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物語の種⑤

⑤サトリ

 小学生のなお君は人間の心の声をきける「サトリ」であった。なお君の両親は「サトリ」を恐ろしいものと思った。そして、なお君に厳格な教育を施して、この能力を抑制させようと両親はつとめた。だが、その努力もむなしく、なお君の「サトリ」の能力を抑圧することはできなかった。
 学校の帰り道、なお君はいじめっ子のカツヤに意地悪をされた。なお君は意地悪をされたときカツヤの「心の声」を受信した。それは、カツヤが路地でひそかに可愛がっている猫であった。なお君はカツヤに「猫を預かってほしい」と頼まれる。
 預かった猫の名はゆら。ゆらは人間の心の声をきける「サトリ」の猫であった。なお君とゆらは「サトリ」同士で意気投合する。なお君の両親も両者の交流を喜んだ。ところが、ブリーダーがゆらを虎視眈々と狙っていた。
 ゆらはブリーダーに引き取られてしまった。なお君は悲しんで「サトリ」の能力を閉ざしてしまう。そのかわり、なお君は人間の心の声ではなく、猫の心の声をきける”サトリ”となった。

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