
微生物多様性を軸としたアート展示とFoodscapeの実践レポート in Thailand
生物多様性溢れるリゾート施設「Kaomai Estate 1955」
タイのチェンマイにあるタバコ工場跡地を生物多様性が溢れる空間として創り変えたリゾート施設「Kaomai Estate 1955」にてアート展示とFoodscapeの植栽施工を実施してきました。

Kaomai Estate 1955敷地内には、120種以上の樹木が確認されており、半数以上が在来種とのこと。最も古い木は100年以上前に植えられたもの。また、36種以上の鳥類と多数の小型哺乳類も確認されており、2018年、ユネスコアジア太平洋文化遺産保全賞「遺産文脈における新たなデザイン」受賞をはじめ、台湾デザイン研究院(TDRI)のゴールデンピンデザイン賞、TALA賞(タイ造園家協会)、ASA賞(タイサイアム建築家協会)などを受賞しています。
本プロジェクトはGreen Neighbors(以下:GN)との協働であり、GNはKaomai Estate 内にFoodscapeの植栽施工を実施しています。また、ファウンダー兼プロジェクトマネージャーであるChak Chenは生物多様性や自然環境に大きな興味関心を寄せており、本プロジェクトを快く引き受けてくれました。
菌糸で作られた土に還るダルマ「MycoDaruma」

コラボレーター:Imai Daruma NAYA and SOWA DELIGHT
BIOTAでは菌糸素材を用いて日本の伝統的な縁起物であるダルマを作りました。一般的にダルマは役割を終えるとお焚き上げで天に還します。しかし、土壌で分解する菌糸素材によって作られた「MycoDaruma」は埋めることで土に還すことができます。そして微生物による分解によって地球の大きな循環に組み込まれ、新しい生命に繋がっていくというメッセージを作りました。


展示は1日だけでしたが、多くの方がMycoDarumaを手に取り、興味を持って説明を聞いてくれました。


MycoDarumaは展示終了後も、Kaomai Estateに置いて分解を経過観察してもらえるとのことで、このような生物多様性が高くマルチスピーシーズが集まる空間ではより分解が早く生じるのではないかとワクワクしています。
在来種を活用した「Ginger Spice Foodscape」
食用植物を中心として構築するランドスケープであるFoodScape(フードスケープ)を中心に取り組んでいるGNはチェンマイ現地で多様なバリエーションの在来植物を選定し「ジンジャー スパイス フードスケープ」を施工しました。

敷地内にはカフェやレストランがあり、フードスケープから取れた食材をふるまうことができます。また、収穫を通して植栽にヒトが介入する機会が増えるためコミュニケーションが生まれることに加えて、微生物への曝露の機会も増えるため、微生物多様性の観点でも好ましいアクションだと感じました。


フードスケープの詳細については、GNが公開しているレポートをぜひ読んでみて下さい。
FabCafe Bangkokでのイベント
チェンマイでの展示に加えて、バンコクにあるFabCafe BangkokでもSPCSプロジェクトの一環としてイベント実施の機会をいただきました。Co-founderであるKalaya Kovidvisithの尽力おかげで実現したイベントです。

トークイベントでは、タイ国内でランドスケープや都市デザインに関わるプレイヤーや大学等の研究機関で働く研究者と濃密な議論ができました。参加者から質問をたくさんいただくことができ、とても熱量が高い雰囲気でした。

また、今回のイベントに合わせてOmakaHedのシェフがぬか床や味噌を中心とした特別な発酵食を振る舞ってくださいました。
まとめ
Kaomai Estate 1955とFabCafe Bangkok でのイベントはとても刺激的で、運営側も参加者もとても熱量が高く、これからプロジェクトがどんどん進んでいきそうな雰囲気を感じました。
協力してくださったすべての皆さんに心から感謝します。
協力・イベント受入
Chak Chen: Kaomai Estate 1955
Kalaya Kovidvisith: FabCafe Bangkok
企画・運営
Natsuko Robyn Shinozaki: Green Neighbors
Kazuki Ito: woodsmart, Green Neighbors, BIOTA
コラボレーター(作品制作)
Telostekts, Imai Daruma NAYA and SOWA DELIGHT.
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