやっていること

          Microbiome As Urban Infrastructure: 都市インフラとしてのマイクロバイオーム

          近代的な都市は、人間中心の合理性に基づいて発展してきました。 人間中心に作られたこの都市は、人間にとって「桃源郷」になるかと思われましたが、現実はそうではなく、想定外の問題が続出しました。感染症拡大や悪臭などの公衆衛生問題、水・大気汚染などの環境汚染問題や、アレルギー疾患・メンタルヘルスなどの健康問題がその例です。 その一因として、「都市化に伴い人間以外の生き物が極端に少なくなり、地球上の大規模な生態系ネットワークと隔絶したこと」が考えられています。 本記事では生態系に

          Microbiome As Urban Infrastructure: 都市インフラとしてのマイクロバイオーム

          明治期の洋食研究から紐解く、未来の食文化|都市を醸す #4

          都市や建造環境の微生物コミュニティを調査し、次世代の都市デザイン・公衆衛生事業に取り組む株式会社BIOTAが、様々な分野で都市を醸している実践者を深掘りしていく本企画。 第四回目は慶應義塾大学大学院にて明治期の洋食研究に従事しながら、株式会社食の会 代表として日本橋にて小料理屋『食の會 日本橋』を運営されている長内あや愛さんのインタビューをお届けします。 Text: Takayuki Aoyama Text & Photography: Kohei Ito 10年間続けて

          明治期の洋食研究から紐解く、未来の食文化|都市を醸す #4

          モビリティ×コミュニティで実現する居心地の良いサードプレイス|都市を醸す #3

          都市や建造環境の微生物コミュニティを調査し、次世代の都市デザイン・公衆衛生事業に取り組む株式会社BIOTAが、様々な分野で都市を醸している実践者を深掘りしていく本企画。 第三回目は移動型クリエイションスタジオをベースにモビリティ時代に生まれる新しい場づくりを提唱されている一般社団法人spods代表・磯部洋子さんのインタビューをお届けします。 Text: Takayuki Aoyama Text & Photography: Kohei Ito Photography: Yu

          モビリティ×コミュニティで実現する居心地の良いサードプレイス|都市を醸す #3

          「皮膚感覚」を頼りに、土壌環境に考慮する新しい建築の在り方|都市を醸す #2

          都市や建造環境の微生物コミュニティを調査し、次世代の都市デザイン・公衆衛生事業に取り組む株式会社BIOTAが、様々な分野で都市を醸している実践者を深掘りしていく本企画。 第二回目は月舞台などに代表される森林共生住宅を提唱されている株式会社 森林・環境建築研究所代表・落合俊也さんのインタビューをお届けします。 Text: Takayuki Aoyama Text & Photography: Kohei Ito 夕暮れ時には西陽が、夜は美しい月の光が舞台を照らす月舞台にて。

          「皮膚感覚」を頼りに、土壌環境に考慮する新しい建築の在り方|都市を醸す #2

          「都市にもっと自由な土を」 これからの都市の植物と人の関係性|都市を醸す #1

          都市や建造環境の微生物コミュニティを調査し、次世代の都市デザイン・公衆衛生事業に取り組む株式会社BIOTAが、様々な分野で都市を醸している実践者を深掘りしていく本企画。 第一回目はプランツディレクターとして空間に植物を導入する活動やアーティストとして表現活動をする傍ら、千葉大学大学院園芸学研究科にて、「植物と人の関係性」の再構築を目指し研究している鎌田美希子さんへのインタビューをお届けします。 Text: Takayuki Aoyama Text & Photography

          「都市にもっと自由な土を」 これからの都市の植物と人の関係性|都市を醸す #1

          微生物の見える化は本当に大切か?

          都市や建造環境における微生物コミュニティ(マイクロバイオーム)を調査し、健康な都市を創ろうとしている伊藤光平です。 この研究・事業をやっているといろいろな人に「微生物って見える化できないの??」「微生物見えるようになったら面白いのに!」と質問やご提案をいただきます。 視覚に偏った時代分野問わず「とりあえず可視化!」みたいな風潮があるなあと思っていて、そこにはスマホ普及によってヒトが1日のうち使っている感覚が視覚に偏っていることも起因しているかもしれません。 そのため、視

          微生物の見える化は本当に大切か?

          お仕事のご依頼について

          お仕事依頼の記事を見ていただき、ありがとうございます!株式会社BIOTA代表取締役の伊藤光平です。 これまで、微生物関連の受託解析や取材、執筆、講演、ワークショップ企画などのお仕事を請け負ってきました。 これまではフリーランスとして業務を遂行してきましたが、昨年から新しく設立した株式会社BIOTAとして業務を請け負っています。 以下に、これまでにお受けしてきたお仕事をまとめます。ぜひ、ご依頼したいお仕事がありましたら、お気軽にご連絡ください。 執筆のお仕事▶ 実験医学

          お仕事のご依頼について

          都市のマイクロバイオームとは?

          ヒトにいる微生物 + 自然にいる微生物 = 都市のマイクロバイオーム「そもそも都市/建造環境におけるマイクロバイオームってどんなものなの?」という質問を毎回頂くので、少しお話したいと思います。 僕自身の都市環境微生物の研究や、多くの先行研究を通して、都市のマイクロバイオームを「ヒト由来の微生物」と「自然環境由来の微生物」の集合体だと思っています。 しかしながら、都市のマイクロバイオームにおいて自然環境由来の微生物がヒト由来の微生物よりかなり少なくなってしまっていて、多様性

          都市のマイクロバイオームとは?