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ことばの爆発と、言語の悩み。

 2歳児の、ことばの爆発。これまでは自分のなかへ溜め込む時間だったのか、最近は、新しいことばを次々に発するようになってきた。
 私が何か言うと、そのひとことをすぐさまコピーして、繰り返す。

「こぼしたお水、ふきふきしてね」
ふきふき
「うん、ふきふき。きれいきれいだね」
きれいきれい

「今日は、晴れだね」
きょう、はれ、きょう、はれ

 びっくりするのが、私が「まったくもう」など、つい言ってしまうと、「もー」とコピー。けっこう言ってしまっているようで、息子は自ら「もー」と言いながら、笑ってワルさをしたりする。
 わかって、わざとやっているのが、すごい。2歳って、めきめきと子ども。赤ちゃんのときとは、もう違うのだな……

 最近の、悩み。息子の言語をどうしたらよいのか
 実は、夫は外国人だが、彼の母語は英語ではない。
 彼は、自分の母語を息子にも話せるようになってほしいから、英語と日本語はなるべく使わずに、息子と接している。
 私は、生きていくだけで精いっぱいで、息子に対して使用しているのは、日本語のみ。夫と私が話すときは、私は彼の母語を未だに話せず、お互いに通じる言い回しの選択がわかっているので、簡単な日本語と英語が、ぐちゃぐちゃ。
 うちには、私の母語、夫の母語、家庭の共通語の英語。言語が3つもある

 コロナの影響で、特に子育てに疲弊していて、今まで私は息子に日本語だけで接してきたし、頻繁に会う私の両親も、もちろん日本語だけを使っている。
 夫が接する機会が少ないこともあり、2歳でことばの爆発期をむかえた息子から紡ぎ出されるのは、すべて日本語だ。
 そこで、今にして改めて悩むことになった。
 夫の母語を話し始めることは、これからかもしれないが、英語をどうしたらよいのか。
 本当に余裕がなくて、私が息子に使用している英語というと、NOとOKだけ。
 簡単に息子に伝えやすいし、息子も解しやすく発語につながりやすいため、危ないことやしてはいけないことは、ダメより「NO」。許可やそれでいいよと伝えたいときは、イエスの代わりに「OK」。
 息子は、イヤイヤの代わりに「NO」を駆使するようになった。

 最近、ことば(日本語)の爆発を目の当たりにするにあたり、感じるようになってきたことがある。
 最初はまっさらで、発音のくせがなかったのに、発語の音がどんどん日本語化じみてきたというか……ベタベタと、母音が頻繁にくっつくようになってきた。
 私も知らない、息子のいろんな豊かな音、子音の世界が、消えていく。なんだか、息子の無限の音の可能性を、潰しているような不安…。

 私は、息子がまだまっさらな2歳のうちから、日本語と同時に英語を使用することによって、言語を増やすべきだろうか。
 夫が自分の母語で話しているから、すでに息子は2つの言語に触れている。正直、ことばの爆発をむかえるまでは、遅れが気になっていたところだった。
 そこにさらにもう一つ、英語を加えても大丈夫なのだろうか。

 英語を増やす難しさと、不安。
 息子は最近、私のことば、日本語を、次々にわかって反復するけれど、ここに、英語が増えたら……?
 混乱が増えるだろう。
 せっかくことばがわかるようになってきたのに、聴き馴染みのない音のことばを急に増やしても、大丈夫なんだろうか

 意思の疎通や、まるでちょっとした会話が成り立つようなコミュニケーションが息子とできるようになってきたところ。
 私が日本語に英語を加えることで、また意思疎通が途絶えてしまいそうな怖さと、日本語の伸びしろまでをも潰してしまいそうな不安

 実際、英語をコミュニケーションのなかに取り入れるまでの余裕も、私にはなかなかなく……毎日毎日、ぐるぐると悩んでは、でもただひたすらに、必死に息子とあそび、世話をして、日本語の絵本を読んで、追いかけっこやかくれんぼをして……駆け抜けるように、一日を終えていく。

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