岩崎鋼

漢方を使う高齢者医療専門の医者

岩崎鋼

漢方を使う高齢者医療専門の医者

最近の記事

超高齢社会と選挙。認知症有権者が激増する現実。

厚労省の推計では、2025年、つまり来年、高齢者(65歳以上)の5人に1人が認知症になると予測されています。予測とは言え来年のことですから、まあそんなに外れはないでしょう。 高齢者(ここで言う高齢者は65歳以上ですが)は投票率が高い。全ての年代で、もっとも投票率が高いのがこの年齢層です。そしてこの年齢層で、来年、5人に1人は認知症になるのです。 我々医者が認知症と診断するときは、改定長谷川式かMMSEと言うスケールを使ってスクリーニングします。私はグローバルなMMSEを使

    • 鬱を完治させる方法

      先日、東京の会社でこき使われて鬱になったという若者があゆみ野クリニックに来た。東京のクリニックから抗うつ剤の二つ出されていた。しかし彼は今、オーストラリアのゴールドコーストの大学で英語を勉強しているという。「それで、今ゴールドコーストにいて、体調はどうですか?」と聞いたら本人、「めちゃくちゃいいっす!」。 「そうですか、あなたが今めちゃくちゃいいなら、抗うつ剤なんか飲まなくていいです」。 「でも俺、鬱を完治させたいんです」。 「鬱を完治させるのは抗うつ剤じゃありません。日本な

      • 高校生の君へ

        同級生が教師に媚びへつらいながら陰で悪口を言うのがいやだという君の気持ちは分かる。その君の感情は、世間では「うぶだ」とか「未熟だ」と言われるものだが、本当はそうではない。君が感じていることこそ「本物で真実」なのだ。 今君が石巻の高校で感じているこのなんとも言えない嫌な風潮は、実は君の学校だけでは無い。君がどこか大学に行っても、就職しても、日本にいる限り全てそうなのだ。 ムラ社会、と言うんだ。 ムラ社会。閉鎖的で、閉じられた内部のルールだけが通用する社会。その中で権威権力

        • パワハラと爺婆

          石巻でパワハラに苦しむ30代、40代の親というと60代、70代だ。此奴らが、一番始末に負えない。石巻という閉鎖社会から一歩も外に出たことがない連中だ。 ある30代がパワハラと追い出しにあい、心因反応を起こしてあゆみ野クリニックを受診した。どうせ出ていくなら取れるものふんだくって辞めろと諭し、労基に相談させたら珍しく労基がすぐに乗った。つまりその案件は、労基が即座に乗るほどあからさまなパワハラだったわけだ。 ところがここで親が出てきた。 「いやいや、どうせ辞めるなら立つ鳥

        超高齢社会と選挙。認知症有権者が激増する現実。

          「フローチャート在宅医療漢方薬」(土倉純一郎著)に関して。

          「フローチャート在宅医療漢方薬」はフローチャートシリーズですが土倉先生は麻生飯塚で和漢を研修したそうですから和漢診療学流の漢方は理解しているものとして話をします。 「下痢」 ファーストチョイスが半夏瀉心湯で効果不十分なら大建中湯とあります。 違うから。 半夏瀉心湯は要するに食あたりです。感染性胃腸炎。ウィルスか細菌かは別にして、邪(病気の原因)が侵入したときの胃腸炎です。 感染性腸炎と診断したときは、検査と治療は別立てにします。すなわち、その胃腸炎は細菌性かウィルス

          「フローチャート在宅医療漢方薬」(土倉純一郎著)に関して。

          新型コロナKP.3株流行について

          「今週から石巻で感染爆発が起きている新型コロナ最新変異株KP.3について」 当あゆみ野クリニックでは、先週まで新型コロナの患者さんは毎日コンスタントに3,4人でしたが、連休明けの今週火曜日にいきなりどっと増えました。既に関東では一ヶ月前から大流行していましたので、連休中の人の移動で石巻でもばっと増えたと思われます。 色々な情報を総合すると、KP.3は人間の免疫系やワクチンが作る抗体をすり抜ける力がダントツに強くなっているため、ワクチンを打った人、過去にコロナにかかった人で

          新型コロナKP.3株流行について

          医者の顔

          晩飯を食いながら、相方事務長がそう言えば昨日、と言いました。 昨日も朝から発熱受診依頼の電話がバンバン掛かってきて、人員が少ない当院はかなりキャパオーバーでした。そんな中、「うちの子がおもちゃの時計の針を飲んじゃったんです」という電話があったそうです。相方事務長は既にバンバン掛かってくる電話対応でテンパっていました。彼は自己判断で「あー、それはうちでは無理です」とだけ言って電話を切ったそうです。 その話を聞いて、私は怒りませんでした。しかし彼に諄々とこう言うことを話しまし

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          オカマの敵はオカマ

          オカマの敵はオカマという格言があります。ゲイ、つまりオカマである私から覧て、これはまさに真実です。 これは例えば「女の敵は女」とも言い換えられるでしょう。要するに、差別される側を真っ先に攻撃するのは、同様に差別を受けている連中なのです。 ゲイの自殺率は高い。これは世界中、日本を含む全ての国でそうです。私自身、60年の人生で7人、自殺あるいは不審死で友人や元彼を失っています。日本がいくら没落したとは言え、60年の人生で7人を自殺あるいは不審死で失うというのは、かなり高い確率

          オカマの敵はオカマ

          石巻再生計画

          私が石巻のことをあれこれ言うと、決まって「じゃあどうしたら良いんだ」というコメントが付きます。 まず石巻港に隣接して工業団地を整備し、輸出企業を誘致しましょう。石巻港はかなりな規模なのに、しょぼい輸入しかやってない。この円安で輸入しかやってなければ赤字に決まってます。せっかくあれだけの港があるんだから、輸出企業を誘致すべきです。 輸出企業ってのは、海外から呼ぶんです。今日本円じゃ最弱通貨だし、日本の格安の労働力。給料格安なのに文句一つ言わず黙って真面目に働く。進出する企業

          石巻再生計画

          「クリニックで出してはいけない抗生物質、出すと馬鹿にされる抗生物質」

          クリニックで出してはいけない抗生物質と、出すと馬鹿にされる抗生物質のお話。 クリニックで出してはいけない抗生物質ってのは、ニューキノロンです。クラビットとかグレースビットとか。 最近「風邪症状に抗生物質は出さない」というのは開業医にもかなり浸透してきました。しかし未だに石巻市内で、風邪症状にグレースビッドを出す医療機関があります。また尿路感染にワンパターンでクラビットを出す医療機関もあります。 ニューキノロンはクリニックレベルで使ってはいけません。その理由は二つです。

          「クリニックで出してはいけない抗生物質、出すと馬鹿にされる抗生物質」

          「執着が過ぎると苦しみになる実例part 2」

          石巻市内の寺の住職のお母さん。 寺の女将さんって、何か呼び方があったと思いますが、忘れました。 その人の旦那が、そもそも北海道でお寺の住職なんだそうです。それでその寺はなかなかに繁盛して、石巻の寺の住職が亡くなり跡継ぎがいないのをこれ幸い、その寺の権利を買い、息子を住職として送り込んだ。なかなかやります。 ところがその息子の住職が、母親であるその人から見ると、どうも才覚がない。なかなか流行らない。それが何処の寺か私は知りません。しかしその女将さんは、お寺というものは完全

          「執着が過ぎると苦しみになる実例part 2」

          執着が過ぎると苦しみになる実例part 1

          お金があっても不幸せな人っているんだよとよく言いますが、私これまでそんなの嘘だと思っていました。お金があることは、少なくともお金がないより良いはずだ。分かったような口利くんじゃねえよ。 ところが先日、私は初めて「お金があるために苦しんでいる」人に出会いました。 ある高齢女性です。夫が亡くなったとき、夫の財産は全て自分が継承した。共稼ぎで御本人も正規職員として一生働いてきたので、合わせるとかなりの貯金がある。ところがその人は法律に多少の知識があったから、夫が亡くなったときの

          執着が過ぎると苦しみになる実例part 1

          法の支配と地域社会

          私は医師として一定の知識があります。従って、公開グループに於ける発言は引用元を明示すれば誰でも引用して議論して宜しい、という著作権法も知っております。だから私は著作権法に基づいた発言をしました。それは、私が臨床医としてのキャリアだけでなく、長年学者でもあったので、論文や総説を載せる際必ず著作権法の知識が必要だったから、学んで知っているのです。 たまたまなのですが、私の亡父は弁護士だったのです。父は、米軍横田基地訴訟弁護団の初代事務長でした。 米軍横田基地は、まさに地元住民

          法の支配と地域社会

          「若者が政治に関心を持った結果」

          都知事選で小池は予想通り手堅く当選した。問題は次点になった石丸伸二だ。石丸を支持したのは、若年の無党派層だった。これまで政権に反対する人々はいつもいつも、「若者が政治に関心を持たないからだ」と主張してきた。しかしその若者が政治に関心を持って投票すると、こういう人物に支持が集まるということが明確になった。 明らかに石丸は、社会で不利な立場に置かれている、しかし不満をどこにぶつけたら良いかがわかっていない若年層をターゲットにした。。こういう層を一発で惹きつける発言を連呼した。当

          「若者が政治に関心を持った結果」

          石巻の人間が馬鹿だということ

          私は菩薩にはなれない。 菩薩、ボーディサットゥヴァはあらゆる衆生、生きとし生けるもの全てを救う人だ。 私は弁護士が見捨て、労基署が見捨てた人でもどうにかしてできる限りは助けようと頑張ったが、結局「救えない人は救えない」と認めざるを得なかった。 どうやっても救えない人はいる。 例えば私が心因反応で休業を要するという診断書を出したら会社から退職勧告を突きつけられた。ところが本人その勧告には大いに不満なのに、「会長から言われたから」と退職届を出してしまった。 あるいは「休

          石巻の人間が馬鹿だということ

          大阪万博と震災復興事業

          大阪万博13兆円。やっていることは無茶苦茶だ。批判する人は多い。 しかしながら、東日本大震災の被災者の一人であり、その後の復興事業を現地で見てきた私は、逆に驚いています。 日本政府が全力を挙げて、新しい税金まで徴収して「大震災の復興事業のためだ」という錦の御旗の元につぎ込んだ金が34兆円。あの大震災の復興事業だと言えば、誰も反対は出来ない。 ところが、たかが大阪府を治めているに過ぎない維新が大義名分のへったくれもない大坂万博を名目にして突っ込んだ金が13兆円。びっくり仰

          大阪万博と震災復興事業