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世界一役に立たないコンサートマナー集

これからクラシックコンサートに行ってみたい!
だけど、ルールやマナーがわからない!😭

という人のための、独善と悪意にまみれたコンサートマナー集です。

○×クイズ形式にします。

世の中○×で簡単に割り切れるものではありませんが、暴論らしく😁

(1)コンサートには多少おしゃれをして行くべき。

×です。
「クラシックコンサートにはおしゃれをしていくもの」というのはもはや都市伝説。
正月の歌舞伎座なら和服姿のマダムも多数見かけますが、サントリーホールやオペラシティに通ってるおじさん方は万年金欠なので洋服なんか買ってる余裕はありません。
服買うお金が買ったらもう一公演チケット買ってます。

近所のコンビニに行く格好で十分です、と以前は言ってましたが、寝巻きに近い格好で行ってる人もいるでしょうから、「電車に乗って買い物に行くレベルの服装」なら問題ありません。
ビーチサンダル、下駄、浴衣、モーニング、ドラえもんのTシャツはやめた方が良いでしょう。

一番いけないのは香水です。隣の人は2時間(場合によってはそれ以上)身動きできません。
そんな状況で貴方の香水を嗅がせるのは拷問と認識すべきでしょう。
「貴方の好きな香り」は往々にして「他人は嫌いな臭い」です。
普段は香水をつけていてもコンサートの日はつけないのがマナーというものです。

(2)咳エチケットのためにのど飴を持参しています。

×です。
演奏中に飴の袋を破る行為はテロ行為とみなされます。もしうっかりやってしまった場合、血気盛んなおじさんに尾行されないよう帰り道に注意した方が良いでしょう。
飴袋を破るくらいなら携帯の着信音を鳴らしましょう。やってることは同じです。
飴袋を破りたがる人の勘違いとして、わざわざ静かなピアニッシモの部分でゆっくり時間をかけて破ろうとするんですね。
気の使い方が間違ってます。繊細な音楽が台無しです。破るならフォルテッシモのシンバルに合わせて一気に!
一番いいのはセロファンの袋から出して、100均のチャック付収納パックに入れておくことです。それなら音は出ません。
それすらめんどくさいと思うようでしたらコンサートに来るべきではありません。

(3)プログラムを読みながら聴くと理解しやすい。退屈せずに済む。

これも×です。
最近演奏中にプログラムを読む人が増えました。実際には読んでるのではなく、ひたすらめくってるのです。
歌詞のない長い音楽を延々聴くのに飽きてしまって、藁にもすがる思いで読むという行為に逃げてるんですね。
演奏中にプログラムを読むのがなぜダメかというと、紙をめくる音が響くからなんです。
「私は気をつけてめくってます」って? 気をつけてめくればいいという問題ではありません。
貴方が気にしないレベルの音まで聴き取ろうとお金を払って来てる方が大勢いるのです。何かしら読みながら音楽を聴きたいのならご自宅でお願いします。

(4)拍手のタイミングがわからないので、周りに合わせてます。

○です。日本人らしい態度で素晴らしいです。
よく「拍手のタイミングがわからない」という質問を見かけますが、初めて行く(行き慣れない)コンサートでわざわざ真っ先に拍手しようと思う積極性が理解できません。日本人なら周りの様子を窺ってください。
なお、拍手は任意なので、無理にする必要はありません。感動しなかった、演奏を聴いて腹が立った場合はしなくてもいいと思います。ただ全く拍手しない人は珍しいので、多少は目立つかもしれません。
協奏曲の後にソリストのアンコールを期待してだらだら気のない拍手を続けるのはさもしいのでやめておきましょう。
アンコールはあるのが当たり前ではありません。プログラムの演奏の出来栄えがあまりにも素晴らしかった場合、アンコールは蛇足になることもあるのです。

(5)入口でもらったチラシの束やプログラムは膝から落とさないようにしっかり手で押さえておく。

×です。膝の上に物を置くべきではありません。
今まで演奏中にチラシを落としてしまった人で、故意に落とした人は一人もいないでしょう。つまり、注意していても落とすときは落とすということです。

女性のハンドバッグは床置きできないかもしれませんが、プログラムもチラシの束も鞄にしまって、膝の上には何もなく、両手もフリーなのが理想です。
何か触ってる方が安心するのかプログラムやチラシを握りしめている方を見かけますが、紙を触ってるだけで音の原因になります。
スマートなクラオタを目指したい方はぜひ両手はフリーを覚えておきましょう。

(6)携帯電話が鳴ってはいけないので、必ずマナーモードに設定しています。

×です。問題外です。
私はロビーから客席に入る直前に、①モバイルデータ通信をオフ、②全てのアプリの通知が来ない集中モードに設定、③電源をオフ、の三重の対策をしています。
今までマナーモードにするだけで電源を切っていなかったのなら、今後は切るようにしてください。
電源を切るのが当たり前です。マナーモードにするだけでは電話の着信音は鳴らなくても、地震のアラートが一斉に鳴り出したりして興醒めです。
「携帯の電源の切り方がわからない」という方が稀にいるので大変です。そういう状態でコンサートに来るのは自爆テロを疑われても仕方ありません。

(7)何の演奏会に行けばいいかわからないので、話題の人気演奏家に行くことにしました。

○です。
結局、自分の意思でコンサート選びをするのが良いと思います。
周りのクラオタにアドバイスを求めると「○○はやめておけ」という答えが返ってきたりして、聴く前からマイナスのバイアスが入ることがあります。
自分の勘で選ぶのが大事なのです。
クラシックコンサートに初めて行く方におすすめなのが「協奏曲のあるオーケストラコンサート」です。
というのはメインが交響曲の場合、交響曲と協奏曲とソリストのアンコールがあれば器楽曲の3つの作曲形式が楽しめるからです。
好きな作曲家がいる方はその作曲家の曲が入ったプログラムが良いでしょう。

(8)初めてコンサートに行くので、YouTubeで曲の予習をしています。

これも○です。「予習」が好きなクラオタは多いですが、初心者にこそYouTubeで全曲とは言わないまでも大体の曲の流れを把握しておくことをおすすめします。
というのも、初心者が陥りがちな一番の失敗は曲に飽きてしまうことなんです。
クラシックは一曲が長いので、普段J-POPしか聴かない人が何の対策もなしに生で聴いていきなり楽しめるものではありません。飽きて当然です。
で、飽きるだけならいいのですが、そういう人は退屈しのぎにプログラムをめくり始めたり身体を揺すり始めたりして周りの迷惑になるんですね。
現代はスマホの影響か退屈耐性のない人が増えたので、退屈してもじっと聴いていられる人でない限り、退屈しない工夫をすべきです。それが事前のYouTube視聴です。
初心者がぶっつけでブルックナーの交響曲第8番を聴きにいくのは無謀ですが、事前に予習を重ねておけば聴きながら体力のペース配分ができるので、疲れ具合がまるで違うのです。

(9)演奏を聴きながら指揮をする(エア指揮)のが好きなので、コンサートではなるべくわからないように周りに配慮しています。

×です。あなたが配慮しているつもりでも周りからは丸見えな場合がほとんどです。
指や手や首を動かしたり身体を揺すったりして音楽とシンクロして聴きたがる人が多いのですが、クラシックコンサートで音楽に合わせて身体を動かしている人が視界に入ると非常に目障りなのです。
J-POPのライブだとそこまで気にならないかもしれません。クラシックの場合は音楽のリズムや呼吸が変幻自在で、絶えず移り変わる音楽の鼓動を聴衆は感じ取っているのです。
素人が単純なリズムで指を動かしてると、指揮者やオーケストラのリズムを感じ取る妨げになります。私にしてみれば鼻歌を歌ってるのと変わりません。
身体は動かさず、心の内で音楽と共鳴して興奮するようにしたいものです。
とはいえ、演奏中微動だにするなというのではありません。あからさまに動くから目立つのです。むやみに身体を動かすのはやめにしたいものです。

前列の人が身を乗り出すのも後列の客には視界の妨げです。背もたれに背中をつけて聴くようにしましょう(オペラシティのバルコニー席は手すりが視界の邪魔すぎて身を乗り出したくなるけどね😂)。

もちろん席が空いているからといって自分が買った席と違う席に移るのもNGです(隣の人のマナーが著しく悪い場合、ホールの係員または主催者に告げると席を変えてくれる場合があります)。

(10)コンサート前は腹ごしらえをしています。

○です。長丁場だとお腹が空いて腹の虫が鳴ることがあるのです。
腹の虫をコントロールできる方は少ないでしょう。
我慢しようとしても生理音はどうにもしがたく、演奏中に悶え苦しむことになります。
チャイコフスキーの「悲愴」やマーラーの交響曲第9番の終盤の聴衆が息を潜めるピアニッシモで腹の虫を盛大に鳴らさないためにも、事前にコンビニのおにぎりなどを食べておくと安心です。

(11)「マナーマナー」ってうるさいオタがいるからクラシックの敷居が高くなるんじゃないの?

×です。一流の音楽、一流の演奏を味わうには聴衆側も節度のある行動を心がけたいもの。「お金払ってるんだから好きにさせろ」といって座席の上であぐらをかいたり、ハンディファンを回してるようでは感動体験も台無しです。
これは周りのお客への配慮やマナーというより、芸術との向き合い方の問題だと感じます。
雑な聴き方をしていて、偉そうに良し悪しを品評するのはやめてほしいです。演奏家に対してというより、芸術に対して礼を示してほしいのです。
鑑賞マナーの基本は「音を出さない。むやみに動かない」です。そのバリエーションが複数あるだけです。

最近は「息を呑むようなピアニッシモ」が聴けなくなりました。
演奏家の力量のせいではありません。飴の音が響いているからです。

一流の演奏は、一流の鑑賞マナーがあってこそ。

クラオタたる者、その初心を忘れず、決して驕らず、自らの鑑賞態度を常に省みるようにしたいものです。

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