見出し画像

【実体験】コンビニに車で突っ込むとどうなる?part②

皆さんこんにちは。元損害保険会社員のKoh+です。

 この記事は前回の【実体験】コンビニに車で突っ込むとどうなる?part
の続きになります。
 まだpart①を見ていない方がいましたらそちらから先に見ていただくことをおすすめします。


part①のおさらい

・当社契約者の車がコンビニ突っ込む
・怪我人なし、被害額小さめ
・コンビニなどチェーン店への損害は意外と早めに片がつく

こんな感じです。(笑)かなり簡潔におさらいしました。

この感じからすると「特に問題など発生しないのでは?」
と皆さん思われたかもしれませんが、結論から言うと、この案件は示談に至るまで

半 年 近 く 長 引 き ま し た ☆


損害の修理が完了するまで1ヶ月半ほどであったにもかかわらず、なぜこんなに長引いてしまったのか。その理由、経緯を今からご説明いたします。



「フランチャイズ」か「直営店」かの違い

 基本的に損害賠償は、損害を受けた物の所有者と交渉し賠償します。所有者が一元化していれば窓口が一つとなるので交渉が速やかになりやすいです。なので直営店のコンビニは本社が一括で所有者になっていることが多く、店長は雇われ店長ということになります。

 しかし、フランチャイズはそう単純にはいきません。フランチャイズは本部の名前、看板、システムを使わせて貰う代わりに使用料を本部に収める、というシステムをとっています。
↓この図がわかりやすいですね

コンビニの仕組み

 結果、フランチャイズ店だと店内の物ごとに所有者が違うので窓口が複数になりやすく、交渉まであっちいったりこっちいったりと時間がかかることが多い傾向にあります。
 正直やっていてとてもめんどくさかったです(笑)


所有者が自己制作したものの価値

これも損害保険において対応するのが難しいものになります。


 たとえばあなたが日曜大工で作ったものが壊された際に、材料費が保証されるのはわかると思いますが、制作に費やしたあなたの工賃がどうなるのか、というところが揉めるポイントになります。
 正規品であれば販売価格は、制作にあたった工賃など色々なものが乗っかった状態での販売値段になるので、その金額を参考に賠償金額を決めることができます。


今回のコンビニの場合は、そのコンビニのオーナーが自作した看板も破壊されていました。
↓この感じでたまにお店の前などに置かれていますよね

コンビニ看板

 自作のものに関しては保険会社にもよりますが、工賃は考慮しなく、材料費のみの保証になることが多々あります。なぜなら、その工賃を証明するものが何もないからです。
 損害賠償は被害を証明できるものがなければ基本的に賠償されない、ということは覚えておきましょう。

 ただし、被害を受けた側はこれだけ言われても普通は納得できませんよね?なので実際の場合は多少金額に色を付けて賠償をして納得してもらい、交渉をスムーズに進めることもあります。こればっかりはその担当者次第ですね(笑)



【保険あるある】保険で対応できるのをチャンスと思い、何かとイチャモンを付けて他の物も直してもらおうとする、お金をせびろうとする


 これが、長引いた一番の要因になります!!(熱)

 今回のコンビニのオーナーは素敵な、おばさま(皮肉ですよ)だったのですが、この方がまあ曲者でして。。。


その方の要求は2つ

 1つ目は、自作した看板を材料費の補償はいいから、直してほしい
 2つ目は、本部からリースしているアイスなどを入れる冷凍庫が事故の影響で調子が悪い

 1つ目に関してはそんなに高いものではないのと、最終的に示談に持っていく際の心象アップを狙って、引き受けました。
 外注で調査を依頼した会社が、そういった修理も行えるところだったのでお願いしたのですが、3回ほど「こうじゃない」「あたしが作ったもののほうがクオリティが良かった」とリテイクを喰らい長引いてしまいました。
 一度できると言ってしまったので後には引けず従う形になってしまったのは完全に私の経験不足でしたね。。。外注の方にはお世話になりました(笑)

 2つ目に関しては、完全に修理が終わりいよいよ示談するという時の直前に言われたことです。
 冷凍庫の所有者であるコンビニ本社が調査に来た際に、冷凍庫には損害はないので問題はないですと言われたにもかかわらずイチャモンを付けてきました。おそらく看板の件で調子に乗って要求してきたのでしょう。
 その冷凍庫はだいぶ古めだったので、今回の事故のせいにして壊れたことにすれば、新しい冷凍庫を無償で店に置ける、とでも思ったのでしょう。

これは過剰請求という扱いになるので保険会社は認めません。なので事案が停滞し、長引きます。
そして案の定長引きました。。。


事故を起こした契約者の対応不足

 これもオーナーをつけあがらせてしまった原因の一つですね。
 契約者は事故を起こした際に、放心状態だったのでしょうがないとは思いますが、現場対応や謝罪など特に何もしなかったので、

「あんたのところの契約者なんて事故起こしといて何にもしなかったじゃないのよ!!こっちは被害者なんだからちょっとは言うこと聞きなさいよくぁwせdrftgyふじこlp」

と、基本このテンションで発狂するオーナーに終始押されっぱなしで事案に対応することになってしまいました。
 事故状況や原因を契約者に聞いた際も、事故を起こした当事者とは思えないような曖昧な返答ばかりだったので非常に苦労しました。当事者意識がない、というやつですね。


結果

 以上のような要素が複合的に絡み合い、最終的な示談成立まで半年近くかかってしまいました。
 すべての修理が完了すれば、後は納得してもらえるまでの長期戦になるのは保険会社あるあるです。(笑)

 このように事故というのは初動で今後の流れがすべて決まると言っても過言ではありません。
 もしあなたがコンビニに突っ込んでしまった際には、本件のようにならないよう願っております。というかコンビニに突っ込まないように願っております。

最後までご視聴いただきありがとうございました。


【次回】その車両保険ほんとうに必要ですか?

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?